表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
常識に縛られない縛りプレイ!  作者: いとう
第1章 新たな出会いと縛りプレイ
11/49

1-11 情報と常識のすり合わせ

いとうです。

お世話になっております。

「リョーちんリョーちんリョーちん!!」


「なんだ騒がしいな。」


「騒がしいわよ二本柳くん。」


「リョーちんもメグミンもひどいな!......ん?このノリ、前にもあったような?......っとまぁそんなことより!昨日の進捗を報告しようぜ!」


やっぱりこうなると思った。だがヤナギ、お前は肝心なことを見落としているぞ。



直後、けたたましく教室の扉が開いた。


「こらぁ二本柳!騒いでないで席につけ!今日の期末試験への対策はバッチリなんだろうなぁ?」


「げっ!コバセン!二人とも!またあとで!」


我らが担任、小林ひとみ先生に怒鳴られてヤナギは自分の席へと帰っていった。平和は守られた。ちなみに香月さんと俺の席は前後である。


小林先生は生徒からコバセンの愛称で親しまれている女性教師である。見た目は悪くないのだがその男勝りな性格から彼氏と長続きしないのが悩みらしい。ちなみに30歳独身だ。


今日は期末試験。来週からの夏休みの前に立ちはだかる最後の難関である。


ここで補習を食らうと夏休みの最初の一週間を棒に振ることになる。幸いにも俺や香月さんはいつも危なげない成績だが、あのバカはどうなることやら......。


***


「ふぃ~~。まぁ何とかなったでしょ!」


試験が終わった放課後、ヤナギはそんなことを言いながら俺と香月さんに近づいてきた。


「当たり前よ。私が勉強見てあげたのよ!補習になったら承知しないわ。」


「香月さんがヤナギの勉強を?」


「そうそう!ありがとなメグミン!めっちゃ助かった!」


「......ほう?」


なんだこの二人、ちゃんと進展しているんじゃないか。


「べ、別に図書館デートだとか思ってなかったわよ?手伝ってあげたのは、二本柳くんが補習になると一緒にMALOをプレイする時間が減るからで......。あ!二本柳くんともっと一緒にいたいって意味じゃなくて!パーティのメンバーが減ると攻略が大変だから......!!」


香月さんってめっちゃ分かり易いよな。普段冷静なのにヤナギのことになるとすぐテンパるようだ。あ、近くの男子が倒れた。おいやめろ、俺を睨むな。部外者だぞ。


おいヤナギ、お前のせいだぞ。何とかしろ。


「よしじゃあ早速、進捗報告会といきますか!」


......コイツはダメだ。


***


「まずは俺たちからだな!俺たちは二人で探索者協会に登録してクエストをいくつかこなしたぜ!」


「ふむ、その探索者協会ってのはなんだ?」


そういえばマチルダさんとパウロさんもそんなこと言ってたな。いい機会だ。聞いてみよう。


「え、リョーちんマジか。」


「一ノ瀬くん、さすがにそれは...探索者として攻略するプレイヤーはほぼ全員が最初に登録する協会よ?むしろそれを知らないで昨日は何してたのよ?」


なにやら2人ともドン引きの模様である。


そんなに大事な要素だったのか。そういえば昨日は武器屋から出たプレイヤーはみんな同じ方向に向かっていたな。俺は服屋を探しに全然別の方向に歩いていたが。


「クエストを達成するとお金とか素材とかがもらえるんだよ!探索者ランクも上がるし!昨日はアーマードラビット狩りでたくさん稼いだぜ!あいつら弱いけど割がいいんだよ。リョーちんにもおススメだぜ!」


「そうよ。絶対登録した方がいいわよ。」


二人にそこまで言われると、登録した方がいいんだろうか。今度忘れずに登録しに行こう。きっと。忘れずに(フラグ)。


「それで、一ノ瀬くんは昨日何をしていたの?」


「俺か?俺は......そうだな......まず、武器を探しに服屋に行った。」


「「えっ」」


「そしてアーマードラビットに殺されて死に戻った。」


「「えっ?」」


「そのあと神殿で神に会った。」


「「ええっ!」」


「そして神の試練を受けた。」


「「ええっ!?」」


2人の反応が面白い。やっぱりお似合いのカップルなのでは?


