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学園大戦ヴァルキリーズ  作者: 名無しの東北県人
学園大戦ヴァルキリーズ新小説版 RAID ON FINAL FRONT 1950
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第三章4

 スピリットウルフ社による攻撃が開始されたとき、トビシマ・アイランドの上に広がるのは夏の青空からいつも通りの鉛色で低い雲へと変わっていた。

 高温多湿が発汗という形で重装備に身を包んだスピリットウルフ社、ダークホーム社双方の隊員達を苦しめた。攻撃開始の命令を待つスピリットウルフ社の隊員達と、それを迎え撃とうとするダークホーム社の隊員達は一刻も早く戦闘が開始されて常人なら卒倒しそうな臭気から脱することを祈った。

「こちらインディゴ6‐4! ショータイムだ!」

 時間が来ると、ヴァルキリー隊による上空援護を受けながら、戦車とハーフトラックで構成されたスピリットウルフ社の地上部隊がシュネーヴァルト学園からの依頼によりダークホーム社の社屋に向けて進撃を始めた。

「来たわよ。全力でお出迎えしてあげなさい。玄関先で回れ右したくなるぐらいに!」

 先行して飛行するヴァルキリー隊目掛けて、ダークホーム社のソ連製八十五mm52‐K高射砲が射撃を開始する。ノエルやソノカが展開するマナ・フィールドの近くで近接信管を作動させた高射砲弾が爆発し、物が砕け壊れる轟音と共に破片がフィールドを乱打した。硫黄の臭気が二人の鼻腔を刺激する。

「ブラウ4‐2よりローエングリン1‐1へ、十二時にいたぞ。敵だ」

 インカムから聞こえてきたノエルの「敵って誰だい? どこにいるんだい?」というノエルの声に地上部隊の隊員達は怒らなかった。もう慣れっこだ。わざわざ無線機のスピーカーに怒鳴り声を浴びせるよりも、目標の場所を知らせるスモークグレネードを敵がいる方向に投げ込めばいいのだから。

 紫の煙が立ち昇った方向にノエルとソノカは急降下して眼下の敵に自動小銃の連射を浴びせる。次々に人間が血の霧へと変わった。

「いいぞ、ヴァルキリーが敵を押さえつけている。ブラウ4‐2よりファルケ2‐1、ファイアーフォースの時間だ」

「ファルケ2‐1、了解」

 地上部隊の上空を機体両脇の外装式ベンチにスピリットウルフ社のPMC隊員を四名載せたフランス製アルエット輸送ヘリが駆け抜けていく。ヘリはヴァルキリーに攻撃されているダークホーム社のPMC隊員の頭上を通過、その背後に着陸し、すぐに隊員を降ろして離陸していく。

「ファルケ2‐1よりブラウ4‐2へ、敵の背後に進出した」

「了解、ファルケ2‐1。こちらも前進する。誤射に注意しろ」

 航空戦力によって敵を束縛し、その間にヘリで地上部隊を背後に展開させるファイアーフォースと呼ばれる陸空合同の戦術によってスピリットウルフ社は次々にダークホーム社の部隊を包囲していった。そして包囲された部隊は足止めされたまま重迫撃砲や大型ミサイルを積んだヴァルキリーの猛撃によって地面ごと掘り返された。凶暴な焔の暴風が戦場を荒れ狂い、巻き上げられた若人を空中で木っ端微塵にしていく。

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