エピローグ
ティガレスク王国、国土65万平方キロメートル、人口6千万人を誇る、この世界における有数の大国である。戦歴は、天才将軍パルピーナ女王が皇帝の座についてからというものの、数十回の戦争を繰り返しているが、現在のところは無敗である。そのためパルピーナ女王は、近隣諸国の皇帝から非常に恐れられていた。ところが、そのような強国に今朝、一通の手紙が皇帝の元に届いたのである。そこにはユーパル王国からの宣戦布告が記されていたのだった。
ところで、このユーパル王国。実はといえば、国土1000平方キロメートル、人口10万人も満たない小国であり、軍事力においても、ユーパル王国の軍の人員数は、ティガレスク王国の軍の人員数10万人に遠く及ばぬ、2千人であった。
パルピーナ女王はこの宣戦布告を目にした途端、あまりの予想外の出来事に思わず眉をひそめた。パルピーナ女王は、ユーパル王国の軍事力を正確には把握できていなかったものの、ユーパル王国の国土の小ささについては以前から知っていたので、何故、大国であるティガレスク王国に宣戦布告したのかと頭を抱えたのである。
手紙によると、宣戦布告日は今からちょうど1週間後だ。
彼女は皇帝として、この気違いな宣戦布告に当惑しながらも1週間以内に戦略を立てなければならないのであった。