メカサブラの逆襲 3
日が昇り始めた。
ホテル・ブラボーに作られたセットが朝の訪れと共に明るく照らし出されていく。
「サブラ!」
完全に破壊し尽くされたメカサブラ二号機の残骸散らばる廃墟に佇んでいたサブラは背後から声をかけられて振り向くなり平手打ちを浴びる。
「この馬鹿ッ! 大馬鹿! スーパー馬鹿!」
慌てて駆け寄ってきたレアは急いでサブラの腹部や喉、左目の周囲に触れた。
「馬鹿ッ……なんでいつも一人で何とかしようとするのよ……」
そして一切の傷がなくなっていることを確認するなり彼女に抱き付いて泣きじゃくる。
「力不足だっていうのはわかってるけど、少しは私に頼りなさいよ……」
「力不足だとは思っていません」
優しくレアの体を離したサブラは今は裸眼の紫の双眸で彼女の瞳を覗き込む。
「レアさんがいてくれたから、私は戻ってこられました」
「そっか……」
レアは微笑んだサブラの背中に手を回しもう一度強く抱き締めた。温かかった。
「変な誤解を招きますよ」
「誤解されてもいい。だって私の気持ちは本当だもの」
抱き合う二人を包帯だらけの姿で高台から見下ろしていたバタフライ・キャットはどこか嬉しそうな微笑を浮かべたあと、背後に停車した一台の軍用車の存在に気付く。
「ごきげんよう」
自分なりの筋を通したバタフライ・キャットが包帯を巻いた痛む体に鞭打って軍用車に近付くと、その助手席側の窓が静かに開いた。
「DH社を再建するのに良い悪役が必要なんだけど、誰か心当たりはないかしら?」
キャロライン・ダークホームから謎掛けられた全裸将軍は口元を緩める。
「目の前にいるじゃないか」