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常識に縛られない縛りプレイ!  作者: いとう
第2章 初イベントと縛りプレイ
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2-5 ダリア先生の狩猟教室

どうも!風邪気味のいとうです!

みなさん体調には気をつけてくださいね。


今日も来ていただき、ありがとうございます!

俺とミクは、ダイナさんの努力の甲斐あって、少し酔いの覚めたダリアさんと共に《堅牢の森》に来ていた。


「よし!じゃあ探索者の後輩であるリョーとミクに、私が直々に稽古をつけてやろう!名付けて、『ダリア先生の、ドキドキ!狩猟教室』だ!」


「「はい!よろしくお願いします!」」


ダリアさんがすっかり先生気分なので、俺たちも乗っかってみる。


「やめろやめろ、リョー!お前の敬語なんて気持ち悪くて聞いてられん!」


「だよな。俺もだ。」


ちょうど俺も、ダリアさんに今更敬語で話すのは気持ち悪いと思っていたところだった。やっぱり今まで通りいこう。


「それで、先生?まずは何をするんだ?」


「よくぞ聞いてくれた!リョー!まずは君たちの実力を見せてもらおうと思う!」


相変わらず先生気分のダリアさんが続ける。


「はい!先生!」


「どうした、ミク!」


「魔獣を倒せばいいってことでしょーか!」


ミクも面白がって乗っかってるな。俺は苦笑しながらそのやりとりを見ている。


「うむ、その通りだ!ではミク、魔獣を倒すためにまず何をしなければいけないと思う?」


「えと...筋トレとか?」


うんうん、その通りだな。筋肉は全ての資本。

ミク、大正解だ!


「ははは!確かにそれも必要だな!だがまずはな、魔獣を見つけなければならないのだ。」


「あ!たしかに!」


ふむ、たしかにその通りだ。見つけなければ倒すこともできないからな。だが、ミクの答えもイイ線いってたと思うぞ!


「では次に、妹の答えにいたく感動しているリョー。」


「な、なんだ?」


こちらをジト目で見つめるダリアさん、さては読心系のスキル持ちか?クールがウリの俺を動揺させるとは。


「魔獣を見つけようと思ったとき、何を見る?」


「ふむ...何か痕跡のようなものを探して、それを辿る...とかか?」


「よし。その通りだ。では今から君たちにその痕跡の探し方を教えてやる。そして見つけ次第、一人ずつ戦ってもらうからそのつもりでな。」


なんと!それはありがたい。いちいちレーダー糸で探索しながら進むのも結構骨が折れるからな。


「はい!先生!これは痕跡ですか?」


「お、ミク、早速見つけたのか?ふむふむ...大きめの木に三本爪の傷跡か。木に跡をつけるのはそこが自分の縄張りだと示すためだな。この傷の深さと形からして...アーマードグリズリーか...?」


急に真顔になったダリアさん。頭を抱える俺。最近のこういった不運は全部あの紫神のせいなんじゃないかと思っている。


「ミク、リョー、警戒しろ!近くにアーマードグリズリーが...いる...かも...」


こらこらダリアさん、俺の後ろを見て固まるのはやめてくれ。俺はゆっくりと振り向く。


すぐ近くからこちらを威嚇するアーマードグリズリーと目が合ってしまった。


途端に走り出すアーマードグリズリー。彼我の距離はあと数メートルといったところか。


「クソッ!二人とも!ここは私に任せて逃げろ!」


ダリアさんが俺の前に躍り出る。

俺たちは探索者だから死んでも生き返るというのに、庇ってくれるつもりなのか。



ん?なんでこんなこと悠長に考えてるのかって?


