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能力の名はサンドボックス  作者: soumamumu
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ミアータとの懇談


「ところで、なぜミアータ様がこちらにいらしたのですか?」


5個あったクッキーの最後の一個をミアータ様に譲って食べ終わったところで私は本題を持ち出した。

「は!そうだった。ごめんね。つい食欲が勝っちゃって」

まるでテヘって言いそうな勢いでノリ良く謝られた。


「実は一昨日ね、夕食の場に呼び出されて食後急にエランが婚約したいって言い出してね。」

そこからミアータ様が話してくれたのはこんな内容だった。


相手はトールゲン商会の娘だっていうからびっくりしたそうだ。

しかも翌日には婚約晩餐に招待されているという。

他の兄弟達も大概驚きを隠せなかったようだ。

だが、父も3人の奥様方も、ミアータのように呼ばれていたアドル老師も驚いた様子はなく婚約について快く承諾してしまったから兄弟達は一時騒然とした。

時期領主となる予定の子である、正妻の長男、つまりマルティーナ様の長男のレヴェントンと継承権2位のリリー様の長男リアセルトは激怒し、エランほどの実力の持ち主がそんな馬の骨と婚約なんてありえない!と異議申し立てをした。

他の兄弟は領主になるわけではないと思っているので長男ほどではないが困惑が激しく、特にエラン様の下の兄弟、つまり妹二人なのだが、その二人は悲しそうにしていたそうだ。

ちなみに一番下からアルシオーネとルーチェと言う名らしい


両親が「これは決定事項だ。異論は認めない。」と言うとアドル老師とエランを連れその場を立ったそうだ。


残されたのはエラン以外の兄弟と侍従のみ。


場は荒れた。

長男ズが両親とエランへの怒りで机を叩き、末の妹アルシオーネはそれに驚いて泣いていた。


その中で一番に冷静になったのはノエミ様の長男であり双子のトレノとレビンだった。


トレノとレビンは二人共に継承権第3位となるが継ぐ気は全く無いそうだ。

そのためこう言った。

「じゃあ、その相手の娘を見定めに行けば?」

と。

そして、比較的日和見だったミアータ様は「一番上の子の私から順番ってことにしましょう」と話し合ったそうだ。


ミアータ様は驚きはしたけど、自分が上級貴族とはいえ荒くれ者の多い騎士の家に嫁いだので、あまり家柄とかは気にしていないそうだ。


ちなみに私の居場所は昨日の夜エラン様を問い詰めたらしい。

会いにいくとは言わずに。

しかもエランがいると本音を聞けないからって仕事を押し付けてきたそうだ。

道理で今朝機嫌が悪かったわけだ。

ところで押し付けた仕事ってなんだろうな。


「それにトールゲン商会はそれなりに大きい会社だしね。」

と最後に付け加えた。

それなりに大きいって言っても従業員50人程度ですけどねぇ。


「私はなんとなく察しは付いてるのよ。アドル老師の様子からしてずっとエランに見合う魔力の持ち主を探してたみたいだし。そういうことなんでしょ?」

ご明察で。

脳天気に見えて実は頭の回転の速いタイプかな、ミアータ様は。

「でもなんでこんなに婚約を急いだのかしら?レヴェントンやリアセルトは領主になる可能性があるからすでに婚約はしているけれど、まだ結婚してないし、エランはじっくりで良かったのに。」

ミアータ様は私の様子を見るように見つめてきた。

試されてるー。


「…」

私は黙ってニコニコしておいた。

「何かしってるのね。まぁ、私はエランがその気なら別にいいんだけど。」

「申し訳ございません。私の口からは申し上げられません。」

前世のクレーム処理のような口調になってしまう。

「フフッ…そんなに固くならなくていいよ。それより、あなたの力はどんな力なの?私魔力感知は高い方なんだけど、貴方はよく読めないわ。まるでアドル老師みたい」

闇属性だから読めないのか…前世があるから読めないのか。

「私は闇曜日生まれでして闇属性の魔力だそうですよ。」

「そうなのね。でも闇属性だからって読めないわけじゃないから特殊な力か私より強い魔力を持ってるってことかしらね。」

あー、そうなんだ。

たぶん魔法については私よりは詳しいはずだ。

そういえば、私の魔力は強いって感じのことをアドル老師は言ってたな。

その線もあるのか。

まぁ、特殊は特殊だけど。

「特殊な能力ではあると言われています。」

「見ることはできない?」

能力については口止めされてるわけではないけど、どうなんだろう。

義兄弟になるわけだから能力くらいはいいのかな?

