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学園大戦ヴァルキリーズ  作者: 名無しの東北県人
学園大戦ヴァルキリーズ新小説版 サブラクロニクルズ2
210/285

サブラ対メカサブラ 4

 一九四八年にエーリヒ・シュヴァンクマイエルからアルカ学園大戦の凄惨な実像を世界中に暴露され、加えてエレナ・ヴィレンスカヤによるフレガータ学校占拠事件の真実公表で追い討ちをかけられたグレン&グレンダ社の威信は完全に地に落ち、今や世界の絶対的支配者とは彼らではなくユダヤ人を指すのではないかとも言われている。

「出撃準備」

 その事実こそシャローム学園諜報特務庁モサドが旧名月山……ルナ・マウンテンにグレン&グレンダ社の秘密基地が存在し、そこで恐るべき戦闘マシンが開発されていることを早い段階で察知していたにも関わらず、イスラエル本国がそれを真に受けなかった理由の一つだった。彼らはかつてマリア・パステルナークの暴走やラミアーズの台頭を防げなかったグレン&グレンダ社と同じ過ちを犯したのだ。

「了解。スタンディングポジション」

 電子音声の無機質なやり取りと共に、主導権を世界中のユダヤ人に奪われつつある巨大多国籍企業が社内に残されたリソースの全てを結集し、スヴァログやチェルノボーグといったヴォルクグラード人民生徒会が独自に開発した機動兵器の技術までも投入して開発させた史上最強最高の対サブラ用戦闘マシンがドックの中でゆっくりと垂直に起立していく。

「冷却液、注入開始」

 続いてサブラ・グリンゴールドは複数の同一個体が存在しているという情報を内通者から得たグレン&グレンダ社がアルカ各地から秘密裏に回収した彼女の骨をメインフレームとして組み込んだ最終兵器にクーラントが注入され始める。

「ヘッドアーム、オープン」

 まずオリジナルのそれがそのまま使われている頭部を覆っている囲いが展開し、

「ボディアーム開け」

 次にブルーダイヤモンドコーディングが施された腹部装甲を隠す拘束具が別れて後退、

「リフトアップ」

 そしてサブラを倒すにはサブラこそが最も適しているというシンプルな理由で本人と同じ形をしている戦闘マシンはエレベーターによって上へ上へと持ち上げられた。

「ボディアーム全開」

 遂に開いた秘密基地の上部ハッチから全身が外に出終わるなり黒く猛々しいボディアームがゆっくりと胴体から離れ切り、機体各部のラジエターから蒸気が排出され、

「スタート、メインエンジン」

 体内に埋め込まれている、サブラの骨や細胞に残っていたマナ・エネルギーから強引に複製したマナ・クリスタルが始動するのと同時に赤い瞳が輝きを放つ。

「発進!」

 前進翼式飛行ユニットと足の裏にあるブースターから血のような粒子を噴射して離陸していくマシンの正式な形式番号はマシン・ソルジャー一号機を意味するMS‐01という。

 しかし実際のところ三年半に渡りこのマシンの開発に携わったボアズ・ムーヴァーマンは『彼女』を別の名前で呼んでいた。

 機械のサブラ――メカサブラと。

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