表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能力の名はサンドボックス  作者: soumamumu
22/382

日本式の居間で談話

それからまるで日本にいるかのような作りの部屋で簡素でしっかりした机に向かって三人で座布団に座って、ライザが昼食を料理するのを待ちながら話をすることになった。

ただ、アドル老師は別の部屋から持ってきた工具やらを机に広げているので、私とエラン様は端に追いやられてる。

とはいえ、フローリングの上に絨毯がしかれているがちゃぶ台ではないものの、ローテーブルに座布団だ。

エラン様はなれているようだがあぐらではなく正座だ。


それにしてもめっちゃリラックスしちゃうよね。

私はお姉さん座りで座った。


この座布団は誰が作ったんだろ。

「それね。ライザが作ったんだよ。老師がこの家を作った後にどうしてもこうして欲しいって聞かなくて」

私が座布団をまじまじと見ているので気になったようだ。

なるほど、どうりで忠実なわけだ。

真ん中に窪みがあって、窪みと4つの角に房が付いていて、一辺だけ縫い目がない。

この縫い目がないところが正面なんだよね。

「『もう僕もジジイだけどさ、どうしても日本のよかったところを思い出すんだよね。』」

ぶつぶつとアドル老師が日本語で言った。

その手と目は私の能力証に向かってる。

とりあえず、パカパカにしてるらしい。

元々接続のための部品は付いてたみたいだからそんなに難しくはなさそう。

「『ごはんとかもですか?』」

「『そうそう!こっちのごはんが不味くてさ!もうずいぶん慣れてきたけど、思い出すんだよね。でも俺料理全然してなかったから再現できないんだよ。』」

アドル老師は饒舌だった。

あれ食べたいこれ食べたいとぶつぶつと言いながら私の能力証をいじってる。

「あの、楽しそうなところ悪いのだけど、なんの話をしてたの?」

エラン様が寂しそうに私たちを見ていた。

「あ、ごめんなさい。食べ物の話をしてました。」

エラン様はポカンとして私を見返す。

「前に言いませんでしたかね。前世で住んでた国の料理がとても美味しいと。彼女も同じ国の近い時間に生きてましたから思い出したらその頃が恋しくて仕方ないのですよ。」

そしてまたぶつぶつと食べたい料理の名前を言いながら作業してる。


おにぎり、味噌汁、ラーメン、カレー、肉じゃが、角煮、唐揚げ、寿司。



こっちのおなかがすいてくる。

唐揚げくらいなら作れそうだけど、油が高いからなぁ。

すっとエラン様の顔を見る。

ニコニコしてる。


イケメンすぎる!

目がつぶれる!


あれ?そういえば、私とアドル老師の前世が日本人だってエラン様は知ってるの?

はっきり言ってなかったけど。

「エラン様は私とアドル老師の前世が日本人だとわかってるんですよね?」

「あぁ、君がニホンジンとかいう前世を持つのは同郷という言葉でわかったよ。アドル老師からは小さい頃から話を聞いていたからね。もう私は14才だから老師との仲も14年ということになるか。」

エラン様は思い出を振り返りながら、この部屋に似つかわしくないカップに注がれたハーブティを優雅に飲んだ。

「私はずっと日本人、もしくは日本人の生まれ変わりを探してたんだよ。過去には記録はあったから、私以外にも誰かしら来るだろうとね。それが死ぬ前で良かった、本当に。」

アドル老師は手を止めると目頭を押さえた。

私は自然とアドル老師に微笑んでいた。

私も同じく地球から来た人、ましてや日本人を見つけられたのがとても嬉しい。

この世界に比べるとやはり文化の差から生じる孤独というものはかなり大きい。

つまりホームシックだ。

アドル老師は涙をぐしゃぐしゃとぬぐいこちらをニコニコと見た。


「よし、ここまで来たらあとはどのような『アプリケーションソフト』をいれるかだな。ここに記されてる『サンドボックスゲーム』というと私の印象では『PCゲーム』だったと思うんだが。」

アドル老師は日本語というか、地球で使われていた言葉とこちらの言葉を織り混ぜて聞いてきた。

「私がやっていたのは『スマートフォン』の『ゲーム』でしたよ。こうやって…あー『ファミ○ン』みたいな『コントローラー』が画面上に半透明で表示されてて…」

私はゲームをプレイするような仕草をした。

アドル老師は興味津々な顔をしている。

「なんと、『スマートフォン』でそこまでできるとこまで進歩したのだな。もっと先まで生きていられれば『シンギュラリティ』に遭遇できたかもしれないのに!」

非常に残念そうに嘆くアドル老師に苦笑いを向ける。

「『AI』はいろんな企業が作ってましたけど、本当に来たのかわかりませんね。それよりも私たちは生まれ変わって異世界に来るという特殊な機会を得たわけですし、それこそすごくないですか?」

「『確かに!』この世界の魔法、魔力というものは非常に興味深いよ。地球でもそれが法則的に適用されるのか、こちらだけの法則なのか確かめられないのが残念だ。」

アドル老師は腕組をして固まっていた。

私もそこまで考えていなかったなぁと考えを巡らせたけど、私自身があまり魔法というものに遭遇してないのでよくわからない。

こちらの世界とて庶民には魔法というのはそれほど日常にあるものではないのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