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第二章2
整備兵達が遅い昼食を終えた時、ガーランド・ハイスクール管轄下にある学園都市テンドー・シティの飛行場に一台のジープがやってきた。
「やあ!」
まるで昨日塗り替えたかのように真新しい塗装のジープから降りたパイロット達は快活な笑顔で整備兵達に挨拶する。
「この基地にあるスカイレーダー(注1)を全て移動させることになった」
「移動って……どこにです?」
整備兵は怪訝そうに首を傾げる。アルカといえど、スカイレーダーが配備されたガーランド・ハイスクールの基地はここ一つしかないからだ。
「悪いがそれについては説明できない」
サングラスで目元を隠したパイロットの一人がヘブライ語訛りの英語でそう言い、
「しかし、詳しくはここに書いてある」
厚さ数センチはあるシェケル(注2)の札束を機械油で汚れた整備兵の手に握らせた。
注1 米国製の高性能攻撃機。
注2 イスラエルで用いられる通貨。