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第27話・憂えるマスクつきレッスン…マスクバレエ



 令和二年初春からコロナウイルス騒ぎでバレエレッスンどころではない事態になりました。でも数カ月たった現在、ちょっとは落ち着いてきたのか、再開するところも出てきました。

 で、私も再開。バレエレッスン、したかったです。休養期間といっても長すぎる。それでなくても週に一度できたらよいという体たらくなのに、長期休暇どころか全然していないのは、ちょっとバレエ好きとしてはどうよ? ということです。

 久々のレッスン場、入り口に消毒剤。はい、喜んで。久々に会う受付の人、器具を持っていて私の額にそれをかざす。体温を計測される。はい、喜んで。いくらでも熱を測ってくださいませ。

 そして久々に会うレッスンメイト……また会えた。コロナのせいで仕方がないとはいえ、レッスン中止は長かった。また会えて本当にうれしい。

 そして久々の更衣室で久々にレオタードに着替える。改めて己の姿を客観的に見たら……体型が丸くなっていました。コロナ肥りですね……肩のライン、ウエストから腰にかかるライン、下腹部のふくらみ……レオタードは身体のラインを出して当たり前なのですが、あまりのひどさに言葉もなく、鏡の前に立ち尽くす私……。久々のレッスンだし、再開記念に薄い生地のバレエシャツをおろしたのに……それをレオタードの上に羽織ると、濃い色のレオタードが透けてまるでボンレスハムの包装紙のようでした。これでバレエが好きと主張するのはあまりに厚顔無恥ではあるまいか。

 ボンレスハムでも、やっぱり踊りたいかと聞かれたらそりゃもちろん踊りたい……ここの人たちも先生も優しいし、いざレッスンが始まってしまえば誰も私の体型なぞ気にしないだろう。


 レッスン場にいってストレッチをする。朝晩やっているので、大丈夫……しかし、足慣らしをしている人の動きを見て愕然としました。

 数カ月ぶりのレッスンでもストレッチはしているので、体は固くなっていないはず。しかし、グランプリエをしていなかった。本当に、大丈夫か、私……。ドゥミプリエなど小さい動きは狭い家でもできるので、やっていたけど、グランプリエやジャンプは家の構造上無理だからしてない。あいかわらずほっそりとした顔なじみさんが黙々とストレッチをしている中、もっこりとした肉布団の私はもう冷汗をかいている……。

 やがて先生がいらした。私を見て「おひさしぶりね」 と優しい笑顔……「肥った」 とは一言もおっしゃらぬのは有り難い。

 案の定、ひざがポキポキ鳴るし、足の裏もツリかけたし、背中は固い。カンブレの角度浅い。悪いところと悪くなったところが数え切れぬぐらい出てくる。

 しかし、しかしですよ。こんな状態になっても、やっぱりバレエはいいです。私なんかだめだーと心の中でうめきつつも、踊る。

 しかしここで問題が。

「ま す く……」

 私はマスクをして踊るのが大嫌いになりました。苦しい……中国の学校でマスク姿でマラソンをして亡くなった生徒がいたそうで、それ、すごくわかる。マスクだと空気が不足する。皆も同じ思いであるらしく、鼻部分を出す半分マスクの人もいる。あごマスクの人もいる。顔半分マスクで大きく隠している人も、そっとマスクをわざと浮かして呼吸を整える。多分、みんなもマスクをして踊るのは嫌いだと思う。

 ちなみに私が知っているバレエ団員は、生徒はレッスン禁止でも団員オンリーで距離空けてずっとレッスンしていたそうだ。で、マスクはしないで踊っていたという。舞台ではマスクしていると逆におかしいしね。ちょっとした呼吸も変わってくると思う。プロ同士でもマスクに関しては賛否両論はあるかもしれないが、一理ある。感染予防学にみて、おすすめできないのは皆承知している。本当に悩ましい。


 マスクは今後とも必要であるのは明らかなので、嫌いと思っても仕方がない。バレエ団の人みたいに割り切ってマスクなしで踊りたいが、私の行っているところでそれをいうとレッスン不許可になる。仕方なかろう。先にコロナ肥りの肉をそぎ落とさないといけない。体力の低下も感じたし、何よりも足があがらなくなっていたのがショックだった。バレエレッスンはバレエをやる人にとっては必要最低限のものだと痛感した。年をとった私でもそうなのだから、ましてや育ち盛りの十代、踊り盛りの二十代にとっては、この時期のレッスン中止は相当つらかったと思う。でもバレエをやるからには、マスクしないと。考え方そのものを切り替えないといけない。そして踊るのを続けよう。マスク嫌いでも生徒である間は従おう。




注・これは我が日本の状況で、欧米のオープンクラスに通う人によると

マスクをして踊ると逆に危ないという認識だそうです。令和二年八月現在、

コロナウイルスによる世界共通の防御法が確定していないので

それぞれのクラスのルールに従うしかありませんね……。

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