メカサブラの逆襲 4
一九五〇年九月一日。
八月戦争がシャローム学園の事実的な勝利で終わった翌日、DRFLAを打ち倒した同校の兵士達はキブツにあるボアズ・ムーヴァーマンの邸宅を捜索していた。
「ボアズ博士の部屋から遺書が見つかったわ」
レアが邸宅の中から重いダンボールを搬出する兵士達に指示を与え、その主の遺体が黒い専用の袋に入れられて運び出されてくると直立不動の敬礼を送ったS中佐に報告する。
「遺書?」
「博士は末期ガンだったの。何度か治療を受けるようにと言われていたらしいけど……」
自らも敬礼でボアズを見送ったレアは一つの箱をS中佐に差し出す。
「博士は遺書の中でメカサブラのデータをアンタに一任すると書いていた」
「私に?」
レアはS中佐に肯定の頷きを返した。
「転用するも処分するも、全てサブラ・グリンゴールド中佐の判断に任せると」
「了解です。ではメカサブラのデータは私が責任を持って本国に送り、道徳的にも社会的にも正当化されたイスラエルというユダヤ人国家のために有効活用するよう伝えます」
そして七分十二秒後、サブラ・グリンゴールドと姉妹同然の間柄にある将校はレアから受け取ったメカサブラのデータ一式を焼却炉へと放り込み、全てを歴史の闇に葬った。
終劇