昼食はステーキ
ダイニングに移動しようかとしていると玄関でベルがなった。
ライザが玄関に向かい私も行こうかと思ったらアドル老師に呼び止められダイニングに座らされた。
そこには三人分の昼御飯が並んでいた。
ダイニングは4人座れるが、ライザは毎回別室で食事をしていたから3つあるということは?
と思ってたらライザともう一人が入ってきた。
昨日ぶりのイケメンだ。
というか昨日よりもキラキラした装いだ。
紫のマントなのだが、金の刺繍がすごい。
真っ白な詰襟にボタンも金だし、飾緒も金糸。
それでも顔が負けてない。
恐ろしい子!
「一張羅だな。食べられます?」
アドル老師はエラン様に気軽に言う。
開口一番それとは。
「大丈夫でしょう。」
そういうとエラン様はマントを外しライザがそれを受け取ると別室に置いてきた。
エラン様が食卓につくとそれがわかっていたかのように、エラン様の席にだけナフキンがあった。
気がつかなかったけど、若干エラン様の食器だけ装飾がある気がするし。
ライザはわかってて用意してたのか。
昼食は一見牛肉のようなステーキだ。
牛かはわからない。
家ではほとんど見ないな。
やっぱり日常的に食べる肉は鶏肉が多い。
もしくは老いた羊や山羊だ。
つまり鶏肉以外は獣臭い。
それでなければあとは川か湖でとれた魚を焼いたものでそれも泥臭い。
「いつもありがとう、ライザ」
エラン様は笑顔で言うと、給仕をしていたライザは無表情で口を開かずに軽くカーテシーをすると別室に下がった。
侍女の鏡のような人だな。
もっと笑えばいいのにとは思うけど。
「とりあえず、食べながら話そうか?」
アドル老師はお腹ペコペコという雰囲気だ。
ずっと座ってただけなのにな。
私とアドル老師が手をあわせていただきますとするとエラン様は苦笑いをして銀のナイフとフォークを持った。
私も同じようにナイフとフォークを持ってエラン様が食べたのを見てから肉を一口大に切って口に入れた。
バターの旨味と肉の旨味、ニンニクのような香りやスパイスと塩気が口の中で広がる。
つまり美味しい。
見た目通り牛の味がする。
「はー、やっぱ牛はうまいな」
そういったのはアドル老師だった。
老人の割には若者みたいな食欲だ。
というか、やっぱり牛か!
こっちの世界で食べるのは初めてだ。
「これ牛なんですね。こっちでは初めてかも。」
「こっちの世界ではいても乳牛として飼育されてるのがほとんどで、手に入るのは雄牛か老いた雌牛だけどね。日本みたいに食肉として飼育されてるわけじゃないから『サシ』はあまりないね。」
仕方ないという仕草の後に美味しそうに肉を味わっていた。
むしろその老体ではほどよい赤身なのでは?
私が最後死ぬ前くらいは高い肉は胸焼けして食べられなかった。
ストレスのせいで胃がおかしかったのもあるかもしれないけど、30歳でも年は感じていた。
「アドル老師に言われて牛の飼育には力をいれてきましたが、酪農家はそれほどいないので急に増やせないんですよ。」
エラン様が苦笑いした。
そういえば、サンドボックス内で牛増やすのはそんなに難しくないんだよなぁ。
見つけるのは面倒だけど、二匹いればあっという間に増える。
羊や鶏もたくさん増やしたし。
一回増やしすぎてワールドから落ちたことあったわ。
懐かしい思い出。
「そんなことより、父上…領主と午後に会って頂くことになりました。」
私とアドル老師はそれを聞いてステーキを見た。
ニンニクみたいな香りがするのだが、大丈夫かな?
「これ、ニンニク…」
私はアドル老師に目を合わせた。
「たぶんニンニクだね。ライザに玉ねぎみたいな形で小さくて香りの強い植物だって言った後にどっかの田舎の薬草として利用されていたのを探し出して来たんだよね。見た目もそのものだった。」
「「…」」
私とアドル老師は無言になった。
「どうしたんですか?」
エラン様は不思議そうに私たちを見るので説明して差し上げた。
ニンニクが口臭の原因になることを。
「そんな大袈裟ですよ。」
と言ったがあたりににんにくのいい香りが漂っているのでおそらく領主と会う頃には酷いことになっているだろう。
そういえば、生前リンゴの酵素がニンニクの匂いに効くと効いたことあるな。
「あの、リンゴってありますか?」
アドル老師に聞くと首を振った。
時期じゃないんだもん、あるわけない。
でも最近どこかで見たぞ
リンゴ、リンゴ…
は!
昨日、整地したときに樫から落ちてたな。
無意識でいくつか拾ってちょっと食べてたはず。
スキンが。




