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アナザー・リアリティ  作者: 大岸 みのる
第一部:入社一年目の軌跡
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プロローグ中に研修開始でした!

 宇宙旅行も盛んになった現代社会。

 暦は今年で2150年を迎える。

 そんな訳で、俺――日坂(ひさか) 阪斗(さかと)は、今年で大学卒業の22歳。就職先は惑星事務局書類受け付け部署に内定をもらった。

 俺の大学は三流もいいとこで就職先なんてものは中々見つからず、たまたま面接したら受かったのだ。正社員として受かる事はこの上なく嬉しい。過去起こった不景気のせいで正規社員を雇おうとはしない企業が増えていた。

 そんな中、大学卒業も控えた、とある日。

 企業側から呼ばれ、東京駅のオフィス街へと足を運んだ。


 「この度は我が社への就職。大変嬉しい所存でございます!」

 

 オフィスの三階のホールで演説らしき事をする社長。

 しかし、ホールなのにこの場にいるのは俺一人。

 折角スーツを着込んで、仲間との飲み会も断ってきたのに出席率が物凄く低い。


 「あのー……こんな事言うのは大変失礼かもしれませんが、私以外いないのでマイクは使わなくてもいいですよ」


 俺は我慢できずに社長に手を上げ、自分の意見を発言した。

 社長は笑顔で一度頷いた。そして、マイクを手元の台に置いた。


 「では、君がこれから働く事になる部署の説明をしましょう」

 

 目の前の大型ディスプレイが点灯する。

 そのディスプレイには現在も流行っているVRMMMOの世界が広がっている。それを何故一目で分かったか。それは俺もVRMMO中毒者の一人だからである。

 そして、プレイヤー一人一人の動きが拙い。普通のテレビゲームならば、こんな動き方はせずに、あらかじめプログラミングされた動きをするため、バグが発生しない限り変な動きになることはない。

 さて、何故こんな物を写したのかが疑問だ。


 「君は、これをVRMMOだと思いますか?」

 

 いきなりの質問に、俺は背筋を伸ばした。このゲームは一体何なのだろうと考えこんでしまった。まったく、オタクの悪い癖のうちの一つだな。

 しかし、この質問に対しては疑問に感じることも多い。なぜなら、ディスプレイの中では人と人が対決――DPKデュエル・プレイヤー・キルをしていたり、現実では決して存在していない筈の魔物と呼ばれる大型の獣と戦っていたりする。

 こんな物を見させられれば、誰だってゲームだと思うだろう。いくらオタクの俺でも、そこまでバカじゃない。

 

 「はい。VRMMO――ソフト名は知りませんが、ゲームであることは間違いないと思っています」

 「そうですか。なら良かった。君は我が社に適応している」

 「と、申しますと?」

 「我が社の仕事をゲームと思ってくれれば幸い。と、言う事ですよ」

 「はぁ……」


 なんだかわけのわからない事を言うもんだな……。

 ゲームのような事をするのが仕事……。どうなんだろうか?

 それから社長は俺に微笑みを送ると、出口に手を指し伸ばした。

 出口には社員が数名いた。

 そちらの方に進みくださいということなのだろう。俺は出口に向かい、次の指示があるまでその社員達に従う事にした。

 ホールを出てから、最上階の部屋へと俺は連れて行かれた。

 

 「では日坂様。これから研修を行いますので、御準備をお願いします」

 「このままでも、大丈夫でしょうか?」

 「問題はないと思います。ですが、なるべく動きやすい格好の方が良いと思います」

 「ありがとうございます。でも、自分は今この格好でも大丈夫ですから」

 「……かしこまりました」

 

 そう言うと社員は頭を下げた。

 俺は正直、着替えなんて持ってきてなかったし、これから研修だとも思っていなかった。

 連絡不届きは俺のミスになるのだろうか。

 それはそれで嫌だな……。でも、自分が招いたミスならばしょうがないか。

 

 それから数分。

 

 誰も部屋には入ってこない。

 いい加減誰か来てもいい頃だと思うのだが、部屋内はとてつもなく静かだった。

 窓も何もないので、外の景色も見られない。

 さて……何するかな……。今のところ監視カメラもないし。何をしてもいんじゃね!?

 俺は携帯電話を取り出す。

 その瞬間激しい揺れに俺は態勢を崩しそうになった。

 

 「大きい揺れだったな……」

 

 やがて揺れは止む。

 この地震の情報が欲しくて、俺はドアに手をかけた。

 ドアには鍵がかかっておらず、簡単に開いた。

 そして、ゆっくりと開いた先には――。


 「え……」


 古代的生物――恐竜のような生物が涎を垂らしながら目の前にいた。

 

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