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常識に縛られない縛りプレイ!  作者: いとう
第1章 新たな出会いと縛りプレイ
10/49

1-10 紫神の戯れ

どうもいとうです。

どうもどうも。

サミュエルさんと別れた俺は、ステータスを確認しながらパウロさんの店へと向かっていた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

NAME:リョー

Race:ヒューマン

JOB:糸使い

Lv:1

HP:100

MP:12

STR:14

VIT:12

DEX:16

INT:12


<Skills>

【糸術Ⅲ】Lv.1


<Titles>

〔紫神の寵愛〕

〔黒神の祝福〕

〔黒神の試練〕

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「......ほう。」


称号の欄の、〔紫神の加護〕が〔紫神の寵愛〕に変わっているな。そして新たに〔黒神の祝福〕と〔黒神の試練〕が加わっている。お、詳しい説明も見られるようだ。どれどれ...


────────────────────

〔紫神の寵愛〕

紫神の寵愛を受けた者の証。


〔黒神の祝福〕

黒神の祝福を受けた者の証。


〔黒神の試練〕

黒神に試練を与えられた者の証。厳しい試練にこそ大きな成長が伴う。強い意志で励め。

(ステータス成長率に補正・極大。代償として、所持スキルが2つ以上になる場合に新たなスキルを獲得できない)

────────────────────


これは......。紫神からは最初に加護を受けていたはずだな。加護よりも祝福や寵愛が上位であろうことを考えると、俺はあの2柱によっぽど気に入られてしまったらしい。それとも他のプレイヤーもこんな感じなのだろうか。


そして問題はこの〔黒神の試練〕か......。


はっきり言ってしまえば、俺にはメリットしか無さそうだ。代償は通常のプレイヤーにとっては非常に大きなデメリットとなるだろうが、もともと縛りプレイをしている俺には何のデメリットもない。


あのときは咄嗟のRP(ロールプレイ)をしてしまったが、俺にとっては試練でもなんでもないな。むしろ棚からぼた餅だ。


「とりあえず、2人に報告だな。」


***


パウロさんの店に戻った俺はパウロさんと、やはり当然のように店にいたマチルダさんに事の顛末を説明した。


2人の反応は以下の通りである。


「おい、どうするんだいパウロ!アンタのせいでリョーがとんでもないことになってるじゃないのさ!」


「知るか!ワシじゃってこうなるとは思ってなかったわい!」


何やら揉めているようだな。2人が落ち着くまで、俺はランクⅢになったスキルの練習でもしてようかな。


...おお!糸がすごく滑らかに動くぞ!それに速さも段違いだ。というか、【糸術Ⅲ】の確認をちゃんとしていなかったな。というわけで、ほい。


────────────────────

【糸術Ⅲ】Lv.1

糸を身体の延長のように操ることができる。素材を消費することで糸を創り出せる。

────────────────────


......なんだか色々説明文が変わっている。身体の延長ってどういうことだ?と思って糸を動かしていると、


「ん?このもじゃもじゃしたのはなんだ?」


「これ、リョー!ワシのヒゲで遊ぶのはやめんか!」


ああ、なんだパウロさんのヒゲか。......ん?待てよ、俺いまパウロさんのヒゲに触ったか?


「......! なるほどな。そういうことか。」


結論から言えば、糸で触れた感覚を身体感覚レベルまで引き上げられるらしかった。一見地味だが、糸を手の延長として使えるようになると考えると、その有用性は計り知れないな。


これはまた研究しがいがある。


「となると、何とかして糸を創り出せると思うんだが......どうするんだ?」


「リョー!元はと言えばアンタがおかしなことしてくるからさね!他人事みたいな顔してるんじゃないよ!」


おっと、こっちに飛び火した。鎮火しなければ。


「その話はもういいだろう。それより俺のステータス確認に付き合ってくれないか?」


「なんだって!?まったくこの子は......同時に2柱の《色彩の神々》に出会う事の大変さが分かってないんじゃないかね。しかも黒神様だって?滅多に人前に姿を現されない神様じゃないか。挙げ句の果てには、黒神様の試練?アレは神話の中だけの話じゃなかったんかね......。」


