第38話・バレエのヤメ時
大人だろうが子どもだろうがバレエを始めるのも運命、またやめるのも運命だと思います。やめるときはどなたも悩まれると思います。せいせいした気分でやめるのは、多分ストレスがたまってたんですよ。それでよかったのですよ。
でもバレエの引力は強いもの。また別の機会でバレエと縁ができて、レッスン場に戻ったりしますよ。バレエ自体は嫌いにならない限り、バレエの神様はいつでもこっちを支配下にいれていると思う。
それではバレエをやめる原因究明まずは五項目あげてみます。
①、すべては自分のせい、思うように踊れないから
くやしいけれど、仕方がない。先生には本音は言えず、家庭や仕事の事情があるなどの理由をつけてやめると思う。大人バレエは黙って辞める人が多い。
②、時間が両立できないから、学校や仕事
受験は仕方がないなあ……中高からプロ志望ならともかく、そうでないなら学歴はないよりあったほうがいいから……先生も止める資格はない。一番あっさりと辞められると思う。
③、先生が嫌だから、バレエ教室が不満
これは子どもよりも親の意向があると思う。親同士の複雑な感情がからみあって、聞くだけでしんどいときもある。いっそ離れて新天地で修行するのもありだろうと思う。大人は自分でさっさと動けるからまだいいよね。
④、一緒にレッスンする人が嫌だから
女の子同士は面倒です。いじめがからむとやっぱりモチベーションも変わってくる。これも新天地に行くのもありだけど、同じ状況になったら今度はどうするかなどのシュミレーションが必要かと思う。いじめっ子はその時はよくてもいずれ天罰がくだると思っている。
⑤、時間のやりくりがつかない、妊娠と子育て、介護など
人生にはそういうときもある。再開できた時の喜びはひとしおですよ。
⑥、健康的な理由によるもの
たとえば、病気でドクターストップがかけられた、大けがをして後遺症が残った、年をとって骨粗しょう症になったとか。仕方がありません。でもできる範囲でバレエをしよう。私は足を骨折した際は手だけのバレエレッスンをしたことがあります。つらかったけれど、やはり再開できた時の喜びはひとしおでした。ものすごく下手になって、ゼロ以下マイナスからのスタートでしたけれどやれるだけマシです。
⑦、家族他周囲の反応がひどい
ピンクのチュチュ着て踊ったら似合わないとか……残念ですよね。特に大人バレエでは未だに周囲に内緒で踊る人がいます。この私とて母には未だに言えていません。黙ってやれたらそれでよし。罪悪感も最近感じないようになってきました。母の機嫌取りをする必要性も感じなくなった。何十年もかかって、やっとここまで思えるようになったと我とわが身に呆れています。
親子関係についての補足:好きという思いを拒否する周囲にどう対応するかで、人生への姿勢が決まります。私は生きているうちに気づいて修正できてよかったです。遅すぎますがそれでもいい。親は子の人生に介入すべきではないし、強制もすべきではありません。そういうことをするから子は人間関係のトラブルも決着をつけられぬようになります。
女同士のトラブルについての補足:とかく単純に狭い世界でのトラブルはいやらしいです。まだ十代で若いし人生経験もあんまりないのに、性格が陰湿なコがいるから。
これまた親の影響が強いと思うが卑怯な性格に育てられたコは哀れです。いじめに振り回される善良なるコは、心のメンテナンス、自己処理、割り切り方を学ぶべきです。
踊っているときに周囲のレッスンメイトの行動やしぐさでバレエが嫌になる……私もそういう時期があったので、やられる側の気持ちがしみじみわかる。いくら子供でも女は女です。子ども同志の感情対立は先生の毅然とした態度が必要です。
大人バレエの人間関係トラブルで、先生に相談しても変化なしであれば移籍すべし。私はそれをしたことがあります。今はいくらでも大人バレエのお教室がいっぱいあるから平気。この女心あたりは、特に男性の先生にはわからないと思います。
でもプロをめざすならこれも乗り越えてメンタルを強くすべきです。海外のオープンクラスでもたかがレッスンなのに、それでも目立とうとして前へ前へと出る人がいました。遠慮、謙虚と無縁な人もいるので、子供の時に嫌な思いをしておいた方がメンタルを鍛えられていいかも。
バレエを介した人との出会いは大切なもの。その選択も排除も自分次第です。バレエが好きという思いがあれば、環境を変えても続けて行けるものと思います。