2-4 パーティのお誘い
いとうです。
2日に一回更新、続けられるといいですね(願望)
あ、章立てしてみました。
「おにーちゃん!ジャイアントキリングしたい!」
目を輝かせるミク。本当にこういうファンタジーが大好きなんだな。
俺は内心苦笑しつつ、
「まあ落ち着け。依頼の話はとりあえずこの素材を買い取ってもらってからだ。」
そう言ってダイナさんにカウンターの上を指し示した。
「おぉう...。これまた大量に狩ってきたな!また量が増えてねぇか?」
俺はこの数日間(MALO内時間で)、飽きるほどに《堅牢の森》での狩りを繰り返していた。
その結果、俺の森での移動速度は大きくアップし、糸の操作性もかなり上がってきたのだ。それに伴って成果も増えている。
「アハハ!こりゃまたすごいねぇ。《堅牢の森》でなら私よりも優秀なんじゃないかい?」
振り向くと、ほろ酔い状態のダリアさんが立っていた。愉快そうに笑っている。
「《堅牢の森》でなら」と言う辺りがダリアさんらしいというか、負けず嫌いなところが滲み出ているな。ま、それも他の探索者から慕われる所以なのだが。
「そんなことはない。俺はまだまだだよ。」
「いいねえいいねえ、その謙虚な姿勢!最近のニュービー探索者どもはすーーぐ調子にのるんだ!な!ダイナ!」
ダリアさんがダイナさんに絡んでるな。何か嫌なことでもあったのかな。
「確かになあ。特に来訪者の探索者は『俺たちは死なない!』とか、『ぞんびあたっく!』とかなんとか言って無茶な依頼を受けていくやつも多いからなぁ。俺たちにはとても真似できんよ。」
うっ。それについては俺もウサギ相手に一度死んでるからな。何も言えない。
すると、俺が持ってきた素材を数えながら、ダイナさんが気になる発言をした。
「でもこれなら今度の狩猟大会でもリョーはイイ線いくんじゃないか?」
ん?狩猟大会?なんだそれは?
「ダイナさん!しゅりょーたいかいって何のことですか?」
「お、ミクちゃんは知らないか?リョーは...なんで知らないんだよ。来訪者どもはその話題で持ちきりだってのに。」
ダイナさんが俺の表情を見て無知を察したのか、ジト目でこちらを見てくる。やめろ!ゴツい強面おっちゃんのジト目に需要はない!
「おいダイナ、察してやれよ。来訪者の間にだってほら、色々あるんだよ、な?リョー?」
「おにーちゃんには私がいるから!安心してね!」
何やらダリアさんとミクが勝手に察して勝手に同情してくるんだが。俺にもMALOの友達くらいいるからな?ヤナギとか、ベリ美とか。変な奴ばっかりだけど。
とりあえず俺はそんな考えを脇に置き、気になることについて聞いてみる。
「で?結局その狩猟大会ってのは何なんだ?」
「ああ、そうだったな。狩猟大会ってのはな...」
ダイナさんの話をまとめるとこうだ。
今度、探索者協会がイベントを開く。その名も『セルノス大狩猟大会』。セルノスというのはこの街の名前らしい。知らんかった。
最近の来訪者の大量流入で、この街の《堅牢の森》関連の資源が不足しているために、みんなに狩って来てもらおう、ついでにイベントにしちゃってランキングもつけて商品も出しちゃおう!そしてみんなで盛り上がっちゃおう!みたいな企画のようだ。
お祭り根性丸出しだが、嫌いじゃない。
「へぇ...。面白そうだな。」
「ね!ね!おにーちゃん!それ参加しようよ!」
ミクもやる気満々である。実際楽しそうだしな。MALOを楽しむことを目標にしている俺としても、参加しない手はない。
「お、じゃあミクちゃんはリョーとパーティを組んで参加か?これは強敵だなぁ。な、ダリア!」
「ん?パーティを組めるのか?」
「おうよ!個人で強いヤツもいれば、パーティを組んで初めてその真価を発揮するヤツらもいる。探索者には色んなヤツがいるからな。」
ダイナさんの言葉に、ダリアさんもウンウン、と頷いている。
「それに、祭りは人数が多い方が楽しいからな!みんなで飲む酒は旨い!」
ダリアさん、祭りって...。
どうやらダイナさんによれば、狩った素材の量と質に応じてソロとパーティの両方のランキングが作られるらしい。参加枠や賞品も別だ。
「よしそこの...ミクだったか?アンタかわいい顔してっからな、変なヤツらに絡まれないうちに私が直々に稽古つけてやるよ!おいダイナ!リョーも入れて3人でパーティ登録だ!狩猟大会もそれで出るぞ!」
ダリアさんが勝手に色々決めているのを横目に、一つ気になったことを聞いてみる。
「来訪者じゃなくても参加できるのか?」
「確かにー。ダリアさんは来訪者じゃないけどパーティ?組んでも大丈夫なんですか?」
「あん?なーに言ってんだよ!祭りに来訪者かどうかなんて関係ないだろ!」
ダリアさん、お祭り大好きかよ...。
「探索者協会としては素材が集まればそれで良いからな!別に来訪者だろうとなかろうとどうでもいいんだよ!あ、但しパーティは8人までだからな!」
確かにダイナさんの言うことも一理あるな。それに経験豊富なダリアさんに色々教えて貰えるなら願ったり叶ったりだ。
先にダリアさんとパーティを組んだと知ったらヤナギはむくれるだろうが......まぁ、ヤナギたちとパーティを組んだ時の予行演習だということにしてもらおう。
「じゃ、じゃあダリアさん、よろしくおねがいします!」
「ダリアさん、よろしく頼む。」
「おー!任せとけ!パーティなんてこの三人で充分だ!一位は頂きだな!とりあえず呑むぞー!!」
「あー、わかったわかった。ダリア、お前はミクちゃんに稽古つけるんじゃなかったのか?酔っ払いでもできる適当な依頼探してきてやるから、お前はそこで少しでも酔いを醒ましてろ!」
ダイナさんはダリアさんに水?の入ったジョッキを押し付けると、呆れ顔で再びカウンターの奥に引っ込んでいった。
「ちぇー。仕方ねーなー。」
ダリアさんは、不貞腐れながら豪快に水のジョッキを傾けている。何だかんだでダイナさんの言うことはいつも聞くんだよな。仲が良さそうで羨ましい限りだ。
「おい、リョー。ダイナがいないうちにちょっとだけ呑まないか?なーに、鬼の居ぬ間にってやつだって!」
ダリアさんが小声で何か言ってくるが無視だ。この人とパーティ組んじゃって良かったんだろうか。
また次回!
よければ評価やブックマーク!
お願いします!
ありがとうございます!




