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学園大戦ヴァルキリーズ  作者: 名無しの東北県人
学園大戦ヴァルキリーズ新小説版 JUST LIKE OLD TIMES 1944
58/285

エピローグ

 戦いが終わり、静かになったショナイ平原を緩やかな風が流れていく。

 エーリヒとノエルの周囲では散らばったチェルノボーグの鉄灰色をした残骸が燃える静かな音だけが響き続けていた。

「いつの間にか僕の願いは決して解けない呪縛になっていた」

 マーシャ・パプキーナの死体を埋め終えたエーリヒは静かに言う。

「その呪い、今は解けたの?」

「うん」

 レンズの割れたメガネを掛け直しているノエルはエーリヒに「そう、良かったね」とだけ返してパプキーナが埋められた場所に木で作られた十字架と花を添える。

 そう、良かったね。

 エーリヒ以外の人間にとってはただそれだけのことだったのだ。しかし、ただそれだけのことのためにエーリヒはこの一年ずっと苦しみ続けてきたのだ。

「ただそれだけのこと」

 エーリヒはただそれだけのことをそっと胸に仕舞い込む。呪詛や怨念の源泉としてではなく、暖かく大切な記憶として。

 やがて爆音と強い風が世界を包んだ。エーリヒの副官がヘリで二人を迎えに来たのだ。

「ありがとう」

「お礼は言葉ではなく現金でお願いします」

 ノエルを先に乗せ、次に操縦席の副官と笑い合ったエーリヒはタスクフォース609のヘリのハッチに足を掛けつつ、もう一度だけ戦場を振り返る。

「さよなら、マリア」

 エーリヒは彼が本来持っている優しさを過分に含ませた声を発した。

「さようなら」

 JUST LIKE OLD TIMES――まるであの頃のように。


 終劇

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