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第三章5
ルナ・マウンテンから七十五キロ離れたサンキョ・デポでモニター越しにエレナとミーシャの戦いを見守っていたサブラ・グリンゴールドはSW社が一時的に預かっている孤児院の子供達が司令室に入ってきたことに気付いた。
「エレナせんせい、かてる?」
「わかりません」
自らをイスラエルの歯車と規定した少女から率直な回答を受けた子供達は横一列に並び、それぞれ手を繋ぎ合いエレナの勝利を祈りつつモニターを見つめる。
「おねえちゃんも」
一人の子供がサブラに手を差し伸べる。
頷いたシャローム学園のヴァルキリーは微笑を浮かべて子供達と手を繋ぐ。そして彼女は小さい掌をしっかりと握り締めながらモニターの中で続く死闘を凝視した。