「ちょっとリョーちんストップ!!」


「一言ひとことの情報量が多すぎるわよ!」


うん、それは自分で言ってて思った。俺だけおかしな方向に突き進んでいるようだな。これぞ縛りプレイ!(違う)


「まずリョーちん、武器は見つかったのか?」


ヤナギの冷静な質問から、事情聴取が始まった。カツ丼が欲しいな。


「ああ、見つかったぞ。希少度4の糸だな。」


「希少度4ですって?今見つかってるアイテムは高くても希少度3だったと思うけど。」


そうなのか?パウロさん、流石だ。そんなアイテムをほいほいと。


「うん。それでも掲示板でかなりの騒ぎになってたよ。リョーちん、そんなのを持っててなんでアーマードラビットに負けたの?」


「それは俺のプレイスタイルのせいらしいな。MALO内で仲良くなった人がそう言ってたぞ。」


そういえば、今更だがMALO内のNPCのリアルさには目を見張るものがあるな。実はプレイヤーだったと言われても納得できるレベルだ。


「そりゃそうだよなぁ。やっぱりスキル1つだけの縛りプレイは無謀だったんだよ。」


「そっか、それでさすがの一ノ瀬くんも縛りプレイを諦めることにしたのね。これでやっとまともなパーティが組めるわね。」


何やら2人が安心した?顔をしている。しかし残念だったな!


「ん?俺はその程度では諦めないぞ?」


「えっ、だってリョーちん、アーマードラビットにも負けるんだろ?アレってMALO最弱だぜ?」


「だから神に会ったんだよ。」


「なぜそうなるのかも分からないけれど......。そもそも、MALOの神ってそんな簡単に会えるの?私が会った住人によると、声すら限られた人にしか滅多に聞けないって話だったんだけど?」


香月さんが非常に怪訝な顔をしている。もしかして俺って我が道を行き過ぎ?


ま、いいか。縛りプレイだし(?)。


それにしても、神の声が聞こえるのも珍しいのか。そう考えるとサミュエルさんって結構すごい人なのか?


もしかして祝福とか寵愛とかも相当貴重?ちょっと神関係の情報はどのくらい重要なのか分からないな。マチルダさんやパウロさんの反応を見る限り、俺が相当珍しいことになっているのは分かったが。


「神に2柱ほど会って加護やら祝福やらもらってスキルのランクが上がったから縛りプレイはまだ続けられそうだぞ?」


「「......」」


めんどくさいので説明を端折ってしまった。結局スキルが強化されてから魔獣と戦ってないからスキルの強さも分からないしな。あれ?2人とも固まってどうしたんだ?


「......加護?祝福?スキルのランク?」


「......リョーちんが変ってことは十分に理解できたからもういいや。スキルのランクの話とか、絶対まだまだ先の要素だよな。まだどこにも挙がってない情報だよ。リョーちん、あんまり変なことしすぎないようにな?」


失礼だな。自分でもおかしいとは思っているが。

2人の反応がマチルダさんたちの反応に似ている。不本意だ。


「それより、リョーちんが持ってくる情報は他のプレイヤーには隠した方がいいかもな。うまく使えば有利に攻略できるかも!」


「ヤナギ......お前って意外と強かなんだな。」


「二本柳くんってそんな計算できる人だったのね......。」


「二人とも失礼だろ!というわけでリョーちん、俺たちに役立ちそうな情報が入ったらよろしくな!あと、早く強くなってパーティに入ってくれよ!」


ふむ...役立ちそうな情報か...


「俺にひとつ心当たりがあるから、今日のログインでちょっと確認してくるよ。パーティの件も、もしかしたらもうすぐかもな。」


「ほんと!?やった!あ、そういえば今日から俺のネトゲ仲間もログインするらしいんだ。二人にも紹介するから今日も17時に昨日の噴水集合な!」


「それって確か前から仲の良い女の子って話だったわよね......?」


「ああ、きっと二人も仲良くなれると思うぜ!」


「そう......」


ヤナギお前...香月さんの気持ちをだな...ってこいつに言っても無駄か。見るからにヤナギに気がある香月さんにとっては、ヤナギと仲の良い女の子がいたという事実だけでもショックだろう。パーティ内が変な空気にならなければいいが......。


俺は少しシュンとしてしまった香月さんを見て、人知れず溜息をこぼすのだった。

いとうでした。

良ければ評価お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