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だから俺は彼女ができない

作者: 笹雪

複数の顔立ちのいい男が一人の少女を囲んでいる。

この学校ではもはや風物詩と化した光景である。


イケメンに囲まれた少女の名は新庄(しんじょう)(れん)

艷やかな黒髪。

長いまつげに縁どられた瞳。

緩やかに微笑む唇は薄桃色。

どこからどう見ても美形である。


顔も家格も素晴らしく優れたイケメン共はそんな彼女にハートを撃ち抜かれているらしく

学校にいる間は誰かしらがまとわりついている。

彼女はそれを気にした風でもなく自然体。

邪魔になるならばあしらうし、そうでなければ基本好きにさせている。

こうなると一部の女子達が嫌がらせやいじめといった行為に走りそうなものだが

実際そのような愚かなことは起こっていない。

この学校の素行が良いというわけではない。

ファンクラブなるものがあって、今でもきっかけさえあれば陰湿ないじめが起きうる規則もある。

このハーレム状態で、彼女がいじめられないのは何故か。


その答えは簡単である。


彼女はイケメン共の女神であると同時に、この学園の女子生徒の王子様なのである。

男も女も虜にするとは……人たらしとはこのことだ。


彼女は美形だ。

ただしその容貌は中性的な整い方をしており、表情の作り方次第では美少年にも見える。

爽やかな笑顔で微笑めば女子を虜に。

少し照れて微笑めば男子を虜にする。


「はー羨ましい、俺もあれだけモテたらなぁ」


頬杖をついて窓から王子の登校を見ているモテない男子である俺。

軽く溜息を吐いて、窓ガラスに写る自分の顔を見て落ち込む。

生まれ持った顔立ちは変えられないが、羨ましいのはしかたない。

俺だって女子にモテたいお年頃なのだ。


じろじろと遠慮なく眺めていたら、視線に気づいたらしい王子様が顔を上げ

俺と目を合わせてふんわりと嬉しそうに微笑んだ。

もちろんその様子を見て、イラッとしたらしい周りの男女(特にイケメン)が睨むようにして此方を見上げ


――――俺の顔を認識した瞬間に、それぞれが優しい笑みを浮かべた。


窓ガラスに写る俺の顔は王子様によく似ている。

違うのは彼女のように男性的ではなく、女性的であるという一点。


同じ顔がベースにあるとはいえ、細部は違う。

ふわふわの髪の毛は短くカットしてもやはりはねる猫っ毛。

頬は何もしなくても何故か薄紅にほんのり色付いている。

日に焼けてもすぐに白く戻るこの肌。


ベースは同じなのだから俺だって女子にモテたい。

ゴツイ男子にもてたって嬉しくねぇ。

断られる言葉は毎度「私より美少女な彼氏はちょっと……」である。


そんな俺の名前は新庄(しんじょう)(ゆう)

学園の王子様である蓮の双子の兄である。


なんで妹の方がカッコイイ顔立ちなんだよ!!


変えられない事実に打ちひしがれるのも毎度のことである。


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