第一章2
「真実が常に最善であるとは限らない」
「この世界は好都合な嘘と楽観主義によって成り立っている」
アルカ北西、ツルオカスタン・カモ自治区の地下深くに存在する巨大な議場で『01』、『02』、『03』の数字とダビデの星がそれぞれ記されたシャローム学園の真の支配者たる漆黒のモノリス達が深い意味を幾つも内包した言葉を交えていた。
「しかし戦線から遠く離れた場所に身を置き続けるグレン&グレンダ社にとっての現実は、今やその好都合な嘘と楽観主義に取って代わられています」
生命の息吹が一切感じられない無機質な空間に立つモノリス達こそX生徒会――アポカリプス・ナウ後の世界を事実上統治している巨大多国籍企業の人間ですらその存在を認知していない、アルカにおけるユダヤ人達のブレイン――だった。
「エーリヒ・シュヴァンクマイエルによる真実の暴露を受けた後でもグレン&グレンダ社は現実から目を背け続けている」
「これは我々が勢力を拡大する上で大きなプラスとなるだろう」
01と02のモノリスがそれぞれ電子加工された男の声を発する。
「自由ヴォルクグラード軍は既に行動を開始しています」
それらに対して返答したモノリスは女声の03だった。
「全ては我々X生徒会の計画通りです」