ルオロンの再来
そんなやり取りのあと部屋を一通り見て回るが、本当に金庫としての役割なのか、金目のものばかりだった。
金庫を出て再びトルードアをつけて、番号を設定し直し、その前の部屋に入った。
よく考えたら奥の扉見てなかったな。
エラン様とそのドアを開けると会議室くらいの広さの空間が広がっていた。
「ちょっと待って!」
私が一歩前に出ようとしたところでエラン様に止められた。
地面に大きな魔法陣が薄く黄色い塗料で書かれている。
たぶんトルー鉱石の塗料だろう。
「罠だな。これを踏むとその者の魔素に反応して魔獣が召喚される。」
「魔獣召喚?」
魔獣…ってたぶん、地下にいたな。
あれ、トルー鉱石も取れたから動物じゃなくて魔獣だよね。
「近くにいる魔獣をランダムで呼び出すような構築をされているね。」
「近くに…といえば、ルオロンって魔獣ですか?強いですか?」
エラン様が少し驚いたようにこっちを見た。
「ルオロンは確かに魔獣だけど、知ってるの?このあたりには住んでないはずだけど、たしかタシュカ領の鉱山で稀に出てくるとか聞いたな。それなりに強いらしい。」
「そうなんてすか?倉庫のさらに地下掘ってたらマコトちゃんがルオロンに遭遇して倒したんですよね。」
やはりエラン様は驚いていた。
強いのか。
確かに動物よりは遥かに硬い感じはしたな。
「もう、セイラちゃんの能力は底が知れないな…。戦闘向きじゃないと思ってたんだけど実はかなり強いのでは?」
「私自身は戦えないですけど、マコトちゃんは死んでも魔力で再生しますし、結界内だと私は破壊不能なモノ扱いですし。」
「結界内最強か…それともそれを打ち破るものがいるかどうか。何か条件があるとしたら楽観視はできないよね。」
「たしかにそうですね。条件か…」
「そのあたりは追々確認できるかやって見ようか。さてと、これはどうするか。」
エラン様は苦笑いして魔法陣を見ていた。
「一回踏んでみます?魔獣が出るってことは素材回収できますよね?トルー鉱石とか」
「まぁ、そうだけど、何が出るかわからないから怖いよね。」
「じゃあ、結界張ってみましょうか。」
私がそう言うと一回考えたあとうなずいて了承した。
私は通路のあたりまで戻るとエラン様はその斜め前あたりに立っている。
そこで展開をしてマコトちゃんが降り立つ。
とそこでマコトちゃんは魔法陣を踏んでいないのに魔法陣が光りだした。
あ、結界の広がりでも反応するのか。
私は素早くまことちゃんに作業台を持たせて置いて、ササッと石の剣をつくった。
その間に魔法陣は明滅を繰り返し真ん中の丸い模様の中が黒く染まり何かが上がってきた。
緑色のモサモサした生き物だ。
うん
ルオロン、だね。
緑色の犬。
犬種はハスキーのような見た目を緑にした感じだね。
私は向こうが気がつく前にマコトちゃんで接近して石の剣で殴った。
今回は3回ほどでアイテムとなって消えた。
アイテムを回収してやっと冷静に画面上の魔法陣を見ると1ブロックが魔法陣のスポナーのようなカーペットのようなものが部屋の中心にあった。
それを見ていると再び現実の魔法陣の丸の中からまたルオロンが現れた。
倒して回収したと同じくらいにまたルオロンが出てきた。
きりがないのでは?!
次出てきて倒したらすぐにコンバートする?
出てきて3回殴って、さて倒したぞ…
と思ってたら止まった。
そこで一旦コンバートした。
「なんで止まったんでしょう?」
私は能力証を持ったまま魔法陣を観察していた。
「一応規模の小さい魔法陣だから範囲の限界があったのかもね。このあたりの魔獣はあの三匹だけだったのかも。この魔法陣、罠というには少々弱い気がするね。とは言ってもあんなにあっさり倒されちゃ立つ瀬ないけど。」
確かにエラン様の手はずっと柄を握っていたのだけど、マコトちゃんはあっさり倒してしまったので剣を抜くことはなかった。
「何か素材は取れたの?」
「ルオロンの毛皮とトルー鉱石ですね。」
「それはいいね。ルオロンの毛皮は耐火性に優れているらしいよ。売ればいい値になるはずだ。」
すごい緑色だったけど属性が色で表されてるとかではないんだね。
ちなみに冒険者ギルドみたいなのは聞いたことないけど、魔獣の素材なんかはハンターが売れるように商業組合が買い取りをしてる場所があったはず。
直接商会に持ち込んでも買い取りはしてくれたと思うけど、買い叩かれることもあるとか…。
まぁ、私はそのまま家族に相談しようかな。
「とりあえず、この罠の効果もわかったし、どんなものが出るかもわかったから一旦上に戻ろうか。」
エラン様がそう言ったので地下を出ることにした。
帰りにエラン様が薬瓶の方を少し渋い目で見ていた気がするけど、それについて聞くことができなかった。
エラン様がそちら側に立って外へ促していたから見せたくないようにも感じた。
なにかやばいものだったのかもなぁ。
ホルマリン漬けみたいな液体もあったような気はするけど、なんとなく怖くて近寄れなかった。
書類の文字を読んでいるときも様子がおかしかったし。
不穏なのはわかったけど、なんとなく知るのが怖かった。




