第17話
「情報収集か……」
歩きながらそんなことつぶやく。
まずは何から情報を集めようか……
そういえば、親父はなんであんなにウキウキしてたんだろうか?
親父は答えてくれなかったけど……まずはそこからか。
今日、一体何があったか思い出してみる。
「……ん、、」
あー、駄目だ。
もう2週間前の事だし、最近父親ともコミュニケーションをろくにとってなかったから何も思い出せない。
僕は一体何をしてたんだ?
何か重要な事があったのに、全然思い出せない。
多分だけど今欲しい情報はこれぐらいだと思う。
思い出した時に考えよう。
そうこうしているうちに駅に到着だ。
「久々だな……」
通称、通学のための駅、五百羅漢駅。
ミユとの思い出の駅でもある。
最近はミユの墓参りでまた別の場所にある螢田駅へ向かっていたから、時が戻った僕にとってはすごく久しぶりの駅だ。
改札に入ろうとした手前、ある店が目に入る。
僕は迷わず方向を変え、その店へ向かう。
「あ、……すみません、カーネーションとキクの花束2つもらえますか……?」
「はい、いらっしゃいませ……って今からあなた学校じゃないの?」
「……!」
「あ、すみません……間違えました、帰りまた来ます……。」
やってしまった。
いつもの癖でつい花屋へ向かってしまった。
習慣って素晴らしくも怖いものだな。
僕は顔の体温が上がった状態のまま、人並みに紛れて改札に入る。
僕は学校方面の一番線へ向かう。
――問題はここからだ。
予想通り階段の前で身体がぴたりと止まってしまった。
このトラウマは中々消せるものじゃない。
……やっぱりどうしても身体が動かない。
次くる電車を逃したら、遅刻確定なのに……ほんとにどうしよう。
その時後ろから勢いよくぶつかられる。
「あ、すみませ……ってゆうと!?何やってんだ!!1分後に電車来るぞ!」
「瑛太?いや、これにはわけが……」
「何言ってんだ!急げ、行くぞ!」
僕は瑛太に腕を引っ張られて階段を駆け登る。
「よっしゃ!間に合って……ない……」
電車は僕たちを無視するかのように発車してしまった。
瑛太はその場でしゃがみ込み頭を抱えている。
「あー終わった……これで遅刻5回目だから先公に指導確定じゃん……」
とぶつぶついっていたのに急に立ち上がって次は自販機にジュースを買いに行った。
相変わらず忙しい奴だな。
「ほい。」
ミニ缶のリアルゴールドを軽く投げられて渡される。
瑛太と会ったら必ず飲まされる飲み物だ。
「……ありがと。」
「久しぶりじゃん!元気にしてたか?」
「あぁ、それなりには。」
「というかあんな所で止まったら危ないぞ、通勤ラッシュなんだから」
「まぁ、いろいろあんだよ。」
「まぁ、いいけどさ。顔見れるだけでも嬉しいわ」
こいつは僕の中学からの同級生、親友の高橋瑛太だ。
こうして遅刻しているのに、相手を配慮だけは忘れない、いい奴だ。
「ゆうと、あのな……」
「どうした?」
「こないだはほんとにごめん!」
「え?」
何かあったか?全然思い出せない。
「ゆうとにひどいことしたからさ。」
「うん…全然大丈夫だよ。顔上げてよ。」
「ありがと……あ!やべ!」
「ちょお前、こぼしてんじゃん!」
「あー俺のリアルゴールドが……」
相変わらずで安心した。
「相変わらずだな、瑛太。」
「お前は暗すぎだ。ゆうと」
二人とも思わず吹き出してしまう。
久々に笑ったな。
「……今日久しぶりに会ったしさ、夕方ちょっと付き合ってほしい。」
「夕方、いいよ。」
「じゃ、決まりだな。」
タイミングよく電車がホームに滑り込んで来る。
「ゆうと、早く乗ろーぜ。」
「あぁ。」
久々に騒がしい朝だった気がする。




