岩盤は壊れない
「セイラちゃん!危ない!」
何かが頭上から落ちてきて私に襲いかかろうとしたのが見えて思わず能力証を抱き締めてその場にうずくまった。
でもなにも起きない。
そっと上を見上げると怖い顔をしたいかにも危なそうな男が鉈のような大きな剣を振りかざしているのだが、私のいる空間には到達していない。
力を込めてググググと押し込んだり振りかぶってもう一度切りかかったりしてきたがまるで正四角柱の岩に切りかかっているように弾き返されている。
怖いと思いながらもそこにいれば安全なようなので、画面を見ると中国の方のゲームの敵モブに近い見た目のやつが二段の岩盤に襲いかかっていたが突っかかってるように見えた。
その姿が滑稽で冷静になれた。
周りを見るともう二人同じような輩がいて一人は範囲外のさっきの芝生のような場所で闘っていた。
いつの間にかエラン様は剣を出していたし、エラン様の方が明らかに強いのがわかる。
そして、秒で勝った。
安心してもう一人を見るともう一人は範囲内でスキンと対峙していたが、なんだかわからないものにしり込みしたのかジリジリと近づいたり後退りをしたりを繰り返していた。
私はとりあえず、画面に向かいそいつらしきモブを持っていた斧で一発叩いた。
叩くとそいつが倒れて白い靄に包まれた。
『あ、やべ』
死んだ?
冷や汗を流したが、画面上の敵モブは立っている。
画面上はうろうろしたり攻撃しようとしてるように見えたけど、現実の人間は白い靄に包まれて横たわってるのがわかる。
死んでないはず。
「『正当防衛、正当防衛』」
と呟きなから目の前で見えない壁に阻まれている輩にスキンを向けた。
行けーマコトちゃん!
ってマコトはゲームやってたときのプレイヤーネームね。
誠子から『誠』を取ってマコト。
スキンのマコトちゃんが後ろから近づいて目の前のそいつを斧で殴った。
さっきと同じように倒れて白い靄に包まれる。
「大丈夫!?」
そう言ってエラン様が近づいてこようとしたらまた輩が増えた。
奥の方から続々と人が出てくる。
うわー。
私は結界に入った人をひたすら斧でワンパンし続け画面上はそのあたりにたくさんモブがうろうろしててたいへんなことになってた。
現実では白い靄がたくさん転がってる。
結界外ではエラン様が闘っているが、こっちもほぼ一撃必中なようであっという間に掃討した。
私の方が奥に入っていたので数えると12個靄の塊が落ちてて、エラン様の方は7人が地面にうずくまっているか気絶しているか…死んで…いるのか。
それを見て血の気が引いた。
「今度こそ大丈夫?」
とエラン様が結界に入ってきた。
「顔が青いよ」
と言いながら私に触れようとしたがそこには壁があった。
「なるほど、攻撃が効かないわけだ。」
画面をチラッと見るとエラン様は商人ではなかった。
見た目エラン様の人形を作ったらこんな感じと言う見た目にデフォルメされているが、剣を持っているプレイヤーの見た目にされていた。
なぜだ?
何が起こってる?
私が混乱していると奥の結界外で声がした
「お前ら何をした!なんなんだ!」
そいつは筋骨隆々だったけど、あまり賢そうには見えない。
たぶんこの賊の頭だろう。
「どうやら放置してる間に変な賊の根城にされてたみたいだね。」
エラン様がそう私に呟くと駆け出して結界外に出た。
その後すぐに剣に力を込めると剣が七色に光だした。
ーズバーッ!
私の目には見えない速度で切りかかって終わった。
ードザ
「…な…」
敵の頭はそこに膝をついていた。
何か言いたそうだが口をパクパクさせてなにも聞こえない。
ーシャキン
ードン…
エラン様が剣を納めると敵の頭は結局なにも言わずにうつ伏せに倒れた。
え?死んだの?
私はそこから一歩も動けずにしばらく呆然としていた。




