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学園大戦ヴァルキリーズ  作者: 名無しの東北県人
学園大戦ヴァルキリーズ新小説版 RAID ON FINAL FRONT 1950
187/285

エピローグ2

 エーリヒ・シュヴァンクマイエルがMACT時代に育んだコネクションは、何も味方である学園軍や本国の軍事関係者ばかりではない。トランシルヴァニア学園に侵攻したアルカ初の民間軍事企業SACS――正確にはそのクライアントである、マリア・パステルナークの再生を目的とした『ヴォズロジデニヤ計画』を進めた一派ともコネクションがあった。その人物こそキャロライン・ダークホームだった。

 元々パブリック・スクール・オブ・ブリタニカの学生で、マリア・パステルナークやノエル・フォルテンマイヤーの写真を新聞から切り抜いたスクラップブックを作るようなギークガールがそのまま成長したキャロラインは自分がエーリヒと戦う立場にあることを知るなり、ヴォズロジデニヤ計画のデータを手土産にMACTへと寝返った。ヴォエヴォーダ計画の産物であるクローンヴァルキリーの遺伝子情報を持っていたのも、ヴォズロジデニヤ計画自体がヴォエヴォーダ計画を下地にして発展させられたものだったからだ。

 キャロラインはエーリヒが幾度と無くアルカに現れるラミアーズやSACS等のイレギュラーな存在に頭を悩めていることを知り、ならば敵も管理下に置けばいいという解決策を出した。つまり、絶対にアルカにとって問題になる事態を起こさない安全な敵を生み出せばいいと。

 そうやってダークホーム社は生まれた。言わば主人公であるスピリットウルフ社に対抗する敵として。

 勿論、代理戦争を行う上でお互いに手加減は一切しない。本気で殺しあうし、今回だってキャロラインは左手を失った。だがそれは信頼の名の下に行われている、ある種のスポーツめいた戦いだった。

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