1-2 相変わらずのヤナギ
いとうです。2話です。
家に帰った俺は、早速パソコンを起動して情報収集を始めた。
新作VRMMORPG、名をMyths and legendary onlineといい、頭文字をとってMALOとも呼ばれる。
プレイヤーは来訪者として様々な技能を駆使して、神話や伝説があふれるMALOの世界の謎を解き明かす。
ネットから得られた情報をまとめるとこんな感じだ。
あまりにも少ない気もするが、これはこのゲームの制作メーカーであるメガトロンテクノロジー(通称メガテック)がサービス開始前の情報公開を極力しないためだ。
ゲームの世界をより楽しんでもらうため、という意図があるのかもな。
何にせよ、まずはゲームを手に入れてからだな...と思っていた矢先、インターホンが鳴った。
「ミケネコ運輸でーす。お荷物お届けしましたー。設置型の機械ですので中に運び込んでもよろしいですかー?」
「設置...?」
運ばれてきたのは巨大なダンボールだった。
中には大きめのマッサージチェアとヘルメット?のようなものが入っていて、それが着々と俺の部屋に設置されていく。
床抜けないだろうな...。
「では、失礼しましたーー!」
「あ、はい。ありがとうございました」
この機械、名前をメガトロンといい、メガテックの看板商品だ。フルダイブ型VRゲームのための装置であり、本体に座ってヘッドギアを装着することで脳に直接働きかけ、擬似世界を体験できるようになるらしい。
安全性については国のVRに関する周辺法の基準をクリアしているので問題ないようだ。
...完全に未来から飛び出してきたような機械だな。
ソフトの値段と合わせると目玉が飛び出るような金額になるはずだ。よく香月さんはこれを3人分も用意できたものである。
ふと送り主の欄に目をやると、【(株)メガトロンテクノロジー】とある。一体どんなツテなんだ...。
少し聞くのが怖いが、そのことも含めて明日学校でヤナギと香月さんに色々と聞いてみるか...
***
「おはようリョーちん!リョーちんの家にも届いたよな!」
教室に入るとヤナギが突撃してきた。相変わらずの説明不足だが、きっとメガトロンのことを言っているのだろう。
「届いたぞ。ソフトはまだだが。」
「あれ、言ってなかったっけ?ソフトはもう本体にインストールされてるよ?...あ、でもアバター作成だけは先にできるってさ!俺も帰ったら早速やるんだ!ネットの掲示板もめっちゃ盛り上がってるよ!」
「全部初耳なんだが...。」
相変わらずの男である。
「二本柳くん、また説明省いてたの?一ノ瀬くんにも伝えておいてねって言ったじゃない。」
「お、メグミン、おはよー。ごめんごめん!」
「もう...。おはよう一ノ瀬くん、無事に届いたようで良かったわ。」
「ありがとう。そういえばあの荷物、送り主がメガテック本社からだったんだが、香月さんのツテって何なんだ?」
「あー...まぁそんなことはいいじゃない?それよりもアバター作成、一ノ瀬くんもやるんでしょ?」
「ああ。そのつもりだが...。」
はぐらかされてしまった。まぁ無理に聞き出すような事でもないだろう。聞くのもちょっと怖かったしな。触らぬ神になんとやら、だ。
それよりも、アバター作成か...。MALO専用掲示板がネット上に出来たってヤナギが言ってたし、ちょっとだけ覗いてみるか。
***
俺は家に帰ると、パソコンを起動させた。
「MALOの掲示板は、っと...」
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【ついに】MALO総合スレpart4【明後日】
1:名無しの探索者
ここはついにサービスが開始されるMyths and legendary online (MALO)について熱く語るスレです。プレイスタイルなどについて楽しく議論していきましょう。
次スレは>>960にお願いします。
過去スレはこちらから↓
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──────略──────
53:名無しの探索者
ついに明後日だぞお前ら!
54:名無しの探索者
早くサービス開始してくれないと風邪ひいちまうよ...
55:名無しの探索者
>>54 服は着ろよつ服
56:名無しの探索者
>>54 全裸待機やめぃwwww
57:名無しの探索者
アバター作成はみんな済んだか?
58:名無しの探索者
俺まだだは
59:名無しの探索者
悩むよなぁ...種族特性がなぁ...
60:名無しの探索者
>>59 種族特性?
61:名無しの探索者
>>60 種族の特性のことだよ
62:名無しの探索者
>>60 説明になってなくて草www
>>61
例えばエルフは魔法適性が高いが打たれ弱い。
ドワーフは生産に適性が高いが戦闘には向かない、とかだな。
63:名無しの探索者
>>62 サンガツ
64:名無しの探索者
いいよなお前ら...俺には高すぎて手が出せん...!
65:名無しの探索者
拙者もでござる...
66:名無しの探索者
あー、出遅れた組かぁ。この売上ならきっと追加販売されるはずだから、それを待つしかないかもなぁ。
67:名無しの探索者
悔しい...とりあえず掲示板にかじりついてることにするわ
68:名無しの探索者
ん?拙者?
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適当に流し見してみたが、種族なんてものがあるのか...
「とりあえず、アバターを作成してみるか」
MALOの世界でプレイヤーは自分のアバターを操作することになる。
MALO自体のサービス開始まではまだ日があるが、事前にアバターを作成することが出来るとヤナギが言っていたな。
俺の情報源がすべてヤナギなのが釈然としないが、俺自身あまりネットを利用しないので仕方ないか。
俺はメガトロンに深く座り、ヘッドギアを装着、スイッチを入れてMALOを起動させた。
目の前に文字が踊る。
──Welcome to MALO──
俺の意識は暗い闇に落ちていった......
改稿や訂正は適宜していこうと思います。
ストックとやらをほとんどしていない...。
まぁ、何とかなるか(楽観)