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常識に縛られない縛りプレイ!  作者: いとう
第1章 新たな出会いと縛りプレイ
14/49

1-14 戦果報告の時間

いとうです。

14話です。

ストックはゼロです。

頑張ります。


「グウゥゥァァ...」


3m級の巨体が、俺の目の前で、まるで幻だったかのように光の粒子となって消えていく。


実にギリギリの戦いだったが、その甲斐あってなんだか色々手に入ったようだ。それにレベルが一気に上がっているな。


────────────────

来訪者の皆様にお知らせいたします。

《堅牢の森》のフィールドボスが来訪者によって初討伐されました。


フィールドボスは通常の魔獣よりも多くの経験値とアイテムを得ることができます。

また、初討伐者には初回討伐報酬が送られます。

────────────────


!?

このアナウンスは...いや、聞かなかったことにしよう。


道理でめちゃくちゃ強い訳である。あいつボスだったのかよ。どんだけツイてないんだ。紫神の仕業か?


しかもこのアナウンス、来訪者全員に伝えられたようだ。幸いにして、プレイヤー名とかは知らされないみたいだが。


しかしそんなことよりも...だ。

先程アーマードグリズリーの爪が掠った脇腹から赤いポリゴンが流れ出ている。恐らくこれは...


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

NAME:リョー (状態 : 出血)

Race:ヒューマン

JOB:糸使い

Lv:4

HP:30 / 275

MP:19

STR:20

VIT:19

DEX:27

INT:19


SP:6


<Skills>

【糸術Ⅲ】Lv.3

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



やはり出血か...こうしてる間にもどんどんHPが減っているな。このままだとボスを倒して出血で死んでしまう。


俺は激戦の余韻を引きづりつつ、足早にパウロさんの店へと帰るのだった。


***


「パウロさん、いるか?」


「ん?おい!どうしたリョー、その怪我は!ちょっと待っとれよ!」


パウロさんは慌てて店の奥からガラス瓶に入った綺麗な赤色の液体を持ってきた。


「ほれ!飲め!」


「お、おう。」


投げつけられたそれを、俺は言われるがまま口にした。俺のパウロさんへの信頼は天元突破なのである。


うわ、結構苦いな。味わったことのない不思議な後味だ。少し癖になりそうでもある。


「ん?おお、傷が治っていく。」


これがポーションとか傷薬とかいうやつか?すごい効果だな。HPの減少も止まったようだ。


現実世界でこんな薬があったら、間違いなく引く手数多だろう。医療界に激震が走るな。


「ふう、傷は治ったようじゃな。で?何があったんじゃ?」


「いや、ちょっと強敵と戦って怪我をしてな。」


「強敵じゃと?」


「ああ。パウロさんが前言ってたアーマードグリズリーだ。」


探索者として生きていくにはアーマードグリズリーを倒せるようにならないといけないとパウロさんも言っていたからな。


この世界で最弱の男から探索者の端くれくらいにはランクアップできたのではないのだろうか、などと内心ニヤニヤしていたのだが、


「は!?アーマードグリズリーじゃと!?」


パウロさんは思った以上に驚いている。


「ん?なにかまずかったか?パウロさんも、あれくらい倒せるようにならないとって言っていただろう?」


「確かに言ったが、あれは探索者協会のクエストだけで身を立てておる熟練探索者の話じゃ!この世界に来て3日目のやつが倒せる魔獣じゃないわい!」


なんだ、そうだったのか。確かにかなりの強敵だったからな。俺も【糸術Ⅲ】が無ければあっさりやられていただろう。


実際アーマードグリズリーとの戦闘ではランクアップしたスキルの力を強く感じた。このスキルがあれば俺は縛りプレイを何とか続けていくことが出来そうだ。それに俺はまだあのスキルの力を使いこなせていない。これから要研究だな。


「なんだいリョー、また滅茶苦茶なことやってんのかい!」


店の奥からマチルダさんが出てきた。この人ここに住んでるんじゃないか?


それにしても、またってなんだ、またって。


「リョーが無茶苦茶なのは前からじゃからのぅ...。それよりもリョー、ポーションは持ってないのか?」


「ポーションって、さっき飲ませてくれた液体か?それなら持ってないな。見たのも初めてだ。」


やっぱりアレがポーションだったのか。感動だな。ゲームって感じがしてきてワクワクする。


「あん?あんたポーションも持ってないのかい?その辺の店に売ってるだろうに。」


そうだったのか...。


元々、アーマードラビットを狩ってスキルの使い心地を試してから色々と身の回りの準備をしようと思ってたからな。アーマードグリズリーと戦うつもりなんて毛頭なかったし、ましてや勝てるなんて思っていなかった。


