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常識に縛られない縛りプレイ!  作者: いとう
第2章 初イベントと縛りプレイ
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2-15 ダリアの過去

今回短めです。


ちょっと回想シーン。

この世界、NPCにも、過去はちゃんとあります。

ジャパニーズNINJAスタイル...。

それがどのようなものか私にはよく分からなかったが、ミクの闘い方を観察していればその方針は分かる。


つまり、「敵に見つからず、悟られずに、倒す」ということだろう。


私の闘い方とは真逆だな。

曲がりなりにも『()()』だった私の教え子が、どうしてこんなことになるのか分からないんだが。


...あの(リョー)にしてこの(ミク)あり、ということだろうか。


「なぁミク、そんな闘い方を誰に教わったんだ?」


私はミクに別の師匠がいる可能性も考えながら、聞いてみた。


「あ、これ、私の故郷の物語によく出てくる人達の闘い方を参考にしたんです!一度やってみたかったんですよね!」


なるほど、そういうことか。

内心ホッとしながら神妙に頷いておく。


「ふふ、私の先生はダリアさんだけですよ。」


ミクは私の一瞬の不安を見透かしていたようだ。

まったく、敵わないな。


私はミクのその笑顔に、ある少女の笑顔を重ねていた。



そういえば彼女も今頃、ミクと同じくらいの歳になるか...。



***



───8年前、とある王宮の中庭にて


「えい!やあ!」


よく手入れされた庭木の間を駆け回り、小さめの木剣を振り回す少女。

年の頃は8つほどだろうか。


輝くような白い髪は、後ろでひとつに纏められ、快活な雰囲気を醸し出している。


その姿を、傍らで微笑ましく見つめる一人の男がいた。

名をリオネルといい、当時、この国の第二王子であった。


「どうだい、ダリア?我が妹は練習熱心だろう?」


リオネルは側に控える、甲冑を纏った女性騎士に声を掛けた。


「ええ、とても。私がエリス様の歳の頃は、まだ剣も握ったことなどありませんでした。」


「おや?かの《白銀騎士団》副団長のダリアがかい?意外だねぇ。」


リオネルは心底意外そうに、そして少し茶化すように言う。

それに対して、表情を変えることなく答える騎士。


「私が初めて剣を握ったのは、騎士学校に入学してからですので。」


「くっくっ。相変わらずの無愛想だなぁ。」


苦笑するリオネル。


「仕事ですから。」


淡々と答える騎士。


そんな二人の元に、先ほどの少女がやって来た。

彼女はエリス。

紛うことなきこの国の第二王女である。


「おにーさま!今日も稽古をつけて下さいまし!...そちらの騎士は初めて見る顔ですが...?」


エリスはダリアを見て、怪訝そうにしている。


「やぁエリス。練習熱心だね。今日はそんなエリスに、練習相手を連れて来たよ。」


「初めまして。エリス様。《白銀騎士団》副団長のダリアと申します。今日からエリス様の剣のお相手をさせて頂きます。」


それを聞いた途端、エリスは顔を輝かせる。


「まぁ!おにーさま、ありがとうございます!ダリア...だったかしら?これからよろしくお願いしますね?」


そう言って微笑むエリスの笑顔の中に、ダリアは違和感を感じていた...。



***



「ダリアさん?どうしたんですか?」


ダリアが遠い昔のことを思い出していると、ふと、ミクが心配そうにダリアの顔をのぞきこんでいるのに気がついた。


「ん?ああ、すまん。考えごとをしていたんだ。次の魔獣を探しに行くぞ!そして...帰って早く酒を呑もう。」


「ふふ、じゃあ私はパフェで!そうと決まればサクサク行きましょう!」


ダリアは再度ミクの気遣いを感じつつも、次なる魔獣を探して動き出すのだった。


今日も今日とて、酒に呑まれようと心に決めながら。



***



時は再び、8年前。


「ダリア、稽古をお願いしてもよろしいかしら?私は一刻も早く、強くならないといけないのよ...。」


エリスはリオネル王子が中庭を去った後すぐ、ダリアにそんな台詞を投げかけていた。


ダリアはエリスの様子を窺いつつ、こんな質問をした。


「エリス様。エリス様は何故、そんなに強さに貪欲なのでしょう?」


名高い《白銀騎士団》の副団長という肩書きをもつダリアから見ても、8歳にしてこれほど『強さ』に執着するのは少々異常に見えた。


その質問に、当然のことのように素っ気なく返すエリス。


「そんなの、自分のために決まってるじゃない。私は第二王女。いつ命を狙われるか分からないわ。それに、力が無いものに誰も着いては来ないわ。私は将来、民衆を引っ張らなければならないの。」


その言葉が、ダリアにエリスの境遇を理解させた。

王族であるという強い自負と責任感が、エリスを『強さ』に貪欲な少女にしてしまったのだ。


リオネル王子はそれが分かってダリアに稽古をさせたかったのだろうか?


あの、「よろしくねぇ〜。」という気の抜けた言葉の中にどれほどの意味が詰まっているかはダリアの知るところではないが、


ダリアは騎士。頼まれた任務は遂行するまでである。

そう思い、神妙な顔をしていると、今度はエリスの方がダリアに質問を投げかけてきた。


「そういう貴方は?かの《白銀騎士団》の副団長なんでしょう?貴方の方こそ強さに貪欲ではないの?」


「それは...では、エリス様がもっとお強くなられたときにお教え致します。」


少し挑発気味にダリアが言うと、エリスは少し目を見開き、口元を緩めた。


「いいわ、その言葉を忘れないでね。」


「はい。ではまずは、体捌きの訓練から始めましょう。」


「...あなた、本当に無愛想ね。」



そんなやり取りを経て、ダリアとエリスの特訓が始まったのだった。

400pt突破!

ありがとうございます!


次は目指せ500ptなので!

是非!ブクマと!評価も!

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