貴重な塩
店を出るとアルロは三の壁に向かって歩き出したのでついて行く。
「兄様、今回は何の商談に行ってたんですか?」
私はポンと質問が出てきた。
兄とは自然と話せる気がする。
「今回は塩だよ。岩塩が出る鉱山が見つかったらしくてね。他の地域の商会も来てたけど回してもらえるように契約できたよ。」
ほぉ、岩塩とな。
それはいいね。
「それは朗報ですわね。ユタ鉱山の岩塩が採れにくくなっていましたからね。もう父様には話しましたか?」
姉はどこに何しに行くかはやっぱり知ってたみたい。
「いや、セイラの件で頭から吹っ飛んでたからね。帰ったら話すよ。」
「運送は早い方がいいですわね。かなり塩の値が上がってますから、そのうち味なしスープになろうかというとこでしたよ。」
味がしない食事だったのは今だけだったのか?
記憶がある限り多少味があるときもあった気もするが、全体的に薄かったような。
やっぱり塩は貴重みたいだな。
そういえば、あのパイオニアのゲームでは一時期MODで豆腐を作ることができるってのが人気があった気がする。
そのMODでは塩があったのだけど、通常ではないのだよね。
MODみたいな能力はあるのだろうか。
いや、MODまであったらもうワケわかんなくなっちゃう。
海は遠いけど、塩湖は近くにないのかな?
「海とか塩の湖の塩とかは遠すぎて高いのですか?」
私は歩きながら二人に聞く。
「海はもちろん遠いけど、塩の湖もこのあたりは聞いたことがないなぁ。今回商談してきたのはこのあたりから急いでも馬車で1日半ほどの距離なんだけど、そのくらいが庶民が買える限界かな。」
馬車で1日半?
何キロだ?馬車は人間が歩くよりも早い駆け足くらいのスピードだから、確か人間が歩くのが時速4、5キロ位だとすると体感だと1.5倍くらい?
時速7キロくらいかな。
時速7キロで日の出ている時間を休憩しつつ行くと…まぁ、日本の労働時間を基準として約8時間だから56キロか。
約50キロが1日の距離だと1日半だと70~80キロか…。
名古屋から豊橋くらいの距離かぁ。
まず、移動の方法が何かないと物流は安定しないかもなぁ。
二人の会話を聞きながら日本人の知識からできることはないかと考えているうちに三の壁の外に出ていた。
兄は厩舎に馬車を預けていたらしく厩舎番に賃金を渡すと皆で乗り込んだ。
馬車と言っても豪華な馬車ではなく今回はリアカー程度のものが付いた荷馬車だ。
幌もない。
夕暮れの中ガタンゴトンと馬車に揺られて家路に着いた。
ほんとお尻痛い。




