隣の淫乱
タイトルに淫乱とありますが、エロい描写はありませんので、ご了承ください。
またいつものやつが始まった。
隣の親父が嫁を罵っているのだ。
「淫乱!淫乱!」と何度も連呼している。
うるさくて仕方ない。
それ以上に腹が立つのは、このような喧嘩のあった夜に、夫婦が激しく燃え上がることだ。
なんと稚拙なことか。
耳栓をして、頭から枕を被るが、怒りと情けなさが幾重にも襲ってきて、眠ることが出来ない。
朝になり、外に出ると、俺は三度いらつくことになる。
「おはようございます」
そう挨拶してきた女を無視して通り過ぎる。
その容姿と、昨日のあえぎ声がリンクして、激しい嫌悪感を覚える。
「淫乱?何が?」それ以前の話だ。ぜんぜん色気がないではないか。こんなのがよく抱けたもんだ。
俺は車に乗り込むと、強くアクセルを踏み込んだ。
仕事が終わって、家に帰ると、ベッドにあの女がいる。
そして、言った。
「ごめんなさい、どうしても拒めなかったの」
俺は怒りに任せて、女の髪を掴み、引きづりまわした。
「嘘つけ!あんなに喜んでたじゃねーか!」
そして何度も何度も頬を打った。
「淫乱!淫乱!」と言いながら。