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常識に縛られない縛りプレイ!  作者: いとう
第1章 新たな出会いと縛りプレイ
6/49

1-6 廃墟の出逢い

お久しぶりです。

年末でゴタゴタしているいとうです。

6話です。

マチルダと名乗る老婆に無理やり連行された先にあったのは、なんというか、一言で表せば、ボロ屋だった。


いやいや、一瞬廃墟かと思ったぞ。


店どころか人が住んでいるようにも見えないのだが、マチルダさんはノックもせずに中にズカズカと乗り込むと、


「おい!パウロ!いるんだろ!」


「なんじゃい騒がしい!......あん?マチルダか?何しに来たんじゃ。その坊主は誰じゃい?」


声のした方を振り向くと、廃きょ...店の奥からずんぐりむっくりした、子供より少し大きいくらいの人影が現れた。よく見るとその顔は皺だらけの老人で、豊かな髭も蓄えられている。だが四肢は筋骨隆々で、拳は岩のようだ。殴られたらさぞ痛いだろう。


「さっきそこで面白い坊主を拾ってねぇ!リョー、このジジイはパウロだよ。薄汚れた店の薄汚れたジジイだが、腕だけはアタシの知る限りピカイチさね。」


「薄汚れているのはワザとじゃ!理由はお前も知っとるじゃろ!......それにしても、お前が誰かを気に入るなんて珍しいのぉ。」


「実はアタシに今朝、紫神様から神託が下ってねぇ。そこで出会ったんだよ。何やら面白そうなことを考えてるみたいでね。」


「お前さん、まだ神託を受け取れたんか。ワシはその方が驚きじゃわい。」


「あん?なんだい!やんのかい!」


「......なんでもないわい。」


いまの会話だけで何となく、マチルダさんとパウロさんの力関係が分かったような気がする。神託だの何だのと知らない情報が飛び出しているが、後で調べるとして、まずは糸だな。


メインウェポンが無いのは死活問題すぎる。


「取り込み中すまない。俺はリョーという。」


「いやいや、放ったらかしてすまんな。そういうことならお前はワシの客じゃ!んで、どんなものが欲しいんじゃ?シャツか?ズボンか?それともカーテンか?言えば何でも作ってやるわい!がははは!」


まさかとは思っていたが、やはりパウロさんが自分で制作した商品を売っているのか。


多分彼はあのファンタジーでおなじみのドワーフなのだろうが、あのゴツゴツした指でどうやって裁縫をするのだろう。普通ドワーフといえば鍛治なのでは?


俺はそんな考えはおくびにも出さず、質問する。


「俺が欲しいのは糸なんだが。」


「糸じゃと?それまた何故じゃ?」


「くっくっくっ......武器にするためだとさ。」


おい、マチルダさん。余計な茶々を入れるんじゃない!こっちは真剣なんだぞ!


「武器?......ブフッ!がはははは!リョーとかいったか、お前、面白いことを考えるのぉ。マチルダが気に入るのも分かるわい。いいじゃろ、今日は偶然珍しい糸が入っとる。これも紫神様の思し召しかもしれんの。」


案の定目の前のドワーフにも笑われることになった俺は、気になっていたことを口にした。


「紫神?」


「なんだいリョー、あんた《色彩の神々》を知らないのかい?」


神々だと?この世界には神がいるのか?それも複数?


「すまんが、俺は今日この世界に来たばかりでな。」


「おぉ!リョー、お前は()()()なんじゃな!そうかそうか、あの神託の日は今日じゃったな。」


来訪者?


「そういうことかね。いいかい、リョー。この世界にはね、世界を創造したとされる八柱の神々がいらっしゃるのさ。それぞれが色を冠しているから《色彩の神々》とも呼ばれているさね。」


「なるほど。神託というのは?」


俺の更なる疑問に、パウロと呼ばれたドワーフが答える。


「神託ってのはじゃな、『巫女』のジョブについておる者のみが稀に受け取れる神の声じゃ。驚くなかれ、そこの婆さんも『巫女』なんじゃよ。」



え、マチルダさんが『巫女』?


......ま、まぁ、ジョブが巫女なだけだからな。うん。若干、俺の中の巫女像が崩れつつあるが。


「その目はなんだい、リョー。これでもアタシは昔は美人だったんだよ。パウロ、アンタも余計なこと言うんじゃないよ!」


「うわはは!すまんすまん。で、話の続きじゃが、昨日の朝、この国の王都にある中央神殿の巫女に《色彩の神々》から神託が下っての。異世界から多くの()()()がこの地を訪れるだろう、ってな。そしてその知らせが急いで国中に知らされたってわけじゃよ。そういえば、結局来訪者ってのは何人くらい来たのかの?」


