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常識に縛られない縛りプレイ!  作者: いとう
第3章 世界の広さと縛りプレイ
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3-2 旅立ちの挨拶

こんにちは!

前書き忘れてたので後付けです!笑



急に主人公が主人公し始めて動揺している方もいらっしゃるかと思います!すみません!

ミクとともに支部長室を後にした俺は、《セルノス》の街を出る前に挨拶回りをすることにした。


「私もおにーちゃんがお世話になった人に挨拶する!」


というのはミクの言葉だ。

かといってパウロさんたちに会わせる訳にも行かないので、とりあえずいつものように酒場にいるダリアさんから挨拶をすることにした。



おっ、いたいた。

《セルノス大狩猟大会》終了直後から、ダリアさんのテーブルに転がるお酒の空き瓶の量が増えたような気がしている。


イベントで疲れたのだろうか?



「ダリアさん!」


「んあぁ〜?ミクか?それにそっちはリョーじゃねぇか。久しぶりだな〜...」


ダリアさん、真っ昼間からベロベロである。


「ちょっとダリアさん!飲み過ぎですって!ほら、お水飲んでください!」


ミクはそう言って、水の入ったジョッキをダリアさんに差し出した。


「いつも通りだぞ〜?」


そう言いつつも、素直に渡された水をゴクゴクと飲み干すダリアさん。


「...っぷはーー!うん。ちょっとすっきりした。それで?今日はどうしたんだ?」


ぱっと見は普段通りにもどったようだ。

まだだいぶ酒臭いが、それは割といつものことだったりする。


「近いうちにこの街を離れようと思ってな。ダリアさんには俺もミクも色々と世話になった。ありがとう。」


「あー、そういうことか。いいんだよ。私が好きでやったことなんだから。」


口ではそう素っ気なく言っているが、ダリアさんの口元はモニョモニョしている。

照れているのか。


「ダリアさん!本当にありがとうございました!私が今おにーちゃんといられるのは、ダリアさんのお陰です!」


「ああ、ミク。お前は本当に努力したよ。私の訓練に付き合える者などそうそういない。誇っていいぞ。よかったな。」


ダリアさんは自分も誇らしげにそう言った。

そして酒を一杯。


「じゃあ私は飲み直すからな。また縁があったら一緒に呑もう。元気でな。」


ダリアさんはそう言って、また次々と酒を煽り始めてしまった。

このさっぱりした感じがいかにもダリアさんらしいな。


「ああ。では俺たちは行く。ダリアさんも元気でな。」


「ダリアさんみたいに強くなって戻ってきますね。その時は一緒にお酒を飲みましょう!」


俺とミクはそう言って、ダリアさんのもとを後にした。

探索者協会を出る辺りでもう一度振り返ったが、ダリアさんは相変わらず酒を煽っていた。


いつかまたここに戻って来よう。



***



リョーとミクが去った酒場の中。


「......一緒にお酒を飲みましょう、か...。」


二人が去った方向を見つめたままダリアはそう独りごち、また酒に呑まれていくのであった。



***



ダリアさんへの挨拶はしたし、ダイナさんにはよろしく言ってもらうとして、あと残ってるのはマチルダさん、パウロさん、ヒルトにジーク、サミュエルさんに神が二柱(ふたり)...だけ、か?


あれ?もしかして俺って知り合い少ない?

みんなもっと色んな人と知り合ってるものか?

というか、神々は知り合いに入れてオッケー?


いや、俺は特訓に明け暮れてただけなんだ。

友達作りが下手だなんてことは断じて無いはず...!



「よし、ミク。とりあえず教会に行ってもいいか?世話になった人がいるんでな。」


「もっちろん!私はもうおにーちゃんのパーティメンバーだもん!どこでもついていくよ!」


なんとも頼もしい返事である。

教会は確か...あっちだったな。

最近行ってなかったし、ついでに神に祈りでも捧げてくるか。


などと多少不敬なことを考えつつ、俺はミクと二人で教会へと向かった。



***



「これはこれは!リョーさん、お久しぶりです!」


教会に入ると、サミュエルさんがいつもの満面の笑みで迎えてくれた。

実家のような安心感である。


ん?パウロさんの店があるだろって?

