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能力の名はサンドボックス  作者: soumamumu
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鈴木誠子とセイラ・トールゲン

 死んだ頃なんか、私社畜だったからプライベートのことはおろそかになってて彼氏もいなかった。

唯一の楽しみは空いた時間にちょっとずつスマホのサンドボックスゲームで建物を建てたり、山を崩したり、地下迷宮を掘ったりすること。

RPG風とかひたすら建物建てれるだけとかアイテムクリエイトがあるとかいろんな家具が置けるとか…。

色々あったけど、どれもなかなか面白かったなぁ。


そんな前世地味系の私は今生ではかなりおてんばな子供だったようだ。

魔法は使えないが足には自身があったのか、やたら友人に「あそこまで競争!」と言ってよく駆け回っていた。

いつもその友人はそれに付き合ってくれてたけど、今日はその木まで競争して私が勝ったところで友人が「木登りなら僕のがすごいよ!」と言い出し、その木にぐんぐん登って行ってしまった。


あ、その友人はアリンと同様に幼馴染の男の子なんだけどもね。

アリンは能力証をもらってから修行の準備で忙しくて一緒に遊べてないんだ。


そこで、彼に木登りを提案され、私も続こうと登り始めて2メートルくらいの枝まで登ったところで…落ちた。

真っ逆さまに。

たぶん頭を打ったんだろうな。

そして、前世を思い出すに至る。


「セイラもう気分は良いのですか?」

色々思い出しながら考えていたら母が医者を連れてきた。

その後ろには幼馴染のアリンとネイがいた。

一緒に木登りしていた友人がネイだ。

アリンは明るいオレンジ色の髪に赤みの強い茶色の目。

ネイは地球では考えられない髪の色、暗い青緑色で、瞳は金色に近い黄色だ。

ネイは涙目で部屋を覗き込んでいる。

ネイは友人と言えど、農家の三番目の息子で、成金商人であるうちの家のが若干上の立場らしい。

子どもたちはそんなことは気にならないけど。

怪我をさせたとなると親が絡んでくるしな。

私はおとなしく医者の診察を受けた。

名前や年齢やその他色々聞かれたので覚えてる範囲で答えた。

今生の私っぽく。

「もう落ち着いたみたいですが、二、三日は様子を見てくださいね。頭を打った場合は数日たってから具合を悪くして亡くなる方も多いですから。」

おいおい、怖いこと言うな。

母親が青い顔してるじゃん。

アリンはそれほど深刻そうな顔はしてないがネイはこの世の終わりみたいな顔してる。

友人二人は部屋には入らず、開いた扉から私の様子を伺ってる。

医者が「まだ、数日は商談のついでに滞在するから何かあったら…」と母に伝えると部屋を出ていき、母は玄関まで見送りに行った。

すぐにアリンとネイがなだれ込んできた。

「ごめん!僕のせいで!僕が木登りしようなんで言わなければ!」

ネイは私の手を強く握って祈るように謝ってきた。

「ネイは悪くないわよ。セイラは負けず嫌いなのが悪い。」

そっか今生の私は負けず嫌いだったのか。

記憶では走るようになったのが、姉に負けたのが悔しくて毎日練習してたからだしね。


一方、前世の私は社会人10年に突入して、同期が上司になって悔しいどころか、これで、ザ昭和のど根性理論を展開する上司から開放される!って喜んでたっけ。

同期の上司はなかなかいい子で働き方改革をしてくれている最中だった。

そう最中だった。

同期が上司になって、二ヶ月で私は死んだんだ。

あの子、頑張ってるかなぁ。


「ねぇ、大丈夫?もう一回お医者さん呼んてくる?」

私が遠い目をしてるとアリンが眼の前で手をヒラヒラさせた。

「ん?ううん、大丈夫だよ、アリン。

それと、ネイ、ごめんね。いつもかけっこばっかでつまらなかったよね。」

私がそう言うと、アリンもネイもぎょっとしていた。

あ、キャラじゃなかったか。

生きてきた時間が長いせいか、前世の方にキャラか引っ張られてる気がする。

「ほんとに大丈夫?そんなしおらしいセイラは始めて見たよ。いつもならバカみたいに元気なのに」

「バカみたいには余計だよ!」

アリンにセイラのキャラでツッコミを入れるとやっと二人に笑顔が戻った。

そうか、セイラはバカみたいなキャラだったか…やりづらいけど…いや、まてよ、10歳くらいの頃の鈴木誠子もバカみたいな子だった気もするな。


とりあえず、前世の記憶はしばらく誰にも話さないでおこう。

だってキャラが違う発言しただけでさっきの引きようだしね。



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