「困らせちゃったかな。まぁ、そのうち見せてね。」

ミアータ様は美しく笑っている。

エラン様と同母の兄弟だなぁ。

笑うとそっくり。

「あ、そうだ、さっきのお菓子と牛乳どこに売ってるの?」

美しい笑顔から一変可愛らしい子供のような顔になった。

そうとう気に入ったのだろう。

「売られてるものではないです。…自家製…みたいなもので…」

「え?!そうなの?てっきりトールゲン商会で売ってるものなのかと…」

ミアータ様はすごく残念そうにしている。

「売ってはいませんが、すぐ作れますし…牛乳は今はないですが、クッキーならありますから良かったらお持ちになりますか?」

「ほんと!いくらで買えばいい!?」

ミアータ様はそう言ってポケットを弄り始めた。

すぐに出てきたのが…


大・金・貨


「一枚で足りるかしら?」

このお嬢様が!

「いえ、差し上げますよ。」

「そんな、悪いわよ。」

そう言って大金貨を押し付けてくる。

一枚1万のクッキーなんてありえない。

私はミアータ様の手にギュッと押し込んだあとさっと離れてボウルを持ってチェストに向かった。

「でも…でも…」

後ろの方でミアータ様が困惑してるが私は今の隙きにとチェストをさっと開け目的のクッキーのキューブを掴みボウルに投げ入れた。

「砂糖を使っているとはいえ大金貨は多すぎです。それに売り物ではないですし、お近づきの印としてお持ち帰りください。」

私はミアータ様に顕現したクッキーの入ったボウルを差し出した。

ミアータ様は高身長なので掲げる形になってしまった。

そして、やはりクッキーの数は5枚だ。


「ほんとにいいの?」


目がキラキラしてかなり嬉しそうだ。

「どうぞ」

私は微笑みながらボウルを渡した。

「ありがとう!あ、そうだお礼にお知らせというか忠告なのだけど、明日もたぶん誰か来ると思うわ。順番的にはリアセルトかレヴェントン辺りかしら。仕事が空いた方が来るんじゃないかしら。」

マジかー。

どっちにしてもめんどくさそうな二人だ。

「ちなみに私がここにいるってみんな知ってるんですか?」

「一応リアセルトとレヴェントンは知ってるわね。他の子たちはわからないけど。」

「そうですか。」

なんとか乗り切るしかないか。

「ごめんね。でもエランはそれだけコアナキア家に必要な子なのよ。…本人はそう思ってないかもしれないけど…」

そこなんだよね。

「あの、なんでエラン様は、自信なさげなんですか?」

ミアータ様は腕を組んで唸った。

「私が話しちゃっていいのかな?あー、でも把握しておいてほしいことでもあるよね。結婚するなら…」

ミアータ様はうーんとしばらく考え込んだ。

「よし!ヒントだけあげよう!」

なんでやねん。

閃いたみたいな顔をして嬉々として教えてくれた。

「エランは魔力がすごい強くて闇以外の全属性持ち…ってことがヒントかな。」

闇以外の全属性…か…。

こういうパターンって前世のアニメとか漫画とかの記憶から想像すると暴走とかかな。

ロボのようでロボじゃないアニメとか暴走してトラウマ級だったものね。

「魔力が暴走して誰かが危険にさらされたとかそういうところですかねぇ。」

私がボソボソと違うかなぁと思いながら言うとミアータ様は目を丸くしていた。

図星か。

「ま…まぁそんなところさ。さて、そろそろ帰るかな。じゃまたねー」

「あ!?」

逃げた!

ミアータ様はフィーより遅いがかなりのスピードで屋敷を避けて左を周り消えてった。

身体能力が高いのはわかった。


それにしても、魔力の暴走ね。

今のエラン様は魔力のコントロールをできてるように思うけど、昔そういうことがあったってことかな。


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