なるほど、その来訪者ってのが俺たちプレイヤーのことか。俺たちの存在はこの世界の住人にも認知されてるらしいな。


......待てよ。さっき平然とジョブの話をしていたが、もしかしてスキルやレベルの概念もあるのだろうか。


「俺たちはそうだな...確か合計で1万人程だと聞いている。この後さらに増えると思うが。」


「そんなにか!.....これはうちの店にも客が流れてくるかもしれんのぉ。」


「心配しなくてもこんな廃墟を店だと思って入って来るやつなんていないさね!あはははは!」


申し訳ないが、俺もマチルダさんに同意見である。マチルダさんに連れてこられなければ絶対に入らなかっただろうしな。


いつ壊れるかも分からん。パウロさんは服を縫う前に家を直すべきである。


そんなことをつらつらと考えていた俺は、ふと重要なことを思い出して少し蒼ざめた。


「す、すまん。さっきの糸の話なのだが、いま手持ちが殆どなくてな。それに珍しいものなら尚更高価だろう。今回は諦めようと思う......。」



俺の金はほぼ全てマチルダさんの腹を満たすのに使われてしまったからな。この話は非常に惜しいが、断るしかないだろう。


「なんだいリョー。あのときのですっからかんになったのかい?それは悪かったねぇ。朝から何も食べてなかったからね。歳取ると飯を食うのも忘れちまうのさ!財布もね!あははは!」


マチルダさん。笑い事ではないのだ。


「ったくこの婆さんは......。リョー、ワシもお前のことが気に入ったぞ!じゃからの、ちょっとしたお願いを聞いてくれればタダで糸をやってもいいぞ!」


おお!パウロさん!あなたが神か!


「本当か?それはとても助かるが...お願いというのは?」


「なあに、()()()じゃよ。」


***


俺はマチルダさん、パウロさんと別れて街の外の森の前まで来ていた。


その名も《堅牢の森(アーマードフォレスト)》。


その外縁部である。というのも、パウロさんのお願いとはこの森に生息するアーマードラビットの素材の入手だったからである。来訪者が客として来たときのために防具を増産するらしい。


結局パウロさんって何屋なんだ?防具も作れるのか?まず店を直せ。


あの後、マチルダさんとパウロさんに聞いた話によると、この世界の住人にもスキルやレベルといった概念は存在するらしい。


すなわち、俺たちプレイヤーとほとんど変わらない強さを持つらしいのだ。


唯一の違いは、SPの有無である。この世界の住人は主に鍛錬や神殿での儀式によってスキルを獲得するらしい。実際にパウロさんに見せてもらったステータスがこれだ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

NAME:パウロ

Race:ドワーフ

JOB:匠

Lv:89

HP:1064179780400

MP:76

STR:399

VIT:289

DEX:134

INT:22


〈Skills〉

【槌術】Lv.10 【HP増加・大】Lv.7

【身体能力強化・大】Lv.8 【裁縫Ⅱ】Lv.10

【鍛冶Ⅱ】Lv.10 【建築Ⅱ】Lv.10

【土魔法】Lv.3 他

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



...パウロさん、強すぎである。HPなんて文字通りの桁違いだな。何でこんな人が廃墟同然のこんな場所に住んでいるんだ?


余談だが、マチルダさんは「乙女の秘密さね」と言ってステータスは見せてくれなかった。余談だが。


ちなみに、「乙女?」といったパウロさんが叱られていたのも余談である。このステータスのパウロさんにこんな態度でいられるマチルダさんって...。


2人に話を聞いたところ、スキルにはレベルがあり、そのスキルを使う程に上がり、最大レベルは10であるらしい。また、スキルにはレベルとは別にランクもある。これは極めて稀に特定の条件下でアップするらしい。


その他にも、2人には色々なことを教えてもらった。亀の甲より年の功だな。この世界の亀の甲は現実世界よりもっと使い道が多そうだが。


ちなみに俺の【糸術】について尋ねたが、2人ともそんなマイナースキルは聞いたことがないとのことだった。


あのサポートAI......。


────────────────────

【糸術】Lv.1

糸を操ることが出来る。

────────────────────


ちなみに、スキルは詳細を確認することが出来た。説明文はもはや読んで字のごとしではあるが。


いま重要なのは、俺が今から倒そうとしているアーマードラビットはレベル1の俺でも十分に倒せる相手らしいということである。ちなみにこの世界の住人は生まれつきスキルを5つ持って生まれてくる。なんと俺の5倍である。


すごいな。いや、俺が少ないのか。



......そしてこのときの俺は、この事実が持つ意味をまだ正しく理解していなかったのだ。

急がず焦らず書いているので投稿が非常に遅い...。

年内にもう一回更新できるかな...。


主人公が糸を使うのは、

縛りプレイ ⇒ 縛る ⇒ 糸...?

みたいなノリですね。深い意味はないです。

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