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常識に縛られない縛りプレイ!  作者: いとう
第1章 新たな出会いと縛りプレイ
1/49

1-1 ことのはじまり

初投稿です。

よろしくお願いします。

「リョーちん!ゲームしようぜ!」


放課後、帰り支度をしていた俺、一ノ瀬(いちのせ) (りょう)に向かって騒がしく突撃してきたのは同級生のヤナギだ。


「ゲーム?なんだヤナギ、また何か新しいの買ったのか?」


「これから手に入るんだよ!もちろん、リョーちんの分もあるからな!」


「よくわからないが、俺がやることは決まってるんだな...。」


ヤナギこと二本柳(にほんやなぎ) (さとし)は俺といつもつるんでいる親友だ。平日だろうと休日だろうと、暇さえあれば俺に付きまとうストーカーともいえる。


顔立ちは整っていて、黙っていればかなりのイケメンだと思うが、口を開くとその残念さが際立ってしまう。


今も授業が終わるや否や俺のところに突っ込んできた。


素直で実直といえば聞こえはいいが、端的に言えば猪突猛進なヤツで、ヤナギの周りはしばしばそれに振り回されるのだ。もちろん俺もその一人である。


「こら、二本柳くん。また一ノ瀬くんに無茶言ってるの?」


「えー、リョーちんなんだしこれで分かってくれるって!」


「だーめ。二本柳くんはいつも説明不足なのよ。まったく...。」


彼女は香月(こうづき) (めぐみ)、いつもヤナギの被害に遭う仲間の1人である。


容姿端麗、頭脳明晰でクラスのマドンナ的存在である彼女だが、いつも何かとヤナギに気を遣う。


当のヤナギ本人は彼女の分かりやすいアプローチには気がついていないみたいだが...。


言わずもがな、成績はヤナギと違い、常にトップクラスである。


今も、クラスの男子たちがヤナギを血眼で睨んでいる。何故か俺まで睨まれているのは納得がいかない。


ヤナギ自身もそれなりに整った顔立ちをしているので、俺から見ればお似合いのカップルなのだが。


「で、ヤナギ?流石にもう少し詳しい説明が欲しいぞ?」


「わかったわかったって。...今度新作のVRゲームが売り出されるのは知ってる?」


「あー、最近ニュースでよくやってるやつか?最新技術がどうとかいう」


「そうそれ!あのゲームめちゃくちゃ話題だからさ、リョーちんとも一緒にやりたいと思ってたんだよ!」


きっとヤナギが言っているのは最近ニュースで連日報道されている、あのゲームのことだろう。


なんでも業界最大手のメーカーが開発した最新技術を用いたフルダイブ型VRゲームだとか。実際にゲームの世界に入り、アバターを自分の身体のように操ることができる。


あまりにもリアルな世界でプレイすることになるため、現実とゲームの区別がつけられない可能性のある15歳以下の子どもは、健全な発達上の理由からプレイできないらしい。


まぁその分、革新的なゲームにいい年をした大人たちが白熱しているらしいけど。


ゲーム内では現実には存在しないようなモンスターと戦ったり、魔法を使ったり...自分の望む自由なプレイができるという噂だ。確かに少し興味はあるが...。


「それって確か、今から手に入れようとするとすごく高いって噂じゃなかったか?」


ニュースにもなっていたが、そのゲームの発売が発表されてからというもの、商品は即完売。ネットオークションでは本体とソフトにはプレミアがつき、それこそ桁が二つほど上がっているのだ。


「お、流石にそれはリョーちんも知ってたか。でも大丈夫!俺たちには頼れる仲間がいるからな!」


「頼れる仲間?」


「ちょっと二本柳くん。あんまり大きな声で言っちゃだめよ。()()を手に入れるの大変だったんだから。」


「あ!ごめんごめん!」


「まったくもう。...というわけで一ノ瀬くん、問題のゲームは私がその...ちょっとしたツテで3()()()手に入れたわ。お代は結構よ。あ、私がちょっとだけ無理してゲームを用意したのは別に二本柳くんのためって訳じゃないわよ?私もちょっと気になってたし...あ、その、気になってるって二本柳くんのことじゃないわよ?ゲームのことよ?いい?勘違いしないでね?」


誰もそこまで聞いていないのだが、香月さんが分かりやすくテンパっている。


だがここまでされてもヤナギは...


「お、よかった。メグミンの分もちゃんと手に入ってたのか。じゃあ3人でパーティ組めるな!」


などと言い出す始末である。本当に香月さんが不憫でならない。


ほら、近くのさっきの男子が血の涙を流し始めたぞ。


まぁ香月さんのことを『メグミン』なんてあだ名で呼べるのもヤナギだけなので、仲は悪くない...と思う。


ただヤナギが何も考えていないだけなのかもしれないが。


「はぁ...分かった。いつものことだしな。もう手に入ってるっていうならやるしかないか。」


「なんだよリョーちん、ゲームは嫌いじゃないだろ?」


「いや、そういうことじゃないんだが...いや、もういいよ。」


「?」


本当にこいつは...。ま、こいつの性格に助けられることもたまにはあるし、今回はいいか。実際、俺もちょっとこのゲームをやってみたかったしな。


香月さんとヤナギの仲の進展の助けにもなるだろうし。


「やると決めたらちゃんと情報を集めないとな。何で()()かもよく考えないと」


「げっ、リョーちん、また()()プレイスタイルにするつもり?」


「二本柳くん、()()って?」


「あー、メグミンは知らないか。リョーちんってさ、どんなゲームをするときも自分で変なルールを設定する趣味があるんだよ。」


「変なとは失礼な。そうやった方がより楽しめるというだけだ。より試行錯誤を繰り返すようになるしな。」


そう、俺はどんなゲームをするときも、いわゆる『縛りプレイ』をしないと気が済まないのだ。


某有名RPGで初期装備でラスボスまで攻略したり、某赤い配管工のゲームではダッシュ縛りなんてのもやったことがある。ひたすらにジャンプのタイミングと効率のいいルートを見極めるのだ。


何でこんなことやってるんだ、と何度も思ったが、クリアしたときの達成感は通常クリアの比ではないために、どうしてもやめられないのだ。


縛りプレイのコツは、ギリギリクリアできるラインを見極めて条件を設定することである。絶対にクリアできない条件を設定しても仕方がない。


赤い配管工からジャンプを奪ってしまったら、最初の栗の化け物にやられてしまうだろう。妥協も縛りプレイには重要なのである。


縛りプレイは時間がかかるものなのだが、幸いにも来週から学校は夏休み。プレイ時間は大量に確保できる。久しぶりのゲームと久しぶりの縛りプレイにワクワクしてきた。



まぁそんなこんなで今回も、俺は縛りプレイをすることに決めた。



「...リョーちん、無理になったら諦めなよ?」


「自分でも不思議だが、お前に言われると意地でもやり遂げたくなるよ。」

数日中に2話を出せるかと。


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