第3話(バレエエッセイ第43話)・バレエ関係者に自主公演したいということを打ち明ける
いろいろなバレエの先生や舞台関係者が出ますので、アルファベット順に書いていきます。イニシャルではありません。
わたしがバレエ公演を思い立ったのは、十数年前です。でも漠然とした希望に過ぎなかった。でもいずれやることだけは決めていた。
だから舞台芸術について無料の講座があれば参加した。舞台上で演じるためには、ライト、音響、道具係いろいろな役目を果たす人が不可欠だ。その上で、バレリーナが踊る。その踊るためにも、振付がいる。単身ではできない。短期間ではできない。
舞台製作がはっきりと輪郭をもったのは、体力の低下。それと健康診断でひっかかり精密検査を受け、結果を聞いてから。人生に限りあり、でも、私の人生ってなに?
私がしたいことはすべて親から嫌がられた。だけど、これって間違って育てられていたよね?
……今からでも好きなことを好きなだけしても大丈夫だよね?
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まずは一昨年前にさかのぼる。
月に2~3回しか行かないオープンレッスンの経営者Aとの会話に成功した。A先生はバレリーナでもあり、指導者でもある。普段はなかなか会えないレアキャラ。勇気を持って話しかける。
「あの~、わたし、公演をしたいと思っています」
A先生は、緊張気味のわたしを見てにっこり。
「ああ、発表会のこと? あなたも舞台に出てもいいのよ」 ← 優しい……。
「いえ、違います。わたしの創作をバレリーナに踊らせて舞台で上演したいということです。わたし自身は踊りません。第一踊れませんし」
「では娘さんに踊らせるというわけですか」 ← まだ笑顔
「えっ、娘はバレエをやめましたし、それは考えていません」
「どういうことかしら」 ← とまどいの表情
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(娘を舞台に出すという発言をすぐに出されたことは、あとで考えるものがあった。作家は自作が上演される際、身内を舞台やメディアに出せという人が多いのかなと……)
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でまあ、なんとか特別に時間を取ってもらいまして舞台の内容をA先生に伝える。すると即座に「奇抜すぎる」 と言われました。A先生は純粋なクラシックバレエを踊り、指導することに人生を捧げている。こうして話を聞いていただけるだけで恐れ多い。
無名のわたしの作品が舞台化するとて難色を示されることは覚悟していた。が、奇抜という言葉が飛び出るとは思わなかった。奇抜……クラシックバレエをホラーテイストでやるのは無理があるかな。でもジゼル2幕の群舞のメンバーはウィリーという素敵な名前ではあるが全員幽霊だぞ。
クラシックバレエで一般的に連想される高雅なイメージとかけ離れてはいるが、一度限りの上演ならば怒る人はいないだろうし、上演することはそれでそれは意味があることではなかろうか。少なくともわたしの人生史上では価値がある。
そう、バレエに関してはポジティブ思考でいこう。
ともあれ、A先生はわたしが本気だとなんとか理解してもらい、振付師のB先生を紹介していただく。B先生の振り付けは公演で見て気に入っていたのでわたしが指名してA先生に許可をもらった形だ。
後日B先生に用件を伝えたところ即決だった。日を待たず公演概要を書いたレジュメを渡す。同時に公演場所など具体的に決めないことがたくさんあるのに気づく。うれしくて毎日の仕事以外はすべてバレエ公演のことばかり考えていた。とても充実していた。
その時は。