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常識に縛られない縛りプレイ!  作者: いとう
第1章 新たな出会いと縛りプレイ
18/49

1-17 それぞれの闘い

いとうです。

いつもありがとうございます。

家に帰った俺は、着替えもそこそこにMALOの世界に立っていた。俺も相当この世界に入れ込んでしまっているみたいだな。


「ここは...そうか。《堅牢の森(アーマードフォレスト)》の中でログアウトしたんだったな。」


俺が立っていたのは深い森の中だった。MALOでは今は昼間の筈だが、太陽は生い茂る木々の葉に隠されて、周囲は薄暗い。


「とりあえず、狩りの続きか。」


俺は周囲に数本の糸を展開し、薄暗い森の中を歩き始めた。


あれから俺は特訓を重ね、周囲に長さ10mほどの糸を数本展開できるようになっていた。最初は糸から入ってくる情報量に手こずったが、慣れてくると異質な感触だけをピックアップして感じることが出来るようになった。


スキルレベルアップの恩恵を感じる。


「いた。」


俺がレーダー糸(仮)で見つけたのは、宿敵アーマードラビットだった。糸で触れてしまっているので、既にこちらに気がついているようだ。これはレーダー糸の欠点だな。


「特訓の成果を見せてやる。」


「キュピィ!!」


俺は草陰から飛びかかってきたアーマードラビットの胴体に素早く糸を巻きつけ、近くの木に縛りつけた。


「キュピィィィ!」


「よし、動けないようだな。」


俺自身の種族レベルの上昇に伴って、糸の力も強くなったようで、アーマードラビット程度の力ではもう俺の糸はビクともしない。


「もう、魔獣を倒すのにも慣れてしまったな。」


俺はそのままアーマードラビットの首にもう一本の糸を巻きつけ、糸を操作して引き絞った。糸はアーマードラビットの装甲をものともせず、その装甲ごと首を綺麗に切り落とす。


以前は軌道を塞ぐことで倒していたが、今は難なく首を落とすことが出来る。少し可哀想だが。ゲームだからな。うん。


────────────────────

堅牢兎の毛皮を入手しました。

────────────────────


「次だ。」


今の戦闘音につられてやってきた存在を俺のレーダー糸は捉えていた。


アォーーーーン...

アォーーン......


「ッガゥ!」


「よっ!と」


いくつもの遠吠えとともに最初の1頭が飛びかかってくるが、レーダー糸でそれを察知していた俺はそれを余裕をもって回避する。


こいつらはアーマードウルフ。アーマードラビットと同様、その頭や背中、尻尾に至るまでが硬い装甲に覆われている。


しかしコイツらの最大の脅威はその装甲ではなく、高い俊敏性と個体間の連携なのだ。また、そのあごの力はアーマードラビット程度の装甲はやすやすと食いちぎる。


俺も初めて出会ったときには、命からがら木の上に逃げてやり過ごして事なきを得たが、


「今なら負ける気がしない。」


俺は糸を素早く展開し、周囲に乱立する木々の一本に巻きつける。そしてそれを素早く引いた。


その瞬間、草陰から一気に飛びかかってきた幾つもの爪や牙が俺に襲いかかる。


「「ガウゥァァ!」」


「甘い!」


俺の体は俊敏なアーマードウルフを悠々と上回る速さで飛び出し、迫りくる凶器をギリギリのところで躱した。俺がいた場所をチラリと見ると、そこには4頭のアーマードウルフが、俺を見失ってキョロキョロしている。


「遠隔起動っと。」


俺は付近の木陰に隠れながら、先ほどまで自分がいた場所の地面に仕掛けておいた糸を起動させた。これも特訓の賜物である。離れすぎなければ、近くの糸を離れたところから操作できるようになったのだ。


まだ簡単な操作に限られるが。


アーマードウルフたちはまだ足元で動く糸に気が付いていない。俺の姿を探すのに必死である。


「くらえ!」


「ワフゥ?」


俺の起動した数本の糸は一斉に四頭のアーマードウルフの首に巻き付き、一瞬で全ての首を狩った。


────────────────────

堅牢狼の毛皮を入手しました。

堅牢狼の牙×2を入手しました。

堅牢狼の爪を入手しました。

────────────────────


「うーむ、リアルでやったら確実にグロいな...。」


俺はゲームだからこそできる自分の行動に若干引きながらも、光となって消えるアーマードウルフたちを尻目に、次の獲物を探しに向かうのだった。


***


「ヤナギくぅん!そっち行ったわよぉん!」


「まかせろ!」


ワタシが追い立てたアーマードウルフの装甲が薄い喉元を、ヤナギちゃんの剣が切り裂く。


「よくもまぁ、あんなところを狙って切れるわねぇ。ベリ美、ゾクゾクしちゃうわぁん。」


「ベリ美さん!危ない!」


「いやぁぁん!」


油断したワタシの背後に迫っていたアーマードウルフは、ワタシに飛びかかった瞬間にその眼を矢で貫かれた。


「危なかったわぁん。ありがと、メグミちゃん。」


「ベリ美さんったら、油断したらダメですよ!ヤナギくんも!1人で戦わないでちゃんとカバーして!」


ワタシは改めて、またいつものじゃれ合いを始めたヤナギちゃんとメグミちゃんを見る。


先程のヤナギちゃんの剣術やメグミちゃんの弓術もそうだけど、あの2人、PS(プレイヤースキル)が高すぎるのよねぇ。ワタシもそこそこ自信あったんだけど、自信無くしちゃう!


「ねぇ2人とも。どうしてそんなにPSが高いのぉ?」


「どうしてって言われてもなぁ。もともと身体を動かすのは得意だから、かな?」


「ヤナギくんは現実でも得意ってレベルを超えてるけど...。私は弓をずっと習ってるから。それだけよ。」


それだけって...。二人ともリアルチートってやつなのかしらぁん?暴走しそうなヤナギちゃんをメグミちゃんが抑えてるから連携も問題ないし...。ワタシも負けてられないわぁ!!


「そういうベリ美ちゃんだって、明らかに初心者の動きじゃないじゃん。何か格闘技やってるの?」


「ふふ、それは乙女の秘密よぉん。」


乙女は、秘密の多いものなのよぉん。


「ヤナギくん、そろそろリョーくんとの待ち合わせの時間よ。」


「ホントだ!」


「ねぇ、本当にワタシまでリョーちゃんのお世話になっちゃっていいのかしらぁん?ほら、付き合いも2人に比べて浅いしぃ...。」


乙女は人間関係に敏感なの。この子たちは優しいけど、親しき仲にも礼儀ありだものねぇ。


「何言ってるんだよ!俺たちもう同じパーティメンバーだろ!リョーちんも付き合いの長さなんて気にしないって!それに俺はもう、ベリ美ちゃんのこと友達だと思ってるぜ!」


「私もヤナギくんと同じよ。ベリ美ちゃんと話してて楽しいもの。これからも色々教えてほしいわ。ほら、人生経験も長そうだし。」


この二人ったら...。ワタシ、涙腺ゆるんじゃうわぁん。


こんなセリフを恥じらわず素直に言えるなんて、いい子たちねぇ。やっぱり、ヤナギちゃんに誘われてこのゲームを始めてよかったわぁん。


「ふふふ、ありがとねぇん。2人とも。」


ワタシ、この子たちとずっとパーティを組めたら、きっと楽しいわぁん。

よければ評価、ブックマーク等、よろしくお願いします。

ではまた次回。

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