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能力の名はサンドボックス  作者: soumamumu
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アドル老師

 隣の部屋の扉の前には他の詰め襟の男性がもう一人いた。

その人は濃い目のグレーの髪をしているが、若そうに見える人だった。

その人が両空きの扉を開け放つとぞろぞろとみんなで隣の部屋に入っていく。

中は教会のように長椅子が等間隔で両側に並んでいて、一番前の席に子供が一人座っていてその側の壁側に二人の男性がいる。

そして、教会の牧師さんとかが立っているような場所には濃い紫のローブのお爺さんが立っていて、そのそばに若い女性が右側、若い男性が左側に立っている。

女性は紺色のシンプルなワンピースで、男性は詰め襟だ。

詰め襟の人たちはみんな軍人かな?

そんな気がする。

帯剣してるし。

ざわざわと少年少女たちが席はどこに座るか等と話していたので、その軍人らしき人が声を発した。

「こちらにおられるのはアドル老師だ。ありがたき言葉の後に能力証交付を行う。静かに着席しているように。」

先生たちに促されて、私たちは長椅子に座りシンと静まり返るとローブのおじいちゃん、アドル老師が喋り始めた。

「来月、めでたく10才を向かえる子供たち、おめでとう。これで大人への仲間入りだ。少しだけつまらないかもしれないが、精霊の話をしたら能力証を交付する。」

にこやかにそう言うと、アドル老師はその後ろにあった机に向かい、本を開いた。

本だ!

でもあの感じは羊皮紙でできた本かな。

紙の厚みがあって分厚く感じるけどページ数はそんなに無さそう。

「みんなはこの世界の精霊についてどれだけしってるかな?今日は風曜日だが、明日は闇曜日というように曜日は7つある。その7つの精霊は大精霊と言われている。

光・火・水・土・風・闇の精霊、そして、さまざまな物や現象に精霊はやどっていると言われる。」

アドル老師は実際牧師さんとかお坊さんのような人なのかな。

彼が話すことを要約するとこんな感じだ。


世界は精霊の均衡によって保たれていて、人はその力を借りることによって生き、魔力を使うこともできる。

能力証に表記されるスキルは精霊に恵まれた力だから大切にするように。

そして、精霊に感謝をしようというようなことだ。

あまり意識したことなかったが、この周辺の国は精霊教という宗教を国教としている国が多いらしい。

実際、大精霊の担当する曜日に産まれた子供で魔力を扱えるものはその大精霊の魔力を扱えるそうだ。

私の曜日、闇なんだけど、闇魔法ってどうなんだろ。

ちょっとアウトサイダーだね。

まぁ、貴族じゃないしな。


「さて、長くなったが、能力証を交付しよう。まずは後ろの者から並びなさい。」

おじいさんがそう言うと、一番後ろの生徒が立とうとする前に一番前の子供がガタン!と音を立てて立ち上がった。


「待て!俺を先にしろよ!」


あー、お決まりのお貴族様イベントですね。


「シェゾール・エンパーダ様、申し訳ありませんが、位の高い方は最後と決まっております。それともシェゾール様は庶民たちより下ということですか?」

老師はにこやかに穏やかに話しているが少しとげがあるように聞こえる

その声とともに立ち上がるまで隠れてよく見えなかったけれど、髪の色がワインレッドの少年だった。

見た目は美少年だけど、きつそうな雰囲気だ。

彼は左の一番前で、私は右の4番目の席に座っていたからちょっとだけ横顔が見えた。

目の色も赤い。

シェゾールと言われた少年は老師の話を聞いてる間もイライラとしていたからきっと短気なんだろうな。

老師の言葉を聞いたシェゾール様はぐぬぬと唸って着席した。

貴族の家の子息って言ってたけど、彼より老師のが立場が上なのかな?

シェゾール様が座るのを見届けた老師は一番後ろの席の子供たちを見ると、先生が促し真ん中の通路に並ばさせた。


一人目の少年が老師の前に来ると木札を取り出し老師に渡した。

老師の隣の女性が後ろの棚から引き出しをひとつ完全に引き抜いてそのまま兵士に差し出した。

兵士は箱から白い手袋を取り出しはめると引き出しの箱の中から金属のような板を取り出す。

老師は木札を確認して地面においてあった木箱に入れると最初の少年を舞台の右端に連れていき、そこにポツンとおかれた椅子に座らせた。

手は触れられないギリギリの位置に手のひら大の水晶玉がスタンドのようなものに繋がれており、そのスタンドから魔方陣が椅子に続いている。

兵士がその板をその水晶玉の下にあるスペースに差し込むと、老師が水晶に手を置いた。

仄かに水晶玉が光って『カシャ』という音がなった。

え?どういうこと?

そのカシャって音何?

まるで証明写真を撮ってるような感じだ。

写真ではないのになぜその音がなる?

謎だ。気になる。

私気になります!

でも聞ける相手はいない。


そのカシャという音の後に水晶玉の光はじんわりと消えていき、兵士が板を抜き取ると少年にそのまま渡し、席から退かせると次の子供を呼んだ。

終わった人は真ん中の道を後ろに戻っていきそのまま先生に促されて退室していく。

席の間のバージンロードのような場所は行きが左、帰りが右というような二列になっていた。

それなりに時間はかかるが流れ作業だな。


私のところにくるのはどのくらいかな。

というか何人くらいいるんだ?

あのシェゾール様は待てるんだろうか。

全部で10列以上はあっただろうか?

さっき老師が位の高いものは最後と言っていたが確かに後ろの席の人ほど身なりが質素なものが多い。

これ、学校によって座る順番決まってるのかな?

だとすると都市部から遠ければ遠いほど後ろの席ってことかな。

中にはそれなりの身なりの子もいるから、そう言う子は地方の商家の子とか地方の下級貴族の子かもしれないな。

後で先生に聞いていいものだろうか。

噂に聞くところによると領内全部ここで交付だから遠い子達はわざわざ泊まりがけで能力証をもらいに来るらしい。

全員で100人はいかない程度しかいない。

なんなら50人くらいじゃないかな。

ひとつの席に3人くらいずつ座ってて、左右に一つづつで全部で10列だから…3×2×10だから60人座れることになる。

先生も座っていたけど10人いないかな。

やっぱりこの領内に50人程度が一月に交付されるから。

13か月×50人だから領内の同級生は約650人ってことか。

 あれ?少なくない?日本だと年間出生数って万単位で確か私の出身地は5万くらいだったような。

もちろんこの世界なら10才まで生き残るのが大変なこともありそうだけども。

 そもそも人口が少ないのかな。それともこの領が少ない?

いや、でもここは都に近いそこそこ発展した大きな領らしいしな。

領はこのコアナキア領の上に帝都があって、それ以外には10の領があるから全部で12領。

うーん、情報不足!

そもそもの人口が少なそうだな。


とか思ってたら、私の列だ。

結構早いな。

私はポケットから木札を取り出すと四列目の最後に並んだ。


あー、なるほど。後ろから並ぶのは利にかなってるわ。


前に座ってる人は座ってるとこから並べばいいから。

そういえば、前世でもそんなことを思ったことあるな。

卒業式とか全校集会とかそんなのだったな。


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