「そうじゃぞ、リョーよ。お前はもう少し常識を知るべきじゃ。」


まだ二人がぶつぶつ言ってるが、俺の興味はスキルに注がれていた。......っと、これでは俺もヤナギのことを言えないな。


「仕方ないだろう。俺はこの世界に来たばかりなんだ。そんなことよりも、どうやったら糸を創れるようになるのか一緒に考えてくれないか?」


「...はぁ、そんなことってなにさね。仕方ないねぇ。アンタのスキルを見せてごらん。」


俺は言われた通りにスキルをマチルダさんとパウロさんに見せた。


「......なぁ、マチルダ。ワシにはリョーのスキルのランクがⅢになっているように見えるんじゃが......?」

「奇遇だね。アタシもだよ。」


二人は神妙な面持ちで俺のステータスをのぞき込んでいる。あ、これ嫌な予感がするな。


ついにマチルダさんがワナワナと震えだしたので、俺は意を決して聞くことにした。


「......もしかして、スキルのランクを上げるのもそんなに大変なことなのか?」


「当り前さね!神話の英雄こそランクⅤのスキルを持っていたらしいけどね。本来スキルのランクなんて滅多なことでは上がらないのさ!ランクが一つ違うだけでその強さは雲泥の差なんだよ!そうほいほいランクⅢまで上がられてたら魔獣や魔族どもなんてとっくにこの世界から駆逐されてるさね!」


ほら爆発した!せっかく火消ししたのに。


それにしても......


「滅多なこと、か。」


どう考えても原因はあの神々だろうなぁ。アレは十分に滅多なことといえるだろう。紫神に初めて会った後にスキルのランクがⅡに上がったのはそういうわけだったのか。マチルダさんの言い方だと、ランクⅡのスキル1つで俺でも十分戦えるようになるようである。


これで心置きなくヤナギたちのパーティに入れる......かもしれないな。


「はぁ、もうアタシはアンタがどうなっても突っ込まないことにするよ。こっちが疲れちまうさね。」


「ワシもじゃ。」


二人ともひどい言い草だな。俺だって好きで神に2柱も会ったわけじゃないぞ。不可抗力だ。紫神のせいともいえる。


「それで、糸の創り方だったかい?スキルってのはそれぞれ特性が全く違うからねぇ。アタシたちには分からないよ。そもそも、そんなスキルをランクⅢまで持ってる奴なんてアタシは聞いたことないさね。」


「そうじゃな。ワシも聞いたことないわい。こうなってくるともはやそれすらも紫神様の意向に思えてくるの!がははは!」


あながち、パウロさんの言うことも間違いじゃないのかもな。また会う機会があったら本人(本神?)に訊いてみるか。


とにかく、自力でスキルの使い方を学ぶしかないということだろう。街の外に出て色々試したいところだが、今日はそろそろ寝る時間だな。ログアウトするか。



ちなみに、MALOの世界では現実世界の倍の早さで時間が流れている。体感時間は変わらないので、MALOの世界で一日過ごしても現実世界では半日しか経過しないのだ。


「すまない。今日はとりあえず帰ることにするよ。」


俺はパウロさんとマチルダさんに別れを告げる。


「リョー!目を離してる間にまた変なことするんじゃないよ!」


ひどい言い草のマチルダさんを適当にいなしながら、俺は店を後にした。


向かうは初期地点の噴水である。

家?そんなものはないのだ。野宿だ。野宿。


「メニューを開いて...ログアウト、っと。」


意識が一瞬遠のき、気がつくと俺は自室にいた。ちょっと身体が固まってるなぁ。


軽くストレッチをして、そのままベッドへ直行して眠りについた。明日は学校で朝からヤナギが突撃してくるんだろうな...。

では、また。

ではでは。


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