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学園大戦ヴァルキリーズ  作者: 名無しの東北県人
学園大戦ヴァルキリーズ新小説版 RAID ON FINAL FRONT 1950
168/285

第二章1

 アルカの北西、ヴォルクグラード人民学園管轄区の学園都市サカタグラードには、アルカにおいては希少価値の高い港湾施設がある。それがリトル・ハイフォンだ。

 ベトナム北部の港湾都市に肖って名前を付けられたこの港はエルメンドルフ戦争でガーランド・ハイスクールの最重要攻撃目標となり、一説によると戦争の全期間を通して五万七千トンもの爆弾が投下されたという。戦闘終了から二年を経た今も港湾機能は完全に復旧しておらず、港の一角には撃墜されたガーランド・ハイスクールの攻撃機の残骸が山積みにされ、海上には傾いたまま放棄されたソ連製の駆逐艦や、飛行甲板に大穴を開けられて大破着底し飛行甲板をカモメの巣に変えたアメリカ製のエセックス級大型空母が骸を晒している。

「ヒデェ臭いだな」

 港に停泊するウラジオストク発の貨物船を臨検していたスピリットウルフ社の生徒が、コンテナを開けるなり広がった腐敗臭に眉を顰めた。生徒達は『罪の無い顔』をする船員の前で腐ったジャガイモの中に足を踏み入れ、その更に奥にあった木箱を引き摺り出す。

「これはAK47自動小銃用の七・六二mm弾だな。ざっと十万発はあるぞ。護身用にしては多すぎる。あんたら撃ちまくるとスカッとするタチなのか?」

「あれ? おかしいなぁ……積荷は日傘だって聞いてたのに」

 雇われの船員は愛想笑いを浮かべてシラを切ろうとする。

「日傘を売るなら砂漠にでも持っていくんだな」

 スピリットウルフ社の生徒は書類をチェックし、弾丸の最終使用者がダークホーム社であることを確かめる。そして別の書類を用意すると、古い書類を丸めて海に投げ捨てた上でそれに判子を押し、船員に手渡した。

「安心しろよ。ユダヤ人は金払いがいい」

 船員の肩を叩いてスピリットウルフ社の生徒が船を降りると、入れ違いの形で明るい緑色の軍服に身を包んだ兵士達が乗り込んでくる。

「貴方が運んできた武器を譲ってもらいたい」

 船員の頬を思い切り殴りつけた上でそう話したのはIDF――Israel Defense Forces――まだ生まれて日が浅い、イスラエル国防軍の兵士だった。

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