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学園大戦ヴァルキリーズ  作者: 名無しの東北県人
学園大戦ヴァルキリーズ新小説版 A NEW BATTLE FIELD 1945
225/285

第一章4

 満月に照らされて白みを帯びた漆黒の世界に廃墟と化したホテル・ブラボーの街並みが広がっていた。砲弾の直撃を浴びた外壁からは錆びて捻じ曲がった鉄骨が剥き出しになり、立ち並ぶビルの窓ガラスは例外なく全て失われている。

 穴だらけの道路上には歪に砲身が曲がった三号突撃砲G型の残骸が転がっている。また虚しく朽ち果てたソ連製八十五ミリ高射砲の周囲には白骨化した兵士達の亡骸があった。

「アルカはあまりにも小さい世界」

 ロケット弾を浴びて崩れかけたビルの屋上に一人佇むマナ・ローブ姿のヴァルキリーはクイーンズ・イングリッシュで静かに呟きながら眼下に広がる都市の市街を一望した。

「でもこの場所には小さい私達の全てがある……」

 パブリック・スクール・オブ・ブリタニカの特殊部隊――PSOB‐SASに所属するビクトリア・ブラックバーンの瞳には無垢だが邪悪な光が宿っていた。

「そう……全てがあるの」

 雀斑のある両頬は白磁の如き美しさを持ち、赤い髪は短めのツインテールに纏められて襟に触れるか触れないかのラインまで伸びている。

「外の世界の人々から見れば何の価値もない勝ち負けに全力を注いでいる」

 他の者と同じくマナ・ローブの色は濃緑で背部飛行ユニットから左右に伸びる後退翼も一般的なものだったが、両肩と両腰には四角いミサイルポッドが取り付けられ、特に肩のそれはビクトリアの体と不釣り合いな程に巨大だった。

「でも」

 ビクトリアはマナ・クリスタルが付いた右手で髪を払い、

「そんな小さい世界でも何者になれない奴は一体何なの?」

 改造を加えて短く切り詰めた闘衣のズボンから伸びる左同様、迷彩柄のニーソックスで覆われた肉感的な右足で爪先横に転がる頭蓋骨を蹴り飛ばす。

「私は違う」

 彼女はラミアーズ討伐を命じられてこの地獄に足を踏み入れた。

「私は理屈を捏ねて何一つ行動しないカス共とは違うの」

 だがキャロラインという優秀な姉を持つ妹は、今からこの地に攻め込んでくるであろうアルカ各校のタスクフォースをも野望のための踏み台にするつもりだった。

「そうよ。私は他のカスとは違うのよ」

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