トレスティン魔法学院Ⅷ
――ところで、君は何を望む?――
俺の脳内に聞き覚えのある女性の声がこだました。
俺はまぶしそうに目を開けると、倒れていた身体を起こして、その場に腰を下ろした。
すると、見渡す限り真っ白な空間が辺り一帯に広がっていた。
目の前には…………、
「おっと自己紹介がまだだったな。私はパルピーナ・デ・マルガーテ。パルでもパルピィでも好きに呼んでくれ」
パルピーナはそう言うと、満面の笑みを見せた。
パルピーナ・デ・マルガーテ……、以前に俺の夢の中で出てきたあの時の白銀色の髪をした、約167センチの長身に加え、Gカップの巨乳、蒼眼と隻眼のオッドアイというゲームのキャラクターとして出てきそうな嘘のように顔の整った美少女である。
「ところで、パル? さっきの質問だが君は何を望むだっけか? あれは一体どういう意味なんだ?」
「ああ、あのことか…………。と言うのもだ、君の周りには江坂沙姫、天音美架、伊吹亜利沙、初瀬日向といったかよわい女子達が集まっているからな。だから、君は彼女達の中で誰を選ぶのかということについて聞いてみたかったのだ」
パルピーナは体をかがませながら、俺の顔をゆっくり覗き込むと、ニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべて言った。
「うーん…………そうだなあ、江坂は背が高くてあの中だと胸が一番大きくて魅力的だけど、美架は江坂ほど胸が大きくはないけど十分巨乳で明るくていい人だし、亜利沙は背が低いけどむしろ小さくて可愛らしいし、初瀬はちょっと引っ込み思案なところがあるけどそれでペースが合わせやすいし……迷うな」
俺は苦しそうに頭を抱えた。
「ところで、何故美架と亜利沙は名前なのに、沙姫と日向は名字で呼んでいる?」
パルピーナは怪訝な表情で首を傾げた。
「それは、俺がそっちの方が何となく呼びやすいからであって、特に理由はない」
「なるほど、そういうことか」
「そういうこと。それにしても、まさか初対面でこんな際どい質問をされるとは思ってもみなかったぜ。何で、あの4人のことを知ってるんだ?」
「それは私が神様だからだ」
「神様って言ったら…………キリストとかジュピターとかそういう感じの?」
俺はパルピーナの発言に半信半疑で尋ねた。
「いかにも」パルピーナはその大きな胸を堂々と張って俺の質問に答えた。「ただ、さすがにまだ名を明かすには早すぎるので、真名を教えることが出来ないのだがな」
はあ、これが神様なのか……。
まさか、神様と初めて交わす会話の内容が、俺の女子の好みについてということになるなんて夢にも思わなかったわけだが。
「それにしても、その偉い神様がこの平凡な俺にどのような用があって?」
「まあ、こんなところで立ち話もなんだ。私のあとについて来てくれ」
パルピーナはそう言って、ゆっくりと後ろに半回転すると、まっすぐ歩き始めた。
俺は手をついて立ち上がると、ゆっくりとパルピーナの後ろに続いた。
俺とパルピーナは、この空間内をゆっくりと移動しているわけだが、どうにもこの空間、周囲がただ真っ白なだけじゃなくて、空間が深い霧のような何かに被われているらしいのだ。そのせいで、前方1メートル先は真っ白で何も見えやしない。
この世界でもし俺がパルとはぐれるようなことがあれば、俺はこの世界に一生さまようようなことになるに違いない。
まあ、これが夢なら話は別だが。
これは唐突な出来事だった。
一度目覚めてみれば、そこは見覚えのない異世界。
そこで神様と名乗る美少女と遭遇。
そして、ついて来てと言われるがままついて行く矢先。
そこには何と大きなベッドが一つありましたとさ。
これは一体どういうわけよ?
「ところで、何故ベッド……」
俺はおそるおそるパルピーナに意味深な視線を向けた。
「ちょっと疲れたからな。二人で寝転びながらゆっくり話でもしよう」
すると、パルピーナはそれに対し満面の笑みをかえすという謎の反応。
いや。
そう言われても困るんだが。
一応、男女同士。
それも年頃……いや神様に年齢は関係ないか。
とにかくこの状況……18禁ルートなのでは!?
「い……いや、そう言われ……」
俺が話している途中、いきなりパルピーナは自身の足を俺の足に引っ掛けて俺の身体がよろめいた隙に、ベッドに押し倒し、パルピーナは勢いよく、俺の胸に飛び込んで来るのだった。
飛び込む?
いや、違うな……あれはそんな生易しい表現ではなかった。
のしかかりと言ったほうが適切だろう。
パルピーナが俺の胸に真正面から飛び込んで来た瞬間、その瞬間にベッドが大きく上下に揺れた。
胸は……確かに柔らかい。
マシュマロのようにフニフニというよりかは、むしろもっと弾力性があって、さらにそれなりに意外と重く、さながら上手く言葉で言い表すことができない快感が電流のように俺の身体に走った。
でも、さすがにリアルな女子なだけあって、重い。
さすがに体重40キロから50キロのものが上に乗っかっていることを考えれば当然のような気もするがな。
「ここで、一つ宣言しておこう。君は私のものであると」
パルピーナは俺の身体の上に、胸と胸が密着する具合に寝転がると、妖艶に俺の頬をなでて、不気味に微笑んだ。