「大丈夫だダリアさん。もう終わってる。」


「はっ?」


頭と身体を切り離され、目の前で崩れ落ちるアーマードグリズリー。

それを目の前で見つめるダリアさん。

よく分かってないミク。

糸をしまう俺。


「いやいやいや!ちょっと待てよリョー!今のはお前がやったのか?」


「あー、うん。そうだな。出来れば他の人には黙っててもらえるとありがたい。」


ぽりぽりと頭をかきながらダリアさんに頼んでみる。


俺のスキルのことなんて明かしたら、大混乱になるからな(とくに来訪者が)。神殿がパンクしてしまいそうだ。


「言ったところで誰にも信じてもらえないわ!お前アレ、堅牢の森の主だぞ?なんであんなアッサリ...。私でもあの距離だとちょっと苦戦するのに...」


ダリアさんが何やらショックを受けている。

そしてミクはというと、


「すごいすごい!おにーちゃん、クマ倒しちゃった!私もやりたい!」


大興奮である。

最初に遭遇した魔獣がアーマードグリズリーなんて、どんな罰ゲームかと思うが...。我が妹ながら、肝が座っている。


「リョー、妹に誇らしげな視線を向けているところ悪いが、何をしたんだ?リョーはヤツに触れてもいないから、格闘系のスキルでは無いと思うんだが。」


ダリアさん、やはり読心系のスキル持ちかっ...!

それにしても、糸が見えてなかったのか?


「あー、前ダイナさんには言ったんだが、俺の武器はこれなんだよ。」


俺は右手に巻きつけていた糸の束を二人に見えるように掲げた。


「それは...糸?そんなもので倒したのか?堅牢の森の主を?」


メインウェポンをそんなもの呼ばわりされて密かに落ち込む俺。


「...ああ、そうだ。これが俺の縛りプレイ(スタイル)だからな。」


唖然とするダリアさんに、目を輝かせるミク。


「おにーちゃん、糸使いだったの?すごい!必◯仕事人みたい!」


ミクの反応に思わず頬が緩んでしまう。ミクが明るい子に育ってくれてお兄ちゃんは嬉しいよ。


「...よし、リョー。妹にデレデレのところ申し訳ないが、お前は《セルノス大狩猟大会》には一人で参加したほうがいい。」


すると、読心術の使い手(?)であるダリアさんが突然、そんな提案をしてきた。


「ん?なぜだ?」


「ソロの賞品がパーティの賞品よりも良いものだというのもあるが...、一番の理由としてはな、お前の戦い方と私の戦い方の相性があまり良くないんだよ。」


「ダリアさん、どーいうこと?」


ミクが小首を傾げている。


「つまりだな、リョーは恐らくその糸を使った一撃必殺、ないしヒットアンドアウェイなんだろ?私は正統派の剣士だから、必ずお前の射程を邪魔してしまう。魔法や飛び道具ならまだなんとかなるが、糸はな。動きがトリッキーすぎるんだよ。」


なるほどな...。ダリアさんの言うことにも一理ある。


俺の攻撃は確かにトリッキーだから、敵だけじゃなく味方も翻弄してしまう可能性は大いにある。


二人には見せていないが、俺は糸を周囲に展開して戦うしな。確かにソロ向きの戦い方かもしれない。


「そんな顔しなくても、リョーなら上位間違いなしさ!認めたくないが、お前は森の中なら私より強いよ!」


ダリアさんがフォローしてくれる。いい人だな。


「しかし俺としてはあんまり目立ちたくないんだがな...。」


横目でミクの方を見ながら言ってみる。目立って他の探索者に目をつけられたら、やりにくくなりそうだ。


「あー、たしかにおにーちゃん、あーいうの苦手そうだね。私は目立つの大歓迎なんだけど。」


ミクが苦笑しながら言う。


「私も目立つのは大歓迎なんだがな。酒を奢ってもらえることも増えるだろうしな!リョーの考えることは理解できん!」


ダリアさんのは非常に不純な動機である。


「そうだ、リョー、お前匿名で参加すればいいんじゃないか?」


何?


「そんなことが出来るのか?」


「探索者は目立ちたがり屋ばっかりだから前例は無いと思うが、多分?ダイナに頼めば何とかなるだろ!」


なんとも適当ではあるが、それが出来るならありがたい。入賞出来るかはともかく、イベントに参加しない手はないのだ!


俺はイベント匿名参加を心に決めた。

ブックマークが増えてきて嬉しい限りです。

できれば評価もぜひ!

お願いします!


ではまた次回!

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