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エピローグ4
キャロラインが部屋を出て行ったあと、ノエルは椅子に腰掛けたまま体をソノカの方へと向けた。
「アルカは最後の戦場じゃない。プロトタイプの『最初にして永遠の職場』なんだ」
「システムが稼動してから半世紀……ようやく平常運行に戻りましたね。もっとも平常運行していた時期なんて一度もありませんでしたが」
「これからそうなる。アルカが無くなることは有り得ない。いつまでも続くんだ」
ノエルは席を立って窓の外を見る。エーリヒ・シュヴァンクマイエルがキャロラインと握手を交わし、謝辞を口にした彼女が乗り込んだ車のドアを閉めていた。
「世界は法で治められている。人々は法の力を借りないで困難に立ち向かえるのかな?」
ソノカは「NOですね」とノエルに返す。
「法による悪魔の守護は結局人々のためですよ。アルカは悪魔同士の戦いで平和を守る場所なんですから」
顔を綻ばせ、ソノカは小さな唇から綺麗な歯を覗かせてニッと笑う。
「もしも悪魔を救おうとした天使がアルカの破壊を試みて堕天使になったら、一体誰が人々を守るんです?」
終劇