事故物件
「ほんと、すごいね!」
ひとしきり笑った後に深呼吸して呼吸を整えている。
その後、少し緊張が和らいだ真面目な顔になって、奥を覗いていた。
どうやら通路が数メートル先で左に折れている。
私はエラン様に続いて入っていくと折れた先で何かが光っているのが見える。
黄色っぽく輝く何か。
なんか見たことあるな。
部屋に入るとその淡く光る何かがわかった。
大量のトルー鉱石だった。
木箱にたくさん積まれている。
その傍らに金の延べ棒もあったが、それは一箱程度だった。
その中にはさらに小さい手のひら大の木箱がいくつかあるようだ。
「なるほど、金庫のようなものかな。」
エラン様が小さな木箱を開けるとそこにはネックレスが入ってた。
私も一つ取って開けるとそこには大きな青い石の入った指輪。
他のものも一通り見るとほとんどが宝飾品なのがわかる。
下の方には裸のものもいくつかあった。
「結構ありますね。これらを残して、その主人は亡くなってしまったんですよね?」
私がエラン様の顔を見ると少し複雑そうな顔をしていた。
目線は裸の宝飾品だ。
すべて確認している。
「私は小さかったからよく知らないのだけど、謀反で追われたあと、この屋敷に籠城したので、火をつけてあぶり出したそうだよ。当主とその家族、従者は捕まったそうだ。ただ、その妻とその妻との間に産まれた小さな子供は火に巻かれて亡くなった。」
うわー、事故物件じゃない。
「最後に当主と10才以上の子供は処刑された。とは言っても火に巻かれて亡くなった子以外は謀反に関わっていたらしいよ。亡くなった母子はメイドとその子で年が離れていたそうだからね。」
なんか複雑だな。
想像するに当主のお手付きになったであろうメイドは自分で巻き込まれたんじゃないかもしれないよね。
しかも子供に罪はない。
私は思わず合掌した。
この世界には仏教とか神道なんてものはないけれど、日本の癖で『神様、仏様』って祈ってしまうな。
この世界には神様の代わりに精霊がいるらしい。
ほんとにいるかは知らない。
見たことないから。
でも力を使ったり見たりして、身近に何かの存在を感じる瞬間がある。
見えない何か。
精霊が魂なのだとしたらその母子はまだ存在しているのだろうか?
ここにあるままなのだろうか?
私はそれは実際に体験しなければわからないだろうとその考えを切り上げて、顔を上げた。
「アドル老師もそうしていたけど、亡くなった人を思ってすることなんだよね?」
「え?あぁ、そうですね。」
「精霊教では死ぬと闇の精霊の元に還ると言われてるんだよ。だから闇の精霊は死の象徴なんだ。でも闇曜日生まれの君がそうやって祈ってくれるのなら死は悪いものではないのかもしれないね。」
「エラン様、私の為に捨て身とかはやめてくださいね。目の前で死んだりなんかしたら私は死ぬまで、一生祈ってあげませんからね!」
私はプンプンとふざけた感じで告げた。
「わかってるよ。できるだけ長生きして君と色んなものを見て行きたいな。」
そうやって甘い言葉を簡単に吐く!
ほんとイケメンだな!