これからいろいろ揃えないとな。とりあえず表通りの店に行ってみるか、と俺が思っていると、


「仕方ないねぇ、アタシが作ったポーションを特別にやるさね。」


予想外の言葉が飛び出してきた。


「ん?マチルダさんはポーションを作れるのか?」


「当たり前さね!効果はこのアタシが保証するよ!どうせ家に帰ればたくさん余ってるからねぇ。」


マチルダさんはポーションを自作できるのか。何者なんだ?何にせよ、ありがたい申し出だな。


「そういうことならありがたく頂くが。本当にお金はいいのか?」


「ガハハ、いいんじゃよ、リョー。こう見えてワシもマチルダもお前さんのことを気に入っとるんじゃ。」


いい人たちだな。あまり気に入られるようなことをした覚えもないが。どんどん頭が上がらなくなっていく。


***


「それはそうとリョー、このポーションをやる代わりに1つ約束するさね。絶対にこのポーションの出所を他言しないでおくれ。」


「ん?何故だ?」


「それはの、リョー。これの出所が漏れると、ちーーっとだけ、ワシらが面倒くさいことになるんじゃよ。」


「面倒くさいこと?」


その言い方、絶対ちょっとじゃないよな。


「そんなことは知らなくてもいいんだよ!いいから持っていくさね!」


マチルダさんは俺の方にポーションと思しきビンを乱暴に投げてよこした。その見た目はさっきパウロさんがくれたものと同じに見える。


────────────────────

マチルダ謹製ハイポーション

Rarity:7


回復薬。飲んだり患部にかけることで効果を発揮する。通常のハイポーションに比べても非常に効果が高い。作成には特殊な技術が必要。マチルダ謹製。

────────────────────


「希少度7?」


俺は自分の目を疑った。希少度4でヤナギ達が驚いていたところに、希少度7である。なんか名前にマチルダって入ってるし。


「あん?当り前さね。マチルダさんお手製のポーションだよ!たくさん余ってるから惜しみなく使いな。命より大事なものなんて無いんだからね。その代わり、アタシの手伝いもたくさんしてもらうからね!」


なんて豪快な人なんだ。こんなものを攻略序盤で手に入れられたのはツイてるかもな。だが、これでこの場所はますます人に明かせなくなってしまった。


「ありがとう。そうさせてもらう。」


いつかこの人たちには、お返しをしなければな。とりあえず今はありがたく受け取っておこう。攻略の役に立ちそうだ。


しかし、こんなものをほいほいくれるなんて、この人たちも大概だな。


「そういえばパウロさん、アーマードグリズリーからドロップしたアイテムなんだが、何か装備に加工してもらうことはできるか?」


「おぉ、そうじゃな。まずは何を手に入れたのか見せてくれ。」


俺はアーマードグリズリーからドロップしたものをパウロさんの店のカウンターにすべて置いた。


「堅牢熊の皮に爪、それに掌か...。皮と爪は使えそうじゃな。掌も使えんことはないが、大した装備にはならんぞ。それよりも、これは食ったら美味いんじゃよ!」


「げっ、これ、食えるのか?」


「ん?意外と美味いんじゃがのう。まぁ、食材として高値で取引されているからな、とっておくといいじゃろ。」


世の中(ゲーム内だが)には色んな文化があるんだな。まぁ、パウロさんの言うとおりにしておこうか。


「んで、リョー、作ってほしい装備の要望はあるか?」


「いや、特に考えていなかったな。サブウェポンのようなものでもいいが......。」


何せメインウェポンが糸だからな。いざという時のためにサブウェポンがあると便利かもしれない。糸使いだとすぐにバレないためのカモフラージュにもなりそうだ。


「ふん、リョー、アンタまだ理解できてないようだねぇ。スキルを持っていないような奴が付け焼刃で武器をもったところで逆効果だよ!スキルの差は戦闘力の差!よく覚えておきな!」


何やらすごい剣幕で叱られてしまった。まぁこっちの身を心配してくれているんだろう。スキルへの認識は更に改める必要があるかもしれないな。今後の俺の縛りプレイの足をすくわれかねない。


「ふむ...。そうか。そういうことなら防具にしてもらおうか。そうだな、なるべく身軽な防具をお願いしたい。」


「うむ?身軽な防具か?」


「ああ。少し試してみたいことがあるんでな。」


「アンタ、また変なこと考えてるんじゃないだろうね?」


「あー、まあ、ちょっとな。」


変なとは失礼な。ちょっとした思い付きだ。

とはマチルダさん相手に口に出せないので適当にお茶を濁しておく。


「まあ、お主がそう言うなら、それで考えてみるわい。使わない素材は、もって帰っとくれ。」


「そうするよ。ありがとう。」


俺は2人にお礼を言って、その場を後にした。ここが拠点になりつつあるな。

暇を見つけて続きを書いていきたい。

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