いやいや、あれは今にも崩れそうという意味で不安しかない。


いや、いまはそのことは置いておこう。



「久しぶりだな。最近顔を出さなくてすまん。この街を離れることにしたから挨拶をしに来たんだ。ついでに神に祈っても?」


俺の言葉を聞いたサミュエルさんは目を丸くして、それから微笑んだ。


「ふふふ、神々が私のついでですか。私が言ってはいけないのかもしれませんが、嬉しいですね。ありがとうございます。」


サミュエルさんにはお世話になったからな。

立てなくなった時に身体を支えて貰ったりもしたし。


「こっちは妹のミクだ。」


「こんにちは。」


「これはこれは、よろしくお願いしますね。では、奥の部屋へどうぞ。」



俺とミクはサミュエルさんに導かれ、《色彩の神々》の像が立ち並ぶ部屋へと足を踏み入れた。


そして、見覚えのある光景を目にして立ち止まった。

紫神の像が、光っている。

いやよく見れば、黒神の像も薄っすらと光っているな。


「ねぇ、おにーちゃん。あの像、光ってるように見えるんだけど...」


「ああ。前来た時にも光ってたんだよ。とりあえず像の前で祈ってみよう。呼びかけたら答えてくれるかもしれん。」


「う、うん...。やってみる!」


そう言ってミクは歩き出した。

()()()()()の方へと。


「ん?ミク、光ってるのはこの像だろ?」


俺は紫神の像の目の前まで行き、そう言う。

するとミクは首を傾げ、


「え?おにーちゃんしはそっちが光って見えてるの?私はこっちが光ってるように見えるんだけど...。」


ミクはミクで別の像の前にいる。


俺たちが内心で首を傾げていると、突然、頭に懐かしい声が響いた。


『ふふ...また会いに来てくれたのね...』


一瞬で俺の視界は遠のいた。



***



そこはいつか来たような空間であった。

前と違うのは、目の前に広がる景色に紫と黒が半分ずつ、というところだろうか。


そして例によって神威を隠す様子もない二柱(ふたり)が、そこにいた。


『久しいな、リョー。励んでおるようで何よりだ。』


「あ、あぁ。お陰様でな。」


『ふふ...』


俺は冷や汗を全身に大量にかきながらも、そう答えた。


神々二柱がかりの神威は流石にちょっと厳しい。

黒神はそういうことに無頓着で気がついてないんだろうが、紫神の奴、これは絶対わざとだろ。


『やっぱり貴方、面白いわぁ。この短期間でそんなに強くなるなんて。黒も嬉しそうだし、ちょっと可哀想だから、緩めてあげる。』


途端、身体にかかる圧力が半分になった。

やっぱりわざとじゃねぇか。おい。


あと、黒神が嬉しそうかどうかは全く分からない。

無表情にしか見えないんだが?


『それで?何の用なの?』


「この街を離れることにしてな。挨拶回りをしているんだ。あなたたちにそれが必要かどうか分からないが...」


『ふふ、もちろん、いらないわ。でもありがと。私たちに会いたくなったら、私たちの像に祈るといいわ。いつでもいいわよ。ね?黒?』


『うむ。お前が試練に立ち向かっておる内はな。』


『あら、厳しいこと。そういうわけだから、リョー、頑張ってねぇ。』


その紫神の言葉とともに俺の意識は再び遠のき、



...


俺はまた、神像の前に立っていた。

像はもう光っていない。


前のように動かなくなってしまうことはなかったが、それでも全身に汗をびっしょりとかいてしまった。



ん?向こうの方ではミクが何か考え込んでいるな。

話を聞いてみるか。



「ミク、どうした?」


いつも応援ありがとうございます!


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ありがとうございます!

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