2-18 一位のアイツら
イベント結果発表!
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────3!
───2!
──1!
『《セルノス大狩猟大会》ッ!これにて終了ーーッッ!!』
司会者の声が《セルノス》の街に響き渡る。
それと同時に歓声を挙げる住人たち。
既に酒でベロンベロンになっている者もチラホラいるが。
俺はイベントの終了時刻に合わせて、《堅牢の森》から探索者協会の前に戻ってきていた。
森の中を糸で飛び回りながらMALO内時間で4時間ほど魔獣を狩り続けたので、少し疲れてしまったな。
その甲斐あってか、数多の魔獣たちに加えて、アーマードグリズリーも二頭も狩ることが出来た。
なんだか《堅牢の森》って深いところの方が魔獣が強かったような気がするんだよな。
普段ならこんな短時間に二頭も出くわさないし。
お、点数と順位が開示されるみたいだ。
イベント結果発表を盛り上げるため、最後の1時間は各参加者のポイントが伏せられていた。
お陰で、俺も自分の点数を知らない。
司会者が拡声の魔道具を持って壇上に上がる。
『皆さま!長らくお待たせいたしました!今回の《セルノス大狩猟大会》、結果発表のお時間ですッ!!』
──ウォォ!!
──わぁぁ!!!
盛り上がる観衆。
会場のボルテージも、俺のテンションもどんどん上がる。
『ご存知の方も多いと思いますが、《堅牢の森》にて制限時間内に倒した魔獣の数と種類がポイント加算の対象となります!ではまず、パーティの部から!』
パーティの部か。
俺の知り合いだとヤナギのところと、ミクのところが参加していたな。
あれ、そういえばパーティ名聞くの忘れてた。
『第五位!《近所の仲良し5人組》!なんとも安易なネーミングだが、強い!並みいる来訪者パーティを寄せ付けず、堂々のランクインだっ!!』
──うぉぉぉ!!
集まった民衆から歓声が上がる。
五位は住民だけのパーティみたいだな。
やはりMALOではゲームといえども、住民の行動の自由度もかなり高いようだ。
『第四位!なんと驚き!たった二人のパーティだ!!名前も面白いぞ!《酒とぱふぇ》!!』
──ウォォォ!!ミク様ァァァァ!
──ダリアさぁぁん!
あ。今の男臭い歓声で分かってしまったが、これがミクのパーティのようだ。
ダリアも人気だな。俺にはただの飲んだくれに見えるんだが?
というかあの一画、完全に《ミク様親衛隊》の奴らだろ。アーガスさんもいるし。
『第三位、八人パーティ《ミク様親衛隊》!参加理由は「ミク様をお守りするための活動資金集め」とありますが...ミク様?第四位パーティメンバー、ミクの親衛隊なのかっ!?圧倒的な親衛隊精神で、堂々のランクイン!!』
ってお前ら第三位かよ!案外強いな!
親衛隊精神ってのがなんなのか知らんが、司会者も白熱していて楽しそうだ。
楽しそうならいい。お祭りとはそういうものだからな。
『第二位!!これは珍しい来訪者との混合チーム!《疾風》だっ!リーダーのヤマダは来訪者としてはこの街一番の有名人!私も息子が世話になった!ありがとう!』
───ありがとーーー!ヤマダーー!
──また来てくれよーー!
掲示板でチラっと見た、《パシリ》のヤマダくんのパーティか。司会者や他の民衆の様子を見るに、住民たちからの信頼は厚そうだ。
というか、厚すぎないか?
そんなに住民のお願い系のクエストばかりこなせるものなのか...?
『そして注目の第一位...!序盤から圧倒的なペースでポイントを稼ぎ続けた...《チームヤナギ》だ!!!強い!強すぎる!!』
──ウォォォ!メグミさぁぁん!!!
──キャァァァ!ヤナギくぅぅぅん!!
これがヤナギのパーティみたいだな。
俺は内心、《チームヤナギ》の一位には納得していた。
ヤナギはリアルチートかというくらいには運動が得意だし、香月さんも文武両道、多分ゲームでもそれを発揮していることだろう。
ベリ美は...なんかこう、いるだけで敵にデバフとかかかりそうだしな。うん。
そんな三人が、パウロさんお手製の性能ぶっ壊れ武具をそれぞれ手にしているのだ。
いくら攻略初期とはいえ、そんじょそこらの探索者に負けるわけがない。
お、表彰式が始まるみたいだな。
***
『皆さまお待たせいたしました!パーティの部、表彰式を開始させて頂きます!まずは主催、探索者協会セルノス支部長からごあいさつです!』
司会者の声が高らかに響き渡る。
セルノス支部長か...どんな人なんだろうな。
そして現れたセルノス支部長を見て、俺はかなり驚いた。
『紹介に預かった、支部長のダイナだ!時々カウンターにもいるから、会ったことのある奴もチラホラいるな?ま、今後もよろしく頼むよ。』
ダイナさん...!
支部長だったのか...
普通に職員のおっちゃんだと思っていたんだが。
確かに言われてみれば、カウンターにいる日といない日があったが...。
《チームヤナギ》の一位以上の驚きだな。
驚く俺を他所に、ダイナさんの挨拶は続く。
『俺がここでダラダラ喋っても仕方ない!この後たくさん盛り上がると思うが、羽目を外しすぎるなよ!俺が言いたいのはそれだけだ!以上!!』
ダイナさんはそれだけ言うと、さっさと戻ってしまった。らしいといえばらしいな。
すかさず司会者が拡声魔道具で進行を続ける。
『では早速、賞状と賞品の授与です!』
***
そこから、各パーティの代表者に賞金、賞品が配られた。
事前の通達通り、パーティの部の賞品はポーションや毒など、探索に役立つレアアイテムたちだった。
来訪者たちにとっては、攻略への大きなアドバンテージになることだろう。
そんなに渡して探索者協会の運営は大丈夫なのかと心配になったが、聞くところによると今回参加者が手に入れた素材は全て、探索者協会の懐に入るらしい。
ダイナさん、ちゃっかりしてるな。
俺は近くの屋台で買ったアーマードラビットの串焼きをムシャムシャ食べながら、既に酔っ払ったダリアさんがポーションを酒と間違えて飲んだり、ベリ美の特大ウィンクを受けた司会者が倒れて運ばれたりするのを見ていた。
いくつかハプニングを交えつつも、パーティの部は恙無く表彰式を終えた。
一位の《チームヤナギ》や《パシリ》のヤマダはこれでMALO内での知名度がかなり上がったみたいだな。
既にファンクラブなんて話も聞こえてくるし。
さあ、次はいよいよ個人の部だ。
1話に入りきらなかった...
次章のプロット練り中です。
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