「失われた部屋」 前編
「よく飛鳥がそんな名前しってるね」
晴田は素直に驚いたようだ。
「で!前置きはいいからその「秘密クラブ REMAKE」の話を聞かせてくれ」
「これは結構前からある噂なんだけど、この学校の体制っていうのかな?まぁこの学校のありかたに納得していない数人が秘密裏にクラブを作って、この学校を変えようとしてるって話」
「だから「REMAKE」って「作り変える」って意味だろ?まぁ噂だしどこまでが本当かわからないけどね!」
なるほどだから「この学校に満足しているか?」って質問なのか。
だけど何故俺がその秘密クラブに手紙を出されなくちゃいけないんだ?
そこだけが引っ掛かる。
「晴田その秘密クラブにはどうしたら会えるんだ?」
「今日の飛鳥は何故か積極的だね!質問に答えるなら「直ぐに会えるなら「秘密クラブ」じゃない」と言う事だね」
「なるほどな!」
俺は納得する。
だけど手紙だけよこして、俺にどうしてほしいんだ?
この手紙がイタズラの可能性の方があるどろう。
噂になっているのならイタズラが起きても仕方が無い気もする。
「飛鳥!この情報で満足した?」
「ああ。ありがとう!流石「噂の虫」の通り名だけはあるな」
「あ~~あ。表の通り名ね!!」
「お前には裏の通り名があるのか?」
と、晴田と冗談交じりの話をしていたら1時間目が始まった。
4時間目の終了のチャイムがなる。
これで午前の授業が終わり昼休みになる。
友達のいない俺はそうそうと弁当を食べて後は本を読んだり寝たりする。
だけど今日は、弁当を食べ終わったらグラウンドの近くにある自販機に飲み物を買いに行った。
この学校には食堂とグラウンドの隅の2つしか自販機はない。
教室からは食堂の方が近いのだが、食堂は人が多いので苦手だ。
だから俺はここの人があまりこない自販機を好んでよく使う。
今日も人は、1人もいなくて何故か心地いい感じがする。
自販機に小銭をいれようとポケットの財布を取り出そうとした。
「あなたが橘飛鳥さんですね!」
と、後ろから声が聞こえた。
俺が後ろを振り向こうとしたら「振り向かないでください」と後ろの奴に言われた。
声は、変声期を使っている様な声をして不気味だった。
「もう一度問います。あなたが橘 飛鳥さんですね?」
「そうだが。俺にそんな声の友達はいないぞ?」
「私は「秘密クラブ REMAKE」のパイプ役の「フラン」といいます。」
パイプ役?いまいちピンとこない単語が俺の脳に引っ掛かった。
「イタズラにしては、手が込んでるな」
「まぁあなたがイタズラだと思うのなら適当に聞いててください」
「今から伝言をお伝えします。今日の放課後「あなた以外が失われた部屋」で待つ。以上が伝言になります。」
「おい意味がわからないぞ!?」
返答がない。
「おい!!」
またも返答がない。
恐る恐る後ろを振り返るとフランと名乗るものは消えていた。
「あなた以外が失われた部屋」この言葉を教室に帰るまでずっと考えていた。
正直こんな単純な問題は直ぐに解けた。
だが放課後あの「秘密クラブ」のいいなりにそこに行っていいのか?
あいつらは信用出来るのか?
その思考の結論は昼休みを全て使っても解けなかった。
そして放課後になる。