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常識に縛られない縛りプレイ!  作者: いとう
第2章 初イベントと縛りプレイ
45/49

2-20 情報屋の誇りにかけて

みなさんいつも応援ありがとうございます!

誤字報告も助かってます!

探索者協会の前に設置されたステージは、観衆からよく見えるように地面から2メートルほど高くなっていた。


素晴らしい心遣いだとは思う。

思うのだが...いまは居心地が悪い原因でしかなかった。



ステージ上に到達すると、観衆の視線が突き刺さるのを感じた。


会場は依然として騒がしいままだが、住民も、来訪者も、誰も彼もが俺の一挙手一投足を見逃すまいとしているように感じる。



全校集会のときの校長先生ってこんな気持ちなんだろうか。

話が長いとか思って申し訳ない。

今度からもう少しだけ、真面目に聞くことにしよう。



俺は内心の動揺を悟られまいと、足早にダイナさんの前までやって来た。

腕組みをしてこちらを凝視するダイナさん。


な、なんだ?

もしかして正体がもうバレたとか?


いや、流石にそれは無いはずだ。

このマスクは即席とはいえ、顔を完全に覆っている。

()()()()()()()()()()()ことを除けば完璧なはず...!


「なぁ、お前...」


「ん?どうした?」


口を開いたダイナさんに平静を装って答える。


「なんでステージに登って来たんだ?匿名希望なんだろ?別に賞品は後で受け取れるぞ?」



...

......


そうじゃん。その通りじゃん。

せっかく目立たないように匿名参加したのに、何をノコノコ出てきてるんだ、俺は。


ソロ部門一位という事実に自分で思っていた以上に動揺していたようだ。


しかし来てしまったものは仕方がない!

開き直る!



俺は頭を高速回転させる。


「そのことで話があって来たんだ。」


そのことってどのことだ?

話なんて無いんだが...うーーーん。


そのとき、ソロ部門一位の賞品が悩む俺の視界に入った。


そうだ!


「その...賞品を辞退しようと思ってな。見たところ...それは大剣だろう?俺の戦闘スタイルには合わないんだよ。」


ざわざわとどよめく観衆。

そりゃそうだよな。

何のために参加したんだって話だもんな。


でもまぁ実際、手に入れたところで使わないものは使わないし。

アイテムボックスの肥やしになるくらいなら辞退した方が武器のためだろ。うん。


それよりも早くこの場を立ち去りたい。


「手に入れてから売るなりなんなりすればいい気もするんだけどな...?」


うん!ダイナさん正論!

正論だけど!今は合わせて欲しい!


実はさっきから息が苦しいのだ。

このマスクに目元しか穴が空いてないからなのは自明なんだが。


「それは、アレだ。そこの二位の彼にあげてくれ。彼ならもっと有効に使えるだろう。では、そういうわけだ!また会おう!」


俺はそう言い捨て、上がったステータスを存分に活かして走り去った。


しかし適当なこと話しすぎた!

なんだ、また会おうって!

穴があったら入りたい!


俺はそのまま人気の無い場所まで走り、肩で息をしながら、二度とMALO内で目立たないことを心に誓ったのだった。



ちなみに、賞金を貰いそこねたことに気がつくのはもう少し後である。



***



よ!おなじみハワードだ!

元気だったか?


俺はいま、《セルノス大狩猟大会》の表彰式を見ているところだ!


情報屋にとって、ここで表彰される奴らの顔と名前を覚えるのはめちゃくちゃ大事だからな!

あわよくば顔つなぎもしちまおうってわけだ。



ここまでの入賞者はまぁ大体俺たち情報屋の予想通りだな。


第五位のローランだけはちょっと予想外だったが、奴の戦闘スタイルが《堅牢の森》の魔獣に上手く噛み合ったんだろう。

確かメイスで相手を殴りつけるスタイルのはずだ。


四位と三位は《二本角(ダブル・ホーン)》の二人か。

住民達の間ではえらい人気みたいだな。

確か王都の探索者のトップ争いに嫌気がさして、セルノスの探索者協会に移ってきたって話だ。


こっちではぶっちぎりみたいだな。

まぁ、酒場でグルンのじいさんが言ってたダリアって探索者みたいなパターンもあるからな。


まだまだ強い奴はたくさんいそうだ。


第二位は〈剛剣〉ライオス。

まぁ、大方の予想通りだな。なんであんなに強いのかはさっぱり分からん。

本当ならサービス開始直後にPS(プレイヤースキル)以外であまり差はつかない筈なんだが。


〈剛剣〉はなぜか力が桁違いなんだよな。

何か秘密があるんだろうが。




...だが、一番気になるのは()()()だ。


第一位、匿名希望。

いや、匿名希望ってなんだよ。

その制度利用してるヤツも珍しいが、まさか第一位になるとはな。


しかもあの〈剛剣〉相手にトリプルスコアだぞ?

きっと来訪者じゃない。名のあるNPCだろう。


あの表彰式のときの余裕は、MALOを始めたての来訪者には出せない風格があった。


あの不気味な真っ黒の外套に顔全体を覆う真っ白なマスク。

挙句、賞品まで突っぱね、あの〈剛剣〉相手に賞品を譲ってやるから有効に使えとまで言いだした。


そしてあの立ち去るときの速さ。

あのステータスはその辺の探索者の比じゃねぇ。



もはや奴が何のために参加したのかも分からないが...運営が特に力を入れたNPCなんだろう。


今後のMALOの展開に関わってくるだろうというのが、俺を含めた大半の来訪者の予想だ。


いずれあのNPCの情報も掴んでやるぜ。

情報屋の誇りにかけてな。


ま、今のところはローランと《二本角(ダブル・ホーン)》、〈剛剣〉の情報でも集めるとするか。

急にポイントが増え始めて嬉しい限りです!


感想、誤字報告、お待ちしてます。

ブックマークと評価もぜひぜひ!!

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