コンバート
ーズズズズズ…
そんな感覚で透明になっていた立方体が縮小していきみんなの体を素通りして能力証に戻り最終的には私のなかに入ってきた。
ーズシャー!
ーバラパラパラ…
靄に八割包まれていた木の靄が縮小とともに晴れてそこには何もなくなっていた。
残っていた葉っぱはわずかな風に乗ってあたりに落ちてくる。
目の前に置いた土は立方体の縮小に伴ってパラパラと四角だったのかな?程度のこんもりした土くれになっていた。
窪みにあった浮いた土もどうやら重力に伴って落ちたようだ。
窪みはさらに深くなっている。
下の方には岩が露出していて、まるでダイヤモンドカッターを使って切ったのかって位スパーと平らになっていた。
その上に土がわずかにかかっている。
「す、すごい!すごい!すごい!」
子供のようにはしゃぐイケメン、もといエラン様。
「これは革命的だな。」
目はキラキラと輝きながら大人の余裕を演出してるアドル老師。
ライザと護衛の兵士は目を丸くしてはいるが平静を装っている。
私の中には何か異物が紛れ込んだようなわずかな感覚があった。
これは取得したアイテムの何か?
能力証を見ると展開のボタンに戻っているが、その下には新たにクリエイティブのボタンがあることに気がついた。
さっきはなかったよな。
まぁ、サンドボックスは建築だけをメインにするクリエイティブ機能があるのは確かだけど。
ちょっと私がやったサンドボックスゲームとは全体的に違った印象がある。
つまり私のイメージとは違う意図を感じるのだ。
私の周りではアドル老師とエラン様がはしゃいで落ちてきた葉っぱや土くれや窪みを見ているが私には気になって仕方ない。
クリエイティブというボタンを押してみる。
押すと少しだけ私の中の何かが吸われて能力証が反応する。
その中にはフラットな世界があった。
まさにクリエイティブって感じだ。
これは現実に何かおこるのか?
あくまでシミュレーションのための機能か?
まるっきりゲームと変わらない。
箱のボタンを押すとズラーっとブロックやアイテムが並んでいる。
アイテムは違うのか。
上の方は見たことのあるものが多いけど、スライドすると、大半はブロックの表記の部分が黒く塗りつぶされている状態で名前が『???』という物が多くある。
これもしかして、コンバートしたところにある物とそれから作れる物が表示される?
まだ作ってない石の斧とか剣も表示されている。けれど、原木は樫しかない。
ここには樫の木しかないのか?
私はリストの中から樫の原木を選択すると、それを地面に置いた。現実では何も起こらない。
やはりこれはシミュレーションや図鑑機能のようなものかもしれない。
また場所を変えて『展開』すると色々見られるかもしれないな。
不安もあるがワクワクが止まらない。
それにしてもコンバートすると物が落ちてきたりするのは怖いな。
木とか土の反応を見るにどこまで影響するのか。
岩石ブロックをそのままアーチ状に置いたら落ちてくるのか?
岩石ブロックなら大丈夫か?
実験してからじゃないと地下に潜るなんてできなそうだ。
というか、さっきの立方体からするにあまり遠くまでは展開できていない。10メートル…いや、15メートルくらいか…
うん?
そういえば、サンドボックスの世界にはチャンクというものがあって、16単位だったような。
この立方体の範囲は16メートルか?さっきの木の向こうや土の窪みの向こうは範囲外だ。
一辺は16メートルということは私から立方体の端までは8メートルだ。
案外狭い気がするのだけど、どうだろう?
もう一回展開するとどうなるんだろう。
そんなことを考えてるとエラン様が近づいてきて言った。
「そこの窪み直せる?」
ちょっと困ったような顔をしている。
ちょうどいいのでもう一回展開してみよう。
「やってみますね。」
私は再び能力証に向き合う。
瞬間的にスキンが出てくるので展開する。
さっきと同様に立方体が現れ、スキンが降り立つ。
どうやら展開したときのみこの立方体の中はサンドボックスの力の影響を受けてコンバートするとそれが解除されてとったものだけ無くなっているんだろうな。
画面を見るとさっきとった物が残ってる。
樫の原木、土、岩石ブロック、作業台、板、棒、そしてつるはしと苗木がある。
私はなんとなくさっき木があったあたりに苗木を設置してから目の前の土くれを見る。
現実ではちょっと崩れていたけど、画面上はブロックが一個突出してる。
その土くれをカリカリポンっとスキンにとらせるとそれを窪みに置いた。
白い靄に包まれたキューブで土には見えないけど、これでいいはず。
手持ちの土も全部置いたけど埋めるには足りない。
周りに突出している土はないかと思って見回したけれどかなり平面だ。
「あの、土が余ってるとこってありませんか?」
そうエラン様に聞くと少し考え込んだ。
「たしかあちらの方に凸凹した場所があるからそこなら余っているといえば余ってるかな?」
そういうので私は立方体を展開したままエラン様の指差した先に歩き出すと立方体がついてくる。
これ、私が中心なんだな。
ということはずっとこのまま歩き続けると図鑑が開きやすいかも。
私が移動すると窪みの靄は晴れて土が現れたようだ。




