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ショーア、能力の一部を発揮

 まぁ誰にも欠点はある。

 それを許せるかどうかは、ミスの取り返しができるかどうかってところに基準を置かれることが多い。

 命の危険に晒されるような状況に追い込まれたりすれば、流石にそれは許容できないミス。

 それに比べたら、他のミスなら笑って許せるレベルだろう。


 だがここでは、そんな危機的状況に陥ることはほとんどない。

 「バナナの皮を放置してました」なんてことがない限り。

 つっても、どこの世界にバナナの皮を、何の悪気もなく床に放置する奴がいるんだって話だが。


 ということは、だ。

 命を危険に晒すようなミス自体存在することがあり得ない、とも言える。


 じゃあその次に重大と思われるミスとはどんなことか、と言う話になる。

 命の次に大事なものと言えば、安全な区域であるこの部屋の維持。

 部屋が壊されたら、命の危機どころじゃない。

 日本中が大騒ぎになるだろうよ。

 なんせ背中に羽根がついてる奴とか、下半身が馬の奴とか……。

 あとは……間違いなく、猫耳とか体中毛だらけのモフモフな奴が行方不明になる事案が連発するだろうな。

 ……俺もモフモフ系には弱いが、その前に奴らにも人格や性格ってもんがあるからな。

 それに、抵抗する体力は俺より格段に上。


 ……あぁ、逆にこの世界の人間の命が危ぶまれる可能性もあるな、うん。

 まぁそれはともかく。

 忘れちゃならんのが、連中が自分の世界に帰れなくなる事態が生じるってことだ。

 だがそれはあいつらの心がけ次第というか思考力や想像力次第だな。

 自分の首を絞めるような行為をする奴は、幸い今まで一人も現れていない。


 だが、ある意味とんでもないミスをしでかした奴がいる。

 最終的には、仕方ない、で済まさざるを得なかった。

 どの異世界にも存在しない、俺の世界の文明や文化がある。

 知らなきゃやってしまうミスもある。

 知らないなら、教訓にしてもらうしかないわけでな。


 ※※※※※ ※※※※※


「きゃあっ!」


 でかい悲鳴が上がり、直後にボンッ! と言う破裂音のような音が響いた。

 そして立ちあがる煙。

 それは流しの所で留まっている。

 嫌な焦げ臭い匂いは、俺には耐えきれなかった。


「お、おい、なにをやった?!」

「ご……ごめんなさい……」


 ショートヘア、と言うにはやや長めの、緑色のストレートヘア。

 ショーアのそんな艶やかな髪の毛が煤に塗れている。

 顔、体は言わずと知れたこと。

 地肌の白い色を見つけるのが難しい。


「……何だこの煤は……。うわ……流しもかよ……」


 握り飯の具は、普段は冷蔵庫に入っている。

 米は米袋に、その口はしっかりと縛られているから被害はない。

 不幸中の幸い。


 だがそれ以外、流しの周辺は不幸に見舞われた。


「掃除……夜の握り飯タイムに間に合うか? ……って言うか、何があった?」


 ショーアの足元には、何か焦げた物体が一つ。

 そこから細いひもが続いている。

 紐の先は……。


 壁のコンセントに続く延長コード……。

 これって……。

 下手すりゃ火災になるとこだったんじゃねえか?!


「お……お前……、何……しでかした?!」

「ご、ごめんな」

「ごめんなさいじゃなくて! 事情説明しろ!」


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新作小説始めました。
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勇者じゃないと言われて追放されたので、帰り方が見つかるまで異世界でスローライフすることにした

俺の店の屋根裏がいろんな異世界ダンジョンの安全地帯らしいから、握り飯を差し入れてる

cont_access.php?citi_cont_id=170238660&s ツギクルバナー
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