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学園大戦ヴァルキリーズ  作者: 名無しの東北県人
学園大戦ヴァルキリーズ新小説版 RAID ON FINAL FRONT 1950
186/285

エピローグ1

 タカハタベルクにあるスピリットウルフ社の営業所。その中の取調室――名目上はそうなっているが、日光が差し込み、シルクのカーテンが絶えず穏やかな風で揺れている白を基調とした明るい部屋――にはノエル・フォルテンマイヤーとソノカ・リントベルクがいる。

 左手に包帯を巻いたキャロライン・ダークホームが入ってくると、二人は席を立ち笑顔で拍手を送った。

「お疲れ様でした」

 ソノカは瞳に尊敬の光を湛えてキャロラインを迎える。そして抱き合い、肩を叩く。

「ありがとう。貴方のおかげで最高の『戦争』ができたわ」

「お礼を言わなければならないのはこちらです。自分が何をしたいか再確認できました」

「また悩んだらいつでも言いなさい。クローンヴァルキリーぐらい、すぐに『作って』あげるから」

 ソノカと握手を交わしたキャロラインは次にノエルと抱き合う。

「戦えて嬉しかったわ、テウルギスト。色々と酷いことを言ってしまったけど、それについては謝るわ」

「対決を盛り上げるためには必要なことだよ。私は何も思っていない。むしろ楽しみだった。君が次に何を言うんだろうってね」

「正直な話、毎朝自問自答してたわ。テウルギストが私を殺すかもしれないのよ? 自分から精肉用のスライサーに手を突っ込む人がいる? テレビで好き放題言ったあとは死にたくなったものよ」

「その割には中々ノリノリだったじゃないか」

「ノエルったらいじめないで。悪役を演じるのは辛いんだから」

「大丈夫ですよ。みんな悪人ですから」

「確かにソノカの言う通りね」

 三人のヴァルキリーは苦笑しあう。

「エーリヒ・シュヴァンクマイエルに初めて会ったときは危うく失神するところだったわ。みんな私にとってのヒーローなの。ずっと一人のファンとして見てきた人達と戦って、バックステージでは握手をする。夢みたい」

 キャロラインは周囲をノエルとソノカを見て、「私だけお子様ね。五年前の私は、貴方達を教室に備え付けられたテレビで見ていただけ……ここにいること事態が信じられない。貴方達が私の名前を知っているだけで頭が沸騰しそうになるの」と嬉しそうに話す。

 部屋の中にはつい十数時間前まで殺し合っていた三人の少女がいる。

 それは奇妙にして、酷くグロテスクな光景だった。

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