謎のリンゴ
まてよリンゴって樫からとれないよな普通。
主に樫と言われるものは実はなってもどんぐりがなる。
あれはリンゴではないのでは?
「ちょっと食後に試したいことあるんですけど能力使っていいですか?」
私は二人に聞くと顔を見合わせてアドル老師が口を開いた。
「壁の外でなければ大丈夫だと思うよ。この中なら領主の庇護下にあるからね。」
そういうことなのか。
この家、つまりアドル老師も領主の庇護下にあるわけだ。
それにしても採った食べ物はスキンしか食べられないのか、私自身も食べられるのかというのが気になった。
リンゴなどの食べ物や道具は設置することはできない。
苗木を放置するとどうなるか確認していないし。あとはチェストがどういう扱いになるのか。
今、インベントリがギリギリなので確認しないと採集することはできない。
私はステーキを味わいつつ急いで食べきった。
アドル老師はゆっくり食べていたが、さすが、食べ盛りのエラン様はきれいな所作でもあっという間に食べきった。
「ごちそうさまでした。」
手をあわせるとさっさと席を立った。
「アドル老師はゆっくりで構いません。私がセイラさんについてます。」
エラン様がそう告げるとアドル老師は心配したり気にしたりする素振りなく手を振ったので、二人だけで外に出た。
あまり遠くにいかないように家は範囲外になるようにアドル邸から見える程度の距離まで歩く。
ポケットに入れてあった能力証を開いて展開する。
最初に比べると展開スピードが早い気がする。
スキンもすぐに現れる。
イメージの問題なのかな?
あたりの様子が映像にも現れた。
そこで、私は作業台を置きチェストを二つ作った。
チェストを近くの木の横辺りに一つ置いた。
問題はここからだ。
大きいチェストにはなる予感がするが、横のみか、縦もいけるか。
一旦横に置く。
あっさり大きいチェストになる。
斧で一回とって、今度はチェストの上にチェストを置く。
ポンという音と共に二つのチェストは縦に繋がった。
つまり縦型の棚になった。
これは中国版か…
おどろくほどこの能力は私に都合がいい。
縦型ができるのは非常に便利だったからなぁ。
だが、同じチェストを並べておくことはできないはず。
私はもう一つ作ると横に置こうとしたが、やはり置けない。
再び作業台に向かう。
これが中国版の良さとパイオニアのよさを兼ね備えていて私の都合にあわせるのならばきっとあるのでは?
作れるもののリストを下に送るとそれはあった。
『樫のタンス』
中国版にもパイオニアのサンドボックスにもそのようなアイテムはなかった。
衝撃だ。
中国版には一部の木のタンスがいくつかの種類で存在する。
だが、樫の木というものはない。
パイオニアの方は樫の木はあるがチェストは単一でタンスはない。
他のサンドボックスでもチェストは単一なのが普通だ。
もしやこの能力が最強なのでは?
私は樫のタンスを作りチェストの横にくっつけて縦に二つ置いた。
そして、その横に残ってたチェストを一つ置いた。
大きいチェストに苗木を一個、リンゴを一個、土を1スタック入れた。
樫のタンスに岩石ブロックを1スタック。
小さいチェストにリンゴを一個。
リンゴはこれで全部だ。
そして、その外に苗木を一個投げた。
苗木のエフェクトがくるくる回っている。
それを確認してコンバートボタンを押した。
立方体が収縮してその姿が現れる。
今回違和感が少ないのと少し戻る力が少なく感じた。
チェストのせいか?
あ!忘れてた!
作業台出したままだ!
と思ったけど、簡素な1メートルほどの高さと幅の机が現れた。
特にノコギリとかは下がってなかった。
一方チェストとタンスも簡素な木だけの作りだ。
机もチェストもタンスも釘を使った形跡はなく木を組んだ形で組み立てられていた。
そこまで考えてなかったけど、これは言ってしまえばオーパーツなのでは?
寄せ木細工のような作りだ
それらをよく見ようと思いかけてとどまった。苗木はどうなった?
…
ない!
落とした苗木は消えた。
確かにサンドボックス内の現世で落としたものは何分か待つと消えるし、予想通りだが。
じゃあ、チェストの中は?
私は一番左に置いた大きいチェストを開けた。
後ろで静かに見ていたエラン様もそっと近づいてきた。
チェストもタンスも引き出しだ。
高さは150センチくらいで幅1メートル奥行き60センチほどで4段だ。
一番下の段を開けて覗き込むと驚きの光景が広がっていた。アイテムはあるようだが、白い靄のビー玉のようなサイズの立方体がいくつも転がっている。
大体一片が2センチ位のようだ。
よく目を凝らすと靄の中に私にはほとんどが土のエフェクトが見えた。
そりゃ1スタック、つまり64個も入れたしな。
その中から一つの土のキューブを取り出した。
さわり心地は温度の感じないガラスだ。
なんとなく地面に投げてみる。
ードサー!
投げると地面にぶつかるのとほぼ同時に土が現れた。
キューブから押し出されるように土が出てきた後にキューブは霧散した。
「これは!」
エラン様は驚いて目を見張った。
私はチェストの他の段も見たが入っていたのは一番下だけだった。
一番上はあけることはできたが見えなかったので完全にひきださなければいけなかったけど。
次に今度はタンスを上から開けた。
サイズは同じような感じだ。
上には入っていなくやはり一番下に立方体が入っていた。
立方体のうちの一個を無造作にとり、地面に投げた。
キューブがぶるぶるっと震えて跳ねたかと思うとドスンという音と共に岩が出てきた。
それもキレイな立方体の岩だ。
グレーのありがちな色合いだが、まるで磨きはされていない墓石のような切り口だ。
ざらざらはしているが、まっすぐ切れてる。
私は口をパクパクさせているエラン様を横目に最後の小さなチェストをあける。
二段の引き出しになってる。
やっぱりこのあたりは中国版だな。
わかりきってるから下からあける。
一つのキューブが転がっている。
これはリンゴだったはずだ。
それを取ると地面に投げる。
ぷるっと震えて跳ねてキューブから果実が現れた。キューブは霧散する。
リンゴだ
まぎれもなくリンゴだ。
私はそれを拾う。
いまさらだが、食べて大丈夫だろうか?




