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第三章2
「……ったく。何よ?」
ヴォルクグラード人民学園の食堂で昼食をとっていたベテランのヴァルキリーは、突如隣席で鳴り響いたヌカ・コーラの炭酸が噴き出す音に気を取られた。
「あのさ……」
そして不機嫌そうに眉間に皺を寄せた瞬間、彼女の首筋に小さく細い針が突き刺さった。途端に彼女は椅子から崩れ落ち、激しく足をばたつかせながら喉を掻き毟った。長い爪が肌を裂き、指は瞬く間に血で真っ赤になる。
「大丈夫ですか!?」
「おい! 保健委員だ! 保健委員を呼べ!」
こうして、タスクフォース599の強力な助っ人としてグリャーヌズイ特別区に派遣される予定だったヴァルキリーは髪の毛の全てと体重の半分を失った。
文字通りの廃人になった彼女は五日後、病院から忽然と姿を消した。
それから更に二日後……身元不明の女子生徒の死体が日本の代理勢力である和州学園の敷地内で用水路に浮かんでいるところを発見された。




