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常識に縛られない縛りプレイ!  作者: いとう
第1章 新たな出会いと縛りプレイ
19/49

1-18 秘密のお店♥

こんにちは。いとうです。

いつもありがとうございます。

「おーーい!リョーちーーーん!」


あの能天気な呼び声は、ヤナギだな。俺は声のした方を振り向いた。


美男美女とベリ美がこちらに歩いてくる。分けたことに特に他意はない。ちなみに、一番周囲の目を引いているのはベリ美である。


「リョーちん!早速だけど...」


「まぁ、待て。とりあえず場所を変えないか?ほら、お前たちもかなり注目されているようだし。」


周囲を見回すと、「おい見ろよ...」とか「かわいいーーー」とか、「な、なんだあいつ...」だとか聞こえてくる。ちょっと注目されすぎているようなので、居心地が悪い。パウロさんたちの情報が洩れるリスクも極力避けたい。


「あらぁん?それならワタシに任せて頂戴!良い店を知ってるのよぉ。」


「そうか?それならベリ美に任せよう。」


鼻歌を歌いながら歩くベリ美に連れられて、俺たちは表通りを歩いていた。だいぶ俺もベリ美のインパクトに慣れてきたようだ。麻痺か?


「リョーちんは、何してた?」


「さっきまで、《堅牢の森》で狩りの続きをしてたぞ。必要な素材が揃ったからもう終わりにしたが。」


「素材?リョーくんもその鍛冶師さんに依頼したのかしら?」


「ああ。なるべく動きを阻害しない防具をな。」


「リョーちゃんのファイティングスタイルはそういう方針なのぉ?」


そういえばこの3人にも俺の戦い方は見せていなかったな。パーティも組むことになるんだし、そのうち見せることになるとは思うが。


「そうだな、基本的にはヒット&アウェイの戦法だ。」


「そうなのねぇん!今度、見せてほしいわぁん。」


「ああ。もちろんいいぞ。」


その時までに、もっと戦い方を洗練させておかないとな。パーティでの戦闘の練習もしたい。そういえば、


「3人はどんな戦い方をするんだ?」


「俺は基本的にはタンク兼アタッカーだぞ!最近はタンクはベリ美ちゃんに任せることが多いけどな!」


「ワタシは動きが遅いのよぉ。ワタシがひきつけてヤナギちゃんが攻撃する。メグミちゃんは後方支援ねぇ。」


「そうね。私は弓術主体だから接近戦はあまり自信がないわ。あとは暴走しがちなヤナギくんのサポートね。」


メグミのジト目を向けられてヤナギは頭をかきながら、


「へへ、ごめんごめん。メグミンがいてくれるからつい安心しちゃってさ。」


「......! も、もう! そんなこと言われたら怒れないじゃない...。」


「ん?ごめん聞き取れなかった。」


「な、何でもないわよ!!」


「相変わらずねぇ...。」


この2人、相変わらずなのか。この様子だとベリ美も2人の関係に気が付いているようだ。上手くフォローしてくれることを願おう。俺はそういうのはちょっと苦手なんでな。


周りの血の涙を流す男たちのフォローは無理だ。すまない。ポーションいるか?


「さぁ、着いたわよぉん!」


ベリ美が指さす先にあったのは、《蘭の夢》と上品な書体で書かれた看板を掲げた店だった。扉には小さく、「一見さんお断り」の札が出ている。外からでは何の店なのか判別がつかない。


「ベリ美さん、こんな高級そうな店、大丈夫なの?」


「あらメグミちゃん!心配しなくても大丈夫よぉん!このお店のオーナーとは知り合いなの。」


ベリ美は特に気にする素振りもなく、店の扉を開けた。扉は音もなく開く。


「いらっしゃいませ。」


店の中にいたのは、仕立ての良い服を着た男だった。年のころは30前後だろうか。立ち振る舞いからは50代と言っても通じそうな老練さも感じさせる。


「どうもぉ。ジークちゃん。」


ジークと呼ばれた男がいたのは、非常に落ち着いた雰囲気のあるバー?のような場所だった。バーテンダーにしてはキッチリした服を纏っているが。


「これはこれは、ベリ美様。ようこそいらっしゃいました。...そちらの方々は?」


「ふふ、ワタシの友達よぉん!3人ともいい子たちだから仲良くしてあげてねぇん。この店に入れるのに問題あるかしらぁ?」


「いえ、ベリ美さんが『友達』とおっしゃる方々であれば、一切問題はございません。それで、本日はどのように?」


ベリ美さん、このいかにも上流階級な男とどういう関係なんだ...。まさか愛j......


「今日は奥の個室を使わせてもらうわぁん。いいかしらぁ?」


「かしこまりました。こちらへどうぞ。」


俺は我に返り、邪?な考えを打ち消す。


ジークさんと呼ばれた男に連れられて、俺たちは店の奥の重厚な扉の前にたどり着いた。扉には取っ手や鍵穴は見当たらない。俺が不思議に思っていると、


「ベリ美さん、会員証を。」


「はぁい。」


ベリ美が懐から取り出したカードを扉の前にかざすと、扉全体が青く輝き、音を立てて左右に開き始めた。その奥には、10人ほどが入れそうな個室がある。俺たちはその部屋に足を踏み入れた。


「お食事等はどうなさいますか?」


「じゃあ適当に持ってきて頂戴な。料金はワタシにつけといてねぇん。」


「かしこまりました。しかし、ベリ美様から料金を頂くことは出来かねます。私がお嬢様に叱られてしまいますので。」


ん?お嬢様?ジークさんは執事か何かなのだろうか。そんな人とベリ美はどうやって知り合ったのだろう。

やはり、愛j...


「んもぅ。仕方ないわねぇ。今日はそのお嬢様はいないのかしら?」


「もちろんいらっしゃいます。お嬢様もベリ美様にお会いしたいと申しておりましたので、あとでお連れしてもよろしいですか?」


「ええ、もちろんよぉ!ワタシの友達も紹介したいし!」


「かしこまりました。」


そういうと、俺たちを部屋に残してジークさんは扉の向こうに消えていった。重たい音を立てて扉が閉まるや否や、ヤナギが騒ぎ始めた。


「ベリ美ちゃんベリ美ちゃん!!どういうことなのか説明してよ!」


「私も説明してほしいわね。」


「俺もだ。」


何が何やら分からないうちにこんなところに連れてこられたからな。


「分かってるわよぉん。...アレはワタシがまだMALOに降り立って間もないころだったわぁん...。」


そこからベリ美の長い回想が始まった。...が、長いので省略。



話の要点をまとめると、ベリ美はヤナギたちとMALOで出会う前に腕試しにと向かった《堅牢の森》近くの街道でアーマードウルフに襲われる馬車に遭遇。見事、アーマードウルフを撃退したところ、その馬車に乗っていた貴族のお嬢様に大層感謝され、気に入られた。その後、そのお嬢様がオーナーのこの店を紹介されたようだ。ちなみにやはり、ジークさんはそのお嬢様の執事らしい。


こういうテンプレ展開って、ヤナギみたいなやつがやるんじゃないのか?なぜベリ美なんだ...。いや、別にいいけど。


あと、ジークさんとベリ美の関係を邪推してしまった俺は密かに反省した。



「...と、いうわけなのよぉん。」


「なるほどな。で、結局この店は何の店なんだ?」


俺がそうベリ美に問いかけたとき、ベルがなった。


「あら、噂のお嬢様が来たみたいよぉん。はぁい!どうぞぉん!」


その声を合図に扉が開き、そこにいたのは見事なドレスを纏った若い女性だった。その女性はとても上品な雰囲気で一礼をすると、俺たちに顔を向けた。そして、


「ベリ美ちゃん!!」


ベリ美に飛びついてきた。


「あらあら、お嬢様、はしたないわよぉん。」


「もう!お嬢様じゃなくて名前で呼んでって言ったじゃない!」


「はいはい、わかりましたぁ、ヒルトちゃん。」


「よろしい!」


ヒルトと呼ばれた女性は、俺たちの視線に気が付くと、ひとつ咳払いをして居住まいを正した。


「コホンッ。それで?ベリ美ちゃん。この方たちがベリ美ちゃんのお友達?」


「そうよぉん。左から、メグミちゃん、ヤナギちゃん、リョーちゃんよぉ。3人ともワタシと同じ来訪者。仲良くしてあげてねぇん。」


「ベリ美ちゃんがそういうならもちろんよ。こんにちは皆さん。私はこの《蘭の夢》のオーナー、ニーベルン=ヒルトですわ。以後、お見知りおきを。よろしくね!」


ヒルトさんはウインクを交えながら挨拶をしてくれた。なかなかお茶目な人のようだな。


「こんにちは!俺、ヤナギです!よろしく!」


「こ、こらヤナギくん!貴族の方なのよ!申し訳ございません。ヒルト様。私たち来訪者は、そういった作法に不慣れでして...。」


メグミが珍しく焦ったようにヤナギをたしなめている。確かにいきなり目の前に貴族が現れたらどうしたらいいかわからないな。


いくらゲーム内とはいえ、ああもフレンドリーに話しかけられるヤナギは流石である。


「うふふ、いいのよそんなのは。私だって貴族の振る舞いは堅苦しいもの。」


「お嬢様。」


今度はどこからか出てきたジークさんがヒルトさんをたしなめた。


「分かってるわよ、ジーク。普段はちゃんとするわ。でも、この人たちは悪い人じゃなさそうだし、折角ベリ美ちゃんが紹介してくれたのよ?そこまで堅苦しくしなくてもいいでしょう?」


「...はぁ、そのお三方とベリ美様だけですからね。」


「やった!ありがと、ジーク!話がわかるわ!」


ヒルトさんとジークさんはかなり仲が良さそうだな。主従関係は良好のようだ。


「3人とも、そういうことだから私に敬語はいらないわよ!気軽にヒルトって呼んでね!」


「そういうことでしたら...。んん!はじめまして。私はメグミよ。よろしくね。」


「俺はヤナギ!ヒルトのことはヒルっちって呼ぶことにするからな!よろしく!」


「ヒ、ヒルっち?」


「すまんな、ヤナギはこういう奴なんだ。許してくれ。俺はリョーだ、よろしく。」


「よ、よろしくね3人とも!」


ヒルトはさっそくのヤナギの洗礼に動揺しながらも、俺たちを歓迎してくれた。ま、そのうち慣れるさ。

話の進みが遅くてすみません...。

気長に付き合っていただけると嬉しいです。